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巨大なイモムシ

クルァァァァァァッ!!


耳をつんざくような咆哮が森中に響き渡る。


俺の目の前には、巨大なイモムシが立ちはだかっていた。 その体は黒く、一本の金色の縞が全身を走っている。


高さはおよそ十八メートルほどある。

その巨大なイモムシから放たれる気配に、全身がぞくりと震えた。


まずい。 かなりまずい。


「……本気でやばい」


あんな化け物と戦うなんて、どう考えても得策じゃない。 逃げるのが絶対に正しい選択だ。


あんな化け物とは戦いたくない。

俺はゆっくりと後ろを向き始める。

一歩。 そして、また一歩。


物音ひとつ立てないようにしながら、静かにその場を離れ始める。


(音を立てるな。音を立てるな。あんな化け物とは、本当に戦いたくない)


巨大なイモムシは俺を真っ直ぐ見つめると、耳をつんざくような咆哮を放った。


クルァァァァァァッ!!


(振り返るな。このまま歩き続けろ)


俺は気づいていないふりをして、そのまま前へ進み続ける。


その時――


ビュンッ!!


何かが、とてつもない速さで俺に向かって飛んでくる。


「……えっ?」


反応する間もなく、粘着質な糸が俺の足に絡みついた。

巨大なイモムシは、その糸を強い力で引っ張る。


(……!?)


俺の体は地面の上を引きずられていく。

次々と木々に激突し、そのたびに木がへし折れていった。


何もできないまま、巨大なイモムシは俺の体を巨大な岩へ向かって振り回す。


次の瞬間 -俺の体はその岩へ激突した。


ドォォン!!


衝撃で巨大な岩は粉々に砕け散る。

土煙が舞い上がり、砕けた破片が四方へ飛び散った。


俺はゆっくりと立ち上がり、自分の体を見下ろす。

驚いたことに、深刻な傷はどこにもなかった。


「えっ……!? あんな攻撃を受けても耐えられたのか?」


普通の人間なら、あんな攻撃を受けて生きていられるはずがない。

そこで俺は思い出す。


(俺はドラゴニドだ)


俺の体は以前よりも、はるかに強くなっている。

それに、ドラゴノイドなら何らかの魔法の力も使えるはずだ。


何かをする間もなく、巨大なイモムシは突然、空へ向かって頭を持ち上げた。


次の瞬間、その口から巨大な糸を吐き出す。

その糸は空中で大きく広がり、森一帯を覆っていく。


気づいたときには、俺の逃げ道はすべて完全に塞がれていた。


細い糸が四方八方から森を覆い尽くし、俺を囲む巨大な蜘蛛の巣を作り上げていた。


俺は手を掲げる。

すると、手の上に炎が燃え上がる。その炎を糸へ向かって放つ。


炎は糸に直撃し、大きな爆発を引き起こした。


だが、何も起こらない。

一本たりとも糸は燃えていなかった。


つまり、この戦いは避けられないということだ。


これ以上時間を無駄にせず、再び先手を取られる前に巨大なイモムシへ攻撃を仕掛けることにした。


俺は全速力で巨大なイモムシへ駆け出す。

だが、巨大なイモムシは落ち着き払っていた。


巨大なイモムシは念動力を使い、二つの巨大な岩を地面から出現させる。

そして、その岩を全力で俺へ向かって投げつけてきた。


俺は二つの岩をかわし、そのまま全力で拳を振るう。

その一撃の衝撃で、巨大なイモムシは後方へ押し飛ばされた。


だが、巨大なイモムシはまったくダメージを受けていない。


クルァァァァァァッ!!


