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すれ違い

午後、アルヴィとルテは城の廊下を歩いていた。

図書館からの帰り道だった。石の廊下は長く、窓が少なかった。防衛上の理由からか、至る所に松明を掲げるための鉄の器が据え付けられている。二人の足音が、冷えた空間に等間隔で響いていた。

角を曲がったところで、僧侶と行き違った。

年配の男だった。法衣を着ていた。すれ違いざま、胸の前に手を当てて恭しく会釈した。アルヴィも会釈した。それだけだった。三秒もかからなかった。

僧侶の足音が遠ざかった。

アルヴィは少しだけ歩調を落とした。ルテが気づいた。アルヴィの顔を見た。表情は変わっていなかった。いつも通りの、穏やかな顔だった。

それがルテには、少し違って見えた。

アルヴィが何かを処理している時、彼女の顔は穏やかになる。感情が動いている時ではなく、何かを整理している時に。ルテが千年かけて覚えた顔だった。

廊下の先で、光が差していた。外の庭だった。

アルヴィが言った。

「ルテ」

「はい」

「ここには長くいない方がいい」

ルテは問い返さなかった。

「分かりました」とだけ言った。

二人の足音が、石畳の上で続いた。


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