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アンバランス ―イミーン人のいない世界を目指して―

作者:スペンサー
最新エピソード掲載日:2026/10/29
アマツという国には、「イミーン人」と呼ばれる者たちがいる。

それは、国外からやってきた人々をひとまとめにした蔑称だった。

真面目に暮らす者もいれば、犯罪に手を染める者もいる。しかし、相次ぐ強盗や誘拐事件によって、イミーン人への憎悪は日に日に強まっていた。

そんな国で、一人の悪魔が人間たちを眺めていた。

その名は、ヴォラクシオン。

人間に取り憑き、欲望を叶え、取り返しのつかない過ちへと導く悪魔。

彼が求めるのは、罪を犯した人間が最後に味わう、絶望と後悔に満ちた魂だった。

ある日、ヴォラクシオンはハルという心優しい少年と出会う。

悪魔であることを知りながらも、ハルは彼を恐れず、親しげに「おじさん」と呼んだ。

そして、ハルの姉である十四歳の少女、ナツミ。

礼儀正しく、家族を大切にする優しい少女だった。

だが、ある日突然、その平穏は奪われる。

強盗によって両親と弟を殺され、絶望の淵に立たされたナツミ。

家族を奪った犯人への憎しみは、やがてイミーン人と呼ばれるすべての人々へと向けられていく。

「世直しをしましょう。イミーン人は、皆殺しです」

かつて誰よりも家族を愛した少女は、平和な世界を取り戻すという正義を掲げ、悪魔の力を借りて殺戮の道を歩み始める。

だが、ヴォラクシオンの目的は少女を救うことではない。

彼女が正義を信じて罪を重ね、いつか自らの過ちに気づく、その瞬間を待っているのだ。

これは、正義を信じる少女が悪へと堕ちていく物語。

そして、その結末を心待ちにする、一匹の悪魔の物語
プロローグ 喪失
2026/10/29 12:17 (改)
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