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「難攻不落の氷姫」と呼ばれる他校の美少女に傘を渡したらなぜか養ってもらうことになった  作者: 星宮 亜玖愛


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第30話 決着

♦︎♦︎♦︎


『おい!乃亜から聞いたかよ』


「うん、聞いたよ」


 焦る声を上げる奨吾と電話越しに会話をする。


『どうするよ』


「待て待て、1回落ち着け」


『落ち着けったって』


「乃亜が言ってたことは最後まで聞いたか?」


『あ…』


 そうだ、乃亜は俺たちそれぞれに電話をして《《あること》》をしてきてくれと言ってきた。


 そのあることとは…


『もし奴らが結姫になにかしていたら俺がそいつらに暴力を振るわれるように仕向ける。それを撮ってくれ、それは後で俺が警察と学校と家族に送り付ける………』


「そうだ、俺らはただあいつ(乃亜)の言う通りにすればいい。あとは乃亜が何とかしてくれる」


『でも警察と学校は分かるけど家族に送り付けたってあんま意味はないんじゃないか?だってそういう奴は家族にもバレてるもんだろ、そういうことをしてるって』


 奨吾の言うことは最もだ。


 大体は家族にもバレてる場合が多い。


 でも…


「乃亜が言ってたんだ、あいつは優等生だと、家族の前でも学校でもな」


『そういう事か…』


「それにあいつの父親は警察官だとも言っていた」


『……でもなんでそんなこと知ってるんだ?』


「どうやら黒幕だと踏んでる奴が同じ小学校出身らしい……乃亜も虐められていたと言っていた」


『そっか……』


「とにかく、俺らはいち早く乃亜と夢咲さんの所へ向かうぞ」


『あぁ、分かった』


「じゃあ後でな」


 そう言って俺らは電話を切った。


♢♢♢


「ごめん、待ったか」


「いや、俺も今来たばっかだ」


 少しあとから来た奨吾は額にうっすらと汗を浮かべていた。


 俺も家を飛び出して走ってきたから汗が滴ってきている。


「それで、どうすればいいんだっけ」


「とりあえずバレないように乃亜を探すぞ」


 二丁目の三番目の裏路地ということだけは聞いている。


「ちょっと待て」


 裏路地に入って少し歩くと人の話し声…いや、怒った声が聞こえた。


「これは…乃亜の声だな」


「だな」


「ちょっと見てみるか」


 俺はバレないようにゆっくりと曲がり角から覗いて見た。


 そこにはボロボロになった夢咲さんをかばいながら怒っている乃亜が居た。


「っ……!!」


 今すぐにでも飛び出していきたい気持ちをグッと抑えてただ唇を噛むことしか出来なかった。


「どうだ…?」


「いる…動画はここから撮ろう」


 そう言って俺はカメラを向けた。


 夕闇の中、寂しげな風が頬を撫でる。


 それが少し俺には痛かった。


「っ!!」


 少しすると乃亜はそいつらに殴られていた。


「くそ、行かなきゃ…」


「ダメだ奨吾、まだ抑えろ」


「でも…」


 乃亜は最低でも1分は撮ってくれと言っていた。


 それに…


「今ここで行っちゃダメなんだ、あいつの覚悟も救えなかった罪の償い方も夢咲さんへの想いも、その全てを奪ってしまうことになる……」


「だからって…」


「俺だって今すぐに助けに行きたいよ、でも…それじゃ本当にあいつのためにはならない。頼む、乃亜に償わせてやってくれ」


「……分かった。でも、乃亜の言っていた1分を超えたらすぐに行くぞ」


「あぁ、もちろんだよ」


 時間は五十秒を過ぎたとこ。


 乃亜は殴られて飛ばされていた。


 そこで1分が過ぎた。


「よし、行くぞ」


「確か乃亜、撮り終えたらライトを一瞬つけてくれって言ってたよな」


「そうだったな」


「なんでだろうな」


「さぁ?俺には分からんな」


「まぁそうだよな」


 奨吾がライトを一瞬点滅させた。


「よし、行くか」


「行くぞ」


♦︎♦︎♦︎


「これからは…俺たちの時間だ」


「いや…たかが二人来たところでなぁ?実は俺喧嘩強いんだわ」


 舐めまわすように気持ち悪い視線を俺らに向けてくる。


「残念、こっちには乃亜を殴ってる暴行動画あるんですわ」


 すると高木が反論した。


 でも、それだけじゃこいつは止まらないだろう。


 力づくでもスマホを奪ってそれを消しに来るだろう。


 どうする…考えろ、考えろ……!


「あー、ごめん!警察ももう呼んじゃった」


 次は奨吾が口を開いた。


「奨吾…!」


 そこまでやってくれていたのか…!


「くそ、逃げるか…」


「残念、そっち側の逃げ道全部塞いじゃった」


「は……?」


「警察の人あとら2、3分で来るって」


「ははっ、ならお前らぶっ倒して逃げればいいだけじゃないかよ」


「喧嘩をよくやる人に丸腰で来ると思う?」


「何を言って…」


「あ、乃亜の分も持ってきたよ」


 すると奨吾は背中に背負っていたケースからバットを取りだした。


 お前ら……そこまでやってくれてたのか。


 ほんとに感謝しかない。


「くそ……バットごとき……!!」


 まぁそうだよな、親の前ではいい子にしてる中野が親にも学校にもこんなことがバレたら大変だろうなぁ。


 でも、少しバットを振りかぶると簡単に後ろに後ずさった。


「くそ……」


「お前が結姫にやってきたことはこれ以上のことなんだよ、虐められてきた方はずっと心に残り続けるんだよ」


「俺は今回しか…」


「知ってるぞ?こいつ(朱美)が虐めてるのを知った瞬間楽しそうだって言って学校中に結姫のありもしない悪い噂を広めたこと」


「なんで…」


「同じ学校のやつに聞いたんだよ」


「チッ…」


「残念だけどもう時間みたい」


 遠くからサイレンの音が近づいてきた。


 俺たちはそれを聞いてバットをしまった。


 それを見た瞬間中野は猛ダッシュでこちらに向かってきた。


 でももう遅い。


「大丈夫かい!!」


 後ろから警官の人達が駆け寄ってきた。


 あぁ、こいつらはもう終わったな。


「まじ…か……」


「本当は殺したいほどにお前のことが憎い。でもそれじゃダメなんだ、お前は生きて罪を一生かけて償え」


 サイレンの音が響く夜闇の中、中野の悲痛な叫びがこだました。


 でもその叫びは俺には痛いほど憎かった。

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