突入
東側の封印が、三分後に破れた。
正確には、破れたのではなかった。電磁系の出力が封印魔法と干渉して、封印そのものが内側から膨張し、石壁ごと外に弾け飛んだ。爆音がした。粉塵が舞った。
「提督」
エリオが粉塵の中で叫んだ。
「問題ない。前へ」
シオンが言った。ベレー帽の縁を一度だけ直した。
十名の兵士が崩れた壁を越えた。地下通路に入った。通路の壁に、文様が光っていた。装置の出力が上がっている証拠だった。エレアが先頭に立った。足が速かった。長い時間をかけてここへ来た人間の足だった。
「どこまで行けば装置に届きますか」
シオンが走りながら聞いた。
「この先に広間があります。そこに制御核があります。装置本体はさらに奥ですが、制御核を止めれば出力が落ちるはずです」
「はずです、というのは」
「やったことがないので」
「正直でよかった」
シオンは走り続けた。
一方、北側の通路では。
リラが走りながら、カバンの中を確認していた。本が三冊あった。一部の戦いで使った本ではなかった。ヴェルダ国の図書館で見つけた本だった。読んだ。全部頭に入っていた。
「アルヴィさん」
「はい」
「炎と雷、どちらが石に強いですか」
アルヴィは走りながら答えた。
「石には振動が一番強い」
「振動」
「そう。共鳴させれば、どんな石でも砕ける」
リラはカバンの中の本を一冊取り出した。走りながら開いた。特定のページを探した。あった。古代の音響理論だった。ヴェルダ国の図書館で見つけた時、なぜか手が止まった本だった。
「これ、使えます」
アルヴィがちらりと見た。
「使える」
リラは本を閉じた。閉じたが、中身はもう全部入っていた。
祭壇の間が近づいていた。