巨大なイモムシは怒りに満ちた咆哮を上げる。


次の瞬間、巨大なイモムシの周囲に何百本もの毒の槍が現れた。

巨大なイモムシは間髪入れず、それらを俺へ向かって放つ。


毒の槍は、とてつもない速さで迫ってくる。

俺はすぐに全速力で走り出し、それらをかわし始めた。


次々と毒の槍が俺の周囲の地面へ突き刺さる。

だが、その一本たりとも俺には当たらない。

やがて、すべての毒の槍が撃ち尽くされた。


俺は足を止め、巨大なイモムシを見つめる。


そして、俺は手を掲げ、強力なエネルギー球を空へ向かって放った。

一瞬たりとも無駄にせず、俺は全速力で巨大なイモムシへ向かって駆け出す。


到達する直前、全身の力を拳へ集中させ、ドラゴンパンチを地面へ叩き込んだ。


ドォォン!!


地面は粉々に砕け散り、その衝撃で巨大なイモムシも体勢を崩す。

俺はすぐに砕けた地面の岩をいくつもつかみ、巨大なイモムシへ向かって投げつけた。


巨大なイモムシは念動力を使い、対抗するように岩を投げ返してくる。

両者の岩は空中で激突し、粉々に砕け散った。


だが、その一瞬の隙に、俺は巨大なイモムシの背後へ回り込むことに成功する。

俺は全力を込めて、ドラゴンスラッシュを二連続で放つ。

巨大なイモムシは俺のほうへ振り向く。


だが、もう遅い。

二つの斬撃は、そのまま直撃した。


クルァァァッ!!


巨大なイモムシは苦痛に満ちた叫び声を上げる。


同時に、先ほど俺が空へ放ったエネルギー球が高空で爆発した。

数十個もの強力なエネルギー球が、雨のように上空から降り注ぐ。


それらは次々と巨大なイモムシへ激突した。


「この攻撃なら、あの化け物を倒せるはずだ」


たった一体の化け物を倒すためだけで、俺は魔力のほとんどを使い果たしてしまった。


もし、この先もっと強い化け物が現れたら……俺はどうすればいいんだ?

化け物を倒したことで、俺は安堵の息をつく。


だが、その直後――


ビュンッ!!


土煙の中から、一本の毒針が飛び出してきた。


すぐに避けようとしたが、間に合わなかった。

毒針が俺の右胸をかすめ、小さな切り傷を残す。


やがて土煙がようやく晴れた。


巨大なイモムシは、まるで何事もなかったかのように立っている。

その体には傷一つ見当たらない。


「……そんな馬鹿な」


こんな化け物、どうやって倒せばいいんだ?

俺の攻撃は、どれ一つとしてあいつに効いていないように見える。


そのとき、不意に一つの考えが頭に浮かんだ。


「……作戦がある」


外側からダメージを与えられないなら、内側から与えればいい。


作戦は単純だ。

残っている魔力をすべて使い切り、あいつの口の中で強力な一撃を放つ。


この作戦が失敗すれば、俺は終わりだ。


一瞬も無駄にせず、俺は巨大なイモムシへ向かって走り出した。


だが、その瞬間、巨大なイモムシは突然、煙を放つ。

視界は煙に完全に覆われた。


俺は構わず、自分の感覚だけを頼りに巨大なイモムシへ向かって進み続ける。

そのとき、突然俺は地面へ倒れ込んだ。


足元を見ると、俺の足は巨大なイモムシの糸に絡め取られていた。

俺は足を糸から引き抜こうとする。


だが、さらに何本もの糸が俺へ向かって飛び、体に巻きついていく。

煙が晴れたときには、俺の体は完全に拘束されていた。


巨大なイモムシは、ゆっくりと俺を自分のほうへ引き寄せていく。

俺は必死にもがいて抜け出そうとするが、十分な力を出せない。


先ほど受けた毒の槍の毒が、俺の体を弱らせている。


感覚までも鈍くなっていた。

だからこそ、あいつの罠にはまってしまったんだ。


巨大なイモムシは、ゆっくりと俺を引き寄せていく。

俺は顔を上げ、巨大なイモムシを見る。


巨大なイモムシはゆっくりと口を開いた。


「……えぇぇ!? これは俺の作戦には入ってないぞ!」


次の瞬間、巨大なイモムシは俺を一口で丸呑みにした。


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