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ハンドル
貴方はハンドルを握ると人が変わる。
音楽もラジオもつけず、家族の笑い声も邪魔だと言う。
そんな生真面目で誠実で真っ直ぐな貴方が好きだった。
ハンドルを握っていない貴方は、時に癇癪を起し、時に笑った。
そんな人間臭い貴方も好きだと思っていた。
別の人と過ごす時はハンドルを握っていなかったと思う。
家族を裏切った時はハンドルを握っていなかったと思う。
だから、ハンドルを握っている今の貴方に切り出すの。
私達の別れを。
200文字小説よりは、詩の方が私には合っているような気がして、ここで一度完結とさせていただきます。最後までお付き合いいただきありがとうございます。