……言いたくありません!
予定は予定であって、決定ではない。
国王から「待った!」を掛けられたが、無事に俺達はガルシアナ王国の王都から出発した。
俺達は、盗賊共の駆除以外は寄り道をせずに夜間も移動したから、約2か月で我が辺境の都市ランフィリアに到着した。
流石に2か月も寝食を共にしたからエマ達とも仲良くなり、冗談も言える仲になったが、リンさんの教育で弁える所は弁えている。
「……大きい!」
「そうだろう」
「想像以上に発展していますね」
「まあな」
エマとイネスからの感想だ。
王都の宰相に、こき使われて最新の経営を知って帰ってきた親父は凄かった。
……ある意味で我流だったからなぁ。
アルセリアさんはアルセリアさんで、久し振りに会った友人達と情報交換をしたお陰で、領地の経営は相乗効果で良くなった。
それで、俺達は領主館に帰ると、親父達にエマ達を紹介した。
「父上、イネス達をよろしくお願いします」
「うむ」
「アルセリアさんも、よろしくお願いします」
「任せなさい」
「母さんも」
「任せて!」
「ダナス達も」
「ああ、大丈夫だ」
「ええ、任せなさい」
俺達は、長旅の疲れを癒し、次の冒険の旅の準備をする為に、1週間の休みを取る事にした。
……と、いってもゆっくりしたのは3日程で、サラはポーション等の作製を始め、カレンはダナス達の武具の修復をしながら、俺達の新しい武具を考えているし、リンは親父やアルセリアさんから情報を貰い精査している。
俺とクリスは、午前中は親父やアルセリアさんから教育を受けたり、鍛練場で汗を流すが、午後からは2人で散策したりした。
「それにしても廃嫡の上で、王家が所有する飛び地の領地に生涯幽閉か」
「……そうね」
「クリスは、どう思う?」
王太子が異世界恋愛系ラノベの悪役令嬢モノを地でいく馬鹿をやらかしたが、漸く処分が下された訳だ。
因みに、養女の男爵令嬢マーガレットもセットで幽閉が決まったが、本人は断固拒否しているらしい。
……無駄な事なのにな。
「……もう、どうでも良いと思っています」
「何故だ?」
「……言いたくありません!」
そう言いながら、顔を赤くしたクリスを見て察した俺は嬉しくなり、クリスの手を繋ぎ散策を再開した。
散策から帰ると、王家からの手紙を見せながら親父が言った。
「ジークハルト、次の冒険の旅は中止だ。
第2王子を王太子に宣言する場に参加する様にと、ご下命が下された」
「……分かりました、父上」
確かに、その場に居なかったら「叛意有り」と受け止められないからな。
そんな訳で、急遽、王都に行く準備を始めた。
それで、大変なのは第2王子グリフィル殿下で、今から王太子教育が始まり目が回っている上に、グリフィル王子と婚約していたイリステル侯爵家の長女ベスティリアもまた、王妃教育が始まった訳だ。
それで移動開始すると……
「違う国の王都かぁ」
「ああ、そうだなぁ」
エマとセロンの会話だ。
イネス達は居残りで、一緒に来たのは我が星屑のパーティ入りをした料理番エマと、その護衛兼助手のセロンだけだ。
……終わったら、そのまま冒険の旅に出るつもりだしな。
エマは才能が有ったのか、たった数日間で料理の腕をかなり上げていた。
セロンはセロンで、ダナス達に護衛の「いろは」を教わっていた。
それと、馬車は親父組と俺達組に分かれているが、当然だが親父組の馬車も空間拡張は無いが魔改造済みだ。
特に居住性を重視してある。
……さて、特にイベントも無く王都のタウンハウスに到着した俺達は、翌日まではゆっくりして、次の日からは色々と動いた。
何しろ、第2王子が王太子になるから、派閥とかが政治的に動くからだ。
親父といえども難しい判断をしないといけない。
それに、俺の評価を改めて確認しないといけない為に、俺達は屋敷の中で大人しくしているが、その理由は、軽い気持ちで王都を散策すれば、どんな「悪評」が流れるか分からないからだ。
それから2週間で、急ピッチで下調べから始めて、派閥同士の根回し等を済ます。
それから3日後に、王都の民が王城に集まり、その民の前で、グリフィル王子が王太子になる事が宣言された。
「ホスティランド王国国王として、宣言する。
第2王子グリフィルを王太子とし、次代の国王になる事を!」
「第2王子のグリフィルだ。
私は宣言する。 私は王太子となり、次代の国王になる事を!」
「「「「「「「「「「「「「おおーーー!!!」」」」」」」」」」」」」
……と、無事に宣言式は終わり、場所を王城内に移し、会談が始まった。
俺とクリスは、様子を見る為に壁の華をしていると、ヴィルナーグ公爵と、その娘ベルティア嬢が近付いて話し掛けてきた。
「久しいな、ジークハルトよ」
「お久し振りです、ヴィルナーグ公爵」
「そちらもな」
「はい。 お久し振りです、ヴィルナーグ公爵様」
「未だに、君には根も葉もない悪評が燻っているみたいだが、心配するな。
悪評が広がる様な事実は無い」
「ありがとうございます」
まあ、当然だよな。
悪評を認める事は、ヴィルナーグ公爵の調査結果を信じない事を指すからな。
だから、ヴィルナーグ公爵はアピールするかの様に声を上げて言った。
この後、ベルティア嬢も参加して、軽く雑談をすると、ヴィルナーグ公爵とベルティア嬢は俺達の前から去った。
そして、それが合図であったかの様に会場の明かりが全て消えた。
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