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ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
21/98

写真


「隠見からのお届け物ですよ。ワスバーガーとコーヒーのセット。どうせ、何も食べてないですね」


 隠見からメッセージが届いてから一時間。確かに昼食は食べていない。考えるのに時間が過ぎるのは早かった。


「助かる。それを食べながら、監視カメラの映像を見たいところなんだが、【ボーダーライン】からの連絡は届いているか?」


 まずは隠見が【ボーダーライン】の本番が早期開催になったのを知っているのか? 俺の届いたメッセージと同じなのかを確認しよう。


「届きました。私が参加を決めた後、早期開催が決定したって。ハンデを貰えるのは助かるし、体験版も特別になったんだけど……」


 体験版が特別? 隠見は今日しか出来ないため、あり得ない話ではないが、その事に対しては何も触れられてない。


「俺に届いたメッセージはこんな感じた。隠見が受け取ったメッセージをちゃんと見せてくれ」


「真実さんもそうだけど、河相宗が受け取った【ボーダーライン】のメッセージもPCなのに、私だけスマホなんだ。昨日は本部で泊まったけど……」


 確かにそうだ。俺や河相宗に送られてきたメッセージはPC。スマホの方には届いていない。隠見だけがスマホなのか? 【ボーダーライン】は隠見を刑事だと知っていて、スマホの方が都合が良い事を知っていた?


「それに真実さんの事も知ってるかもですね。この文章……」


 俺の事が知られている? 【ボーダーライン】の体験版はしたが、そこまでアピール出来たわけじゃない。探偵と呼ばれるようにしたが。


 文章は体験版の特別になった部分。本来、体験版はソロプレイが基本であるが、一日という少なさから二人、探偵との協力プレイを認める。


「この探偵というのはそういう事ですよね。【ボーダーライン】は私が刑事と知ってるだけじゃなく、真実さんと一緒に行動してるのも把握してるんですよ」


 それは【ボーダーライン】の関係者が警察内部に、しかも、俺と隠見が一緒に行動してるのを知ってるのはごく僅か。その中にいるという事になるのだが……


「警察内部にVIPがいる可能性は否定出来ない。隠見のハンデもあるし、内部から解決しようとしてる可能性も……そんな風に思っているのか?」


 それは良い風に言ってるだけ。本当にVIPの中にいたとしても、解決するためではなく、殺されるのを楽しんで見てるだけな気がする。


「解決は……ないですね。多数の怪奇事件が【ボーダーライン】と関係するなら、情報を提供するべきでしょ。それが信じて貰えなくても。そいつは絶対に楽しんでいるはずですよ」


「まぁ……そうだった場合は同意見だ。物的証拠は何もないけどな。それとは別の可能性もある。怪異と呼べばいいのか、それともお前が別の写真を寄越したのか」


「別の写真? 河相以蔵の部屋の写真なら、間違ってないですよ」


 隠見はスマホに保存された写真を見せてきた。それは俺に送ってきた写真と寸分変わりはないのだが……隠見は何の反応も見せない。


「これはどうだ? 変化は何もないか」


「何もない部屋で間違ってないですよね。真実さんには違うのが見えてるんですか?」


「……ああ。これは【ボーダーライン】に一度ログインしたせいなのか? 文字が書き殴られてるんだよ。Welcome to Borderlineってな」



 河相以蔵の部屋には『Welcome(ようこそ) to Borderline(ボーダーラインへ)』と壁に書かれてあり、ENTERという文字の下に扉が描かれてある。


 これは【ボーダーライン】にログインしたから見えるようになったのか。そうだとしても、河相以蔵がこのゲームと関わり合いがあるのは分かる。

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