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殺人同好会 〜橋口まどかの存在証明〜  作者: ゆこさん
5章
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5章-6.整合確認 2023.11.3

「こんにちは。シラウメです。今お時間よろしいでしょうか?」

「えぇ。構いませン。」

「ふふっ。ありがとうございます。それでは早速、今日はいくつか情報を買いたくてお電話しました。」


 シラウメは自室のデスクでスマートフォンから電話をかけている。デスクにはデスクトップPCと周辺機器、大量の資料が所狭しと置いてある。椅子に寄りかかり、背もたれに身を預けながら気楽な様子で話していた。


「何の情報ですカ?」

連夜(レンヤ)という人間について。」

「成程。その情報は売れませンという回答でいいですカ?」

「あぁ、はい。分かりました。それで十分です。ありがとうございます。それでは別の情報をお聞きします。最近人間がよく消えるようですが、規模など何かしら情報があれば買いたいです。」

「えぇ。いいでしょウ。約200人のグレーや黒の人間が消えましタ。初期は一般人と変わらないポテンシャルの成人男性100人、次に戦闘能力の高い人間80人、最も最近が16歳以下の子供で20人が消えましタ。そのうち死体で発見されタ数の内訳は、一般男性65人、戦闘可能者5人、子供16人でス。いかがですカ?」

「ふふっ。ありがとうございます。まるで用意していたかのような回答ですね。感謝します。代金はいつも通り、そちらへ振り込んでおきますので。」

「えぇ。分かりましタ。ひとつ……。雑談をしましょウ。シラウメさん、テレパシーを知っていますカ?」

「テレパシー……。よく双子が言葉を介さずにお互いの考えを伝え合うことが出来るという物ですよね?」

「えぇ。まさにそれでス。テレパシー。存在するそうでス。」

「……。なかなか興味深いですね。」

「えぇ。本当に二……。私からは以上でス。」

「ふふっ。ありがとうございます。調べてみますね。それでは失礼します。」


 シラウメは通話を切断し、スマートフォンをテーブルに置いた。


「テレパシー……。難しいですね……。」


 ふと時計を見るとまもなく9時半になる。そろそろ約束の時間だ。シラウメはしっかりと椅子に座りなおし、姿勢を正した。するとそれを待っていたかのようにコンコンと扉をノックする音が聞こえてきた。


「どうぞ。」


 シラウメが答えると扉がゆっくりと開いた。現れたのはアイルだった。


「シラウメおはよう。」

「おはようございます。」


 アイルは部屋に入ってくると、シラウメが座るデスクの前に立った。


「報告をお願いします。」

「うん。レンヤ君の事だけど。あれはやっぱりおかしいね。強敵と対峙する度に強くなる。そして恐怖心が欠如している。それでいて、内面というか性格はビビりで温厚だ。明らかに歪だよ。人間性が破綻している。思考と行動が合ってない。多重人格とか自分のマインドや体を幻術なんかで一時的に上手くコントロールしているという線も考えてみたけど、そんな様子は無かった。彼は彼のまま、ちぐはぐな状態だ。俺が育ってきた社会でもこんなアンバランスな人間はいなかったと思う。」

「分かりました。ありがとうございます。戦闘面についてもう少し詳しく教えてくれませんか?」


 アイルは何かを思い出すように目を閉じて首を傾げている。


「そうだねぇ。女装で戦ってた時の様子を見た感じだと……。プレイヤーランクの基準で言うと、彼はAかBくらいになっていると思うよ。Aランクなりたて位が妥当かな。ビンゴとキャロルがSランクレベルだから、彼らよりは明らかに下ではあるんだけど、もともとの身体的ポテンシャルがある人間ではないのにこの期間でこのレベルはやっぱり天然ではありえない。殺し屋の一族なら分かるんだけどそんな事もなさそうだし。」

「天然ではありえない……ですか。随分核心を突いた事をいいますね。ふふっ。」

「まぁね。イレギュラーは色々俺も最近見てきたから。」


 アイルは苦笑している。恐らく何か気が付いているのだろう。


「今後の彼の状態への予想を教えてください。貴方なりの推測でかまいません。」

「うーん……。彼は成長してもSランク止まりだろうね。あとは、破綻する日が来るかもしれないなって俺は思うよ。こんな精神にも肉体にも負荷がかかる環境下で、歪で不安定な状態を維持できるはずはないからね。」

「成程。参考になります。ありがとうございます。他に気になる事や気が付いたことはありますか?」

「そうだね。シラウメの友達の女の子。彼と一緒にいる子。俺はそっちの方が気になるし警戒しているかな。」


 アイルはにこやかに笑っているが、目が笑っていない。どうやらシラウメに釘を刺しに来たようだ。動物的な勘が鋭い人間には分かってしまうものらしい。侮る事の出来ない能力だと本当に痛感する。


「ふふっ。大丈夫です。心配には及びません。理解していますから。」

「そ。分かった。なら何も言わない。」

「はい。それでは引き続き彼らについて観察をお願いします。」

「OK。分かったよ。」


 アイルは返事をするとシラウメの部屋から出ていった。シラウメはそれを見送ると、ふーっと息を吐いた。自分の欲しい情報は着々と集まっている。しかし同時に不安材料も集まりつつある。まるで綱渡りをしている気分だ。気を抜けば真っ逆さまに堕ちていくだろう。


 シラウメは、暫く目を瞑ってぶつぶつとワードを呟き思考を行い情報を整理した。今仕入れた情報と今までに集めた情報とを照らし合わせて確認を行う。自分が導いてきた解がまた色濃く鮮明になってきた。もはや間違いはなさそうだ。


「胸糞悪い解ですね。反吐が出ます。」


 シラウメはそう呟くと、パソコンをアクティブにし、仕事を再開した。 

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