序章と伏線
それは突如始まってしまった。
あるいは終わってしまったのだ。
当たり前の日常が
なんでこんな事になってしまったのだろう。
まあ今更何を思っても遅いものは遅いのだが
そう思わずにはいられなかったのだ。
「本当になんなんだよ・・・・。」
剣を構えながらそうつぶやいた。
自分ではつぶやいたつもりは無かったのだが、声に出ていたのだ。
次々と襲いかかってくる敵を・・・そう敵という名の何かを切りつけながら
「おい隼人、今日も相変わらず絶好調だな」
ふと気がつくと横に立っていたのは、こちらの世界での唯一無二の親友ユキヒロだ。
「別に絶好調っていうわけじゃ・・・、ていうかそっちはどうなんだよ」
「俺か?俺はいつも通りに平凡な戦闘をしていますが?なあ剣士殿。」
嫌味たっぷりに返されたので少しムッとして答える
「その呼び方はよしてくれ。嫌気がさす」
「はいはい。・・・ちっ今夜は長いな・・・」
ザシュッと音を立て敵を倒していく
「仕方ないだろ。それだけ今夜は・・・」
そこで俺の言葉を遮ったのは無機質なチャイム音だ。それが鳴り終わると同時に聞きなれたアナウンスが流れた。
『今回はこれで終了となります。お疲れ様でした。なお今から帰還可能です』
チャイム音と同様にどこか無機質なその声を聞きながらため息をついた
「やれやれ、やっと終わりか・・・」
「しょうがないだろ。ところで隼人、お前まだ狩っていくか?」
「そうだな、今日はもう少しだけやっていくよ」
少し疲れていたが仕方ない。やるべき事はまだまだある。
「そうか・・・なら、どうだ俺とグループを組ん・・」
「やめとく。お前どうせ街で遊ぶつもりだろ?」
ユキヒロの言葉が終らないうちに俺は断りの言葉を告げた。
まあ・・・いつもの事ではあるが。
「ったく・・・お前はいつも釣れないなぁ。そんなにレベルやスキルが大切かぁ?」
「・・・そういうわけじゃないんだけど・・・」
俺が微妙な表情をしたのを見て少し焦ったのか珍しくフォローしてきた。
「いやいや。嘘だって!お前は昔から人と絡むのはあんまり好きじゃないもんなぁ」
「まあ・・・そういうこと。悪いな」
そんな会話をしてからユキヒロと別れた。
コイツの言うとおり俺は人と関わるのが苦手だったりする。
そこまで人見知りが激しいわけではないのだが・・・俺は一般的に難しい性格という部類に入るらしい。
おかげで今この世界でもソロプレイヤーになっている。
もともとこの世界ではソロの方が多いと言われているが、少し不便だったりもする。
「さて・・・やるか。」
一人でそう呟いた後いつも通りの場所で日課とも言えることを始めた。
チャイムの音が聞こえる。ああ終わりか・・・・。
ふと眼を開けるといつもの教室。
(そうか・・・今は学校だった)
昨日の疲れが残っているのか授業は半分以上寝ていた気がする。
(あぁ、面倒だな。後二時間か)
そんな事を想いながら昼食を食べていると、ふと女子たちの声が聞こえる。
このクラスの中心的グループらしいが、そんなものは関係ない。うるさいだけだ。
そのグループの中心にいるのは、優等生かつ才色兼備の言葉にふさわしい(という噂だが事実は知らない)そんな女子だった。俺とは性格も真逆で、いうならば俺とは無縁かつ遠い存在という他人中の他人であることは確かだ。
ただ、俺はその女子の・・・屑柄亜里沙の持つ古そうな懐中時計に興味を持った。というより感じ取ってしまった、それが自分と同じ運命を持つものという事を。彼女が先ほどからしきりに気にしているように見えるメールの内容。それは自分も目にしたことのあるものであろう。
「なあ・・・やめておきなよ。君には向かない。その資格も素質もないんだ。」
だから俺は、いつもなら絶対に声すらかける事がない彼女に告げた。
