6 鑑定能力プラス
「まじ……すげェな!」
ほかにも付録があるかもと欲張って再度【説明本】をアプデしてみる。
『説明本はすでにアップデート済みです』と出るのだ。
「ああ、そうきたか……1回でマックスになるのか」
目覚めてから顔も洗わず、
この画面が閉じてくれないのでずっと格闘している。
つぶやいたら、また次の指示が出た。
『スキルをひとつ選び、鑑定してください』
「……えっ?」
また来たんですけど。まだあるの?
「スキル」も鑑定できるのか。
ぜひ試しておこう。
無限アップデート以外なにも持っていないけど。
ええい!
「スキルの【無限アップデート】を鑑定して!」と口にしてみた。
まさか「スキルも鑑定できるなんて」と疑っていたから唱えたりしなかったけど。
しかし、正解を引いたようだ。
正解音が付いて結果が出た。
『スキルの【無限アップデート】を鑑定しました』
「いや何それ? そんで速いっ!」
とりあえず、ステータスの更新があったので見る。
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ラルク・アッシュルーズ 17 男
人間 LV. 1
【HP/体力】 100
【MP/魔力】 3
【こうげき】 1
【ぼうぎょ】 1
【魔 法】 反復1 収納1 回復1
【 運 】 0
【収 納】 【 】【 】【 】
【大事な物】[説明本]<+鑑定能力>(アプデ済み)
【☆スキル】ユニークスキル【無限アップデート】<+ツリー>(アプデ済み)
(ユニークスキル初回アップデート完了までの更新時間:149016時間)
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「アプデ済みと整理されただけだな。
きっと他のスキルを得たら鑑定ができるよっていうチュートリアル」
ない頭脳で整理します。
転生スキルと説明本の無限アップデートが終わった。
すると、それぞれに追加スキルを獲得。
これから入手するアイテムを無限アップデートでき、
無限消費となる。
スキルが何か追加される可能性もある。
鑑定に関してはさっきも確認済みだけど。
[説明本]に鑑定能力が追加されたのは<ツリー>スキルの恩恵で間違いない。
しかも鑑定能力は、所持品・採取物のほか目視物まで含んでいる。
目視物というのはゲーム設定などではほとんどない。
情報量が多すぎると混乱するから、
極力余計なモノは見過ぎない方が良いだろう。
アプデ済みはわかった。
あとはツリーで期待値が上がる感じか。
その尺がいかほどかは知らないけど。
自分の『所持品』として入手。
その後何でもアップデートできる感じですか。
ここまでは異世界のモノを知ることと、
モノの強化ができること。
その強化自体は、
有難いことに無制限使用にはなる。
けど直接的な僕の強さに繋がっていない。
すっかりと地に落ちてしまった賢者の系譜としての信頼。
それをすぐに取り戻せるほどのチカラはまだない。
焦りは禁物というが、もっと強力な能力を開花させたい。
いかなるアイテムから何がスキルとして派生するのか。
持ってはマイナスになるものなど慎重に模索していくのだ。
「小難しいことは苦手だから、扱いは簡単にしたいな」
ところで、
「おい……なに、この時間は? えーっと──じゅ、17年間じゃねえか!?」
それじゃ、女神と別れてほぼ今日まで──。
ずっと更新中だったってことか。
前世のゲーマーなら、
ブチ切れてても不思議じゃなくて、
半日も続けば無限アプデと大騒ぎして炎上するんだよな。
「いまさら不具合だけは勘弁してくれよ」
それが今朝完了させられる状態に入ったってことになる。
アプデが未完了だったせいで赤子から今日までスキル知らずで生きてきた。
よろこべ!
ラルク・アッシュルーズ。
「な、なんか……キタぞぉーーーッオオ!!!」
17年間をすこし振り返る。
その昨日までの自分を振り返ると、これまたぞっとする。
なにせ悪役令息に生まれてきたのだから。
彼は絵に書いたようなダメ人物で常に努力を惜しむ心に満ちていた。
生前の僕も人との関りが苦手ではあったが。
だけど僕は誰かにそこまで酷い八つ当たりはしなかった。
アッシュルーズ家三男。「ラルク・アッシュルーズ」。
ラルクは富豪の子息に生まれた。
三男で正妻の子だが、今じゃ出来が悪いとの評判しかもっていない。
母は10歳で死別、すぐ後妻が来た。
後妻には連れ子が二人いて、弟とその下に妹がいる。
家の跡継ぎは男子のみとなっているが、自分の変わりはすでにいる。
女神曰く、ここは剣と魔法の異世界。
魔王がいて魔物が世界中に蔓延るところ。
剣士や賢者が居るファンタジー世界だ。
こんなところに来たら、誰しも冒険者一択に人生を掛けたいものだ。
このラルクは古の賢者の系譜に生まれた。
なのに才能が微塵も開花しないんだ。
メンタルはへこみ続けた。
悪態や暴言がつきなかったのも事実だ。
僕の生前は裕福じゃなかったけど、それでも学校に通える環境はあった。
でも陰キャで友達もなく、家族に内緒でネットカフェでゲームばかりしていた帰り道、トラックにはねられたんだ。
僕だけは元のままか。
だけど冴えない奴だと自分でも思っていた。
そんな時にこの出来事に巡り合い、前世の記憶も戻ったわけです。
運が0なのに、今までよく死ななかったなと感心しているくらいさ。
さあ過去はともかく、スキルを理解して巻き返していくんだ。
ステータス項目をよく見ると、【鑑定能力】はアプデ済みとなってない。
「おっと、【鑑定】のアプデをまだ試していない!」
【鑑定能力】を試しにアプデ!
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【鑑定能力】が分岐され【サーチ】が追加されました。
【鑑定能力】+[サーチ](アプデ済み)
☆鑑定の効果効能とは別に、アイテムの所在や追跡が可能。
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おおお、やったぁ!!
物は試しというからな。
「ほう! 鑑定能力にサーチ機能がついた!
これは超便利だ。所在地が判るなんて素敵すぎる!」
そして、
【無限アップデート】はアイテムをスキル化し、無限消費を可能にする能力。
「アイテム無限化。やばいよコレ! そんなにしてくれるんだ」
長年溜まっていたモノが一気に来た感じだ。
ついに僕は転生スキルを手に入れた。
これからはゲーム感覚で楽に過ごして行きたい。
でもほかに気がかりなのは、やっぱり「運」のステータスだよな。
運ステータスについて説明本は記していないか、頁をめくった。
次の頁に、ラルク・アッシュルーズの説明があった。
やばい項目が目に止まる。
『ラルクは異世界の法則にて、悪役令息ゆえに必ず身内に殺される運命』
「やな法則……」
運に関する項目だけ酷い。
運の悪さは即死レベル!
悪役転生だし、そんな気はしたけど。
「……運が0なので嫌な予感あった」
その手の読み物も知っている。
主人公からの酷い仕打ちを強い憎しみに変えていく召使いたち。
その仇討のためにいつか逆襲企てる。
昨日ラルクも家族から冷たい仕打ちを受けた。
実家の屋敷を追い出され、物置エリアへと送られてきたばかり。
今回の件でラルクの立場はずっと弱くなり無防備な状態だ。
殺意を抱く者が家中にいると思うと先行き不安である。
「運が0だと法則レベルに到達するんか……」
この運の悪さも今後の視野に入れ、早急に打開策を探らねばならない。