「は?なにコイツ・・・」
「何言っちゃってんの??」
彼女の周囲の女子が騒ぐ。だが言葉を続ける。
「君には絶対に向かない。というより・・・やるべきではないよ。」
俺の言葉に彼女は戸惑いをみせた。だがここで怯むわけにもいかない。
「君には覚悟もないだろう。それに払う代償が大きすぎる。そこまでして中途半端な気持ちで参加するものではないし、それに迷惑だ。」
「え・・・ちょっと・・・」
そこまで言い終わると彼女はやっと何の事を言われているのかを理解したらしい。
そう。彼女の見ていたメール。
それこそが俺があの世界で闘う事になったきっかけだ。
「わ・・私のメール・・・勝手に見たの?」
彼女がおどおどと質問した。周りの女子の目が厳しくなる。まあ、俺にはどうでもいいのだがこいつらに聞かれるのも面倒だ。
「そんな事に参加する事になんの得がある?」
「う・・・それは・・そうだけど」
イライラしてきた。しょうがないか・・・
「此処じゃなんだから・・・こっち来てくれないかな。」
「えっ!?ちょ・・・ちょっと!」
いきなりの事で驚いている亜里沙を引っ張り、屋上に連れていく。
やれやれ。これじゃあどこぞの恋愛漫画じゃないか。
「ちょっとっ・・・いきなりなんなの!?」
屋上につくと、やっと彼女が抵抗してきた。
「少し話がしたくてね。君はとあるメールについて悩んでいるのだろう?」
「へ・・・なんで・・・?」
さっきから俺が自分のメールの内容を知っていることが不思議で仕方ないらしい。
こうなったらきちんと教えよう
「どうして知っているのかが知りたいんだろう?それは俺にも同じメールが来たからだ。」
そこで一息つくと益々分からなくなったらしい亜里沙が口を開いた。
「だから・・・そもそもなんで君が私のメールが君に送られてきたものだとわかるの?」
それはそうだ。確かにおかしい話になってしまう。
だが・・・わかってしまうものは仕方がない
「意外と非科学的な話になるんだが・・・」
「ん、一応聞くわ」
あっさりと承諾してくれた亜里沙は俺の話をちゃんと聞くつもりがあるらしい。
じっとこちらを見て黙って俺の言葉を待っていた。
「そうだな・・・無意識的といえばわかるかな、君の持ってるその懐中時計が俺のコイツと同期したとでも言っておこうか」
「はぁ?」
驚きの声をあげた亜里沙だったがすぐにいつも通りの表情に戻り
「・・・了解。今の君の言葉を信じようじゃないの」
「正気か!?」
今ので分かってもらえるとは思わなかった。今度は俺が驚きの声をあげる番だった。
「ええ。ただもう少し説明はしてもらうけどね。」
そう言うと彼女は二コリと笑った。なるほど・・・確かに可愛い。
「わかってる。」
そう言って俺は説明を始めた。向こうの世界の事、その届け物の事、自分の経験
「まず君のその懐中時計。昔失くした大切なものなんだろう?」
「そうよ。これはお祖父ちゃんからのプレゼント。ずっと失くしたと思ってたけど昨日ポストに箱に入った状態で入れられてたの」
「やっぱり・・・。それは簡単に言うと転移アイテムだ。」
そう言うと亜里沙は顔に疑問符を浮かべた。
「あー・・・そのメールには別世界で闘えだなんて感じのイタズラみたいな内容が書いてあったんだろ?」
「そう!そうなのよ。この懐中時計を差し上げる代わりにあなたにはある一種の義務を負ってもらいます。義務といってもそのような堅苦しいものではありません。ただ闘っていただければいいのです。もちろんここではなく別世界で。」
亜里沙はメールを読み上げる。隼人に送られてきたものとやはり同じだった。
本当によくある感じの小説となってしまいました。
何一つ意味のわからない開始の仕方からどこまで持っていけるかわかりませんが・・・次回は彼らのその後を書いていけたらと思います




