48-1 まずは構想から始めよう
前章のあらすじ
アトリエ3年目。アカシャの家の卒業式合同、入学式に出席する。
ところが伝説の木の下にアレクサントは呼び出されてしまった。
現地におもむくとそこには予想通りマハ公子の姿、公子は学生という猶予期間の終了と、王族としての責務が始まることを悲しんでいた。
そのマハ公子の願いにより、卒業旅行もとい諸国への挨拶周りと外交公務を手伝うことになる。
レウラの翼を頼りに世界各地を飛び、マナ先生という危険で最強の護衛者を同伴させた。
北方フレスベル自治国、エルフの聖域にてエルフの最長老キエとも彼らは面会した。
キエが言うには、マハ公子は建国の王者マハカーラ・アバロンその人だという。
老いたマハカーラはルール違反を犯し、眠れる者に2度目の人生を願った。こうしてアレクサントが魔侯という地位に収まったのもそのためだとキエは言う。
会談は成功、迷宮攻略によるフレスベルとポロン公国の接続強化の約束が結ばれる。
その後、レウラ強化のために北へと向かい、キングエレメンタルを探した。
ところがアレクらは偶然にも古なる者の隠れ里を発見していた。
それは戦いに敗北し、自己修復も叶わず、ただあとは壊れ崩れてゆくしかない敗北者と、その眷属たちの里だった。
その仇敵と眷属が見逃してくれと哀願する。アレクは迷いながらもそれを認め、交換条件として他の古なる者についての情報と、キングエレメントの情報を求めた。
その討伐に向かうと、魔力の塊というその性質に苦戦することになる。
救援に古なる者の隠れ里の民が現れ、アレクを援護してくれた。だが不幸にも狙われ、電撃で焼き殺されそうになる。それをアレクが救った。
ダリルとの合作、スタッフオブガイストを犠牲にして、目当ての素材と里の者の命を救っていた。
残る古なる者は2体、1体は空から来て、もう1体は海の向こうから来るという。
旅の最後にアレクサントを待っていたのは、かつての家族だった。
やさしく誠実な義兄ウェスタが弟との再会を待っていた。
ウェスタは己を死の直前に追い込んだ弟を許し、むしろ実妹アクアトゥスを救ってくれたこと感謝していた。
こうして次期大公マハとの旅が終わり、収穫と救済と共に公国へと帰国するのだった。
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欲望まみれの杖作り
約束されしGあふるる世界の始まり
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それは魔王のいるアトリエの、夢と希望と思い付きの詰まった杖でございました。
しかしそれは同時に呪いの杖でもあったのです。
朽ち果てた妖魔の杖。主人アレクサント3代目の杖の物語の、はじまり、はじまりでございます。
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48-1 まずは構想から始めよう
帰国してすぐに俺は新しい杖作りに着手しました。
なにせお気に入りのスタッフ・オブ・ガイストがあのとき消し飛んでしまったからです。
こうなると不便なもんです。ダリルとの合作を失った喪失感も重なって、新しいやつが欲しくてたまらなくなりました。
「で、問題はどういう杖を作るかなんだよな」
「部屋に押し掛けてきたから、ちょっと期待してたのに、何だそんなことかー……。ふーん、でも面白そうじゃん!」
最初にダリルを頼りました。
コイツと俺とで作ったやつが壊れたんだから、コイツに相談するのが当たり前の流れです。
「ダリルならそう言うと思ったよ。壊れたら壊れたで、これで新品を作れるとか喜ぶかなって」
「えー、壊されちゃった残念さはあるよー? でも新作作りたい気持ちの方が大きいかな~、ダリルちゃんにまかせんしゃい!」
なにその語尾……。
褐色肌美しきダリルがドンッとたわわなおっぱいを叩いて揺らしました。
今さらだけど、これ確実に育ってるような……育ってるわ。
「で、問題はどんなの作るかなんだよ」
「え、アレックスの中で決まってないの? こういうの欲しいなーって、あるでしょ」
「いやそれがそんなに浮かばないから困ってる。ぶっちゃけぶっ壊れ性能だけあればいいかなって思う反面? なんかそれ、つまんない気もしてくるな?」
「うん、つまんない。ふーん、なるほどねー。あ、それじゃこうしようよ。アレックスの部屋に戻ってて」
手のひらをパチンと叩いて流れるような自然さで、ダリルが俺を部屋から追い出しました。
そんでお嬢の部屋に駆け込んでいく。なるほどお嬢か、良い杖を作るにはzが要る。うちのzの管理役をまず説得しようというのか。
俺が混じると余計にこじれると経験則が告げているので、素直に部屋に戻って2人の来訪を待ちました。ところが、そこで止めておけば良かったのです……。
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夜中、就寝の早いリィンベルがベッドにつく頃。グリムニールさんとレア、エルザさんがもう寝ちゃっている頃。
俺の部屋の人口密度がいきなり跳ね上がりました。
ぞろぞろとうちの連中が押し掛けてきたんです。
「アレックス、連れてきたよー」
「待て待て待て待て待て、なにこの団体さんっ?! お前っ、遅いと思ったらどんだけ声かけてきたんだよっ?!」
ダリル、リィンベル、この2人は想定していました。
そこにうちのアトゥと悪友ウルカ、少し眠そうなアインスさん、アシュリーまでもが集合していましたとさ……。
「この部屋狭いっス……」
「ウルカっ、ちゃっかり兄様の隣を取らないで下さいっ!」
「じゃあアトゥが真ん中ね。せーんせ、詰めて詰めて」
ベッドの端っこに押し込まれました。
そこにアトゥとウルカが腰掛けて、お嬢が運んでくれたイスが部屋に追加されます。
「ご主人様、話は、聞かせていただきました……」
「水くさいじゃない、あたしたちを頼りなさいよ!」
「いやあの……どういうことですかこれ……? ダリル、まずお前に聞きたい」
杖の構想について相談しに行ったら、俺の部屋におなごが押し掛けてきた件。
なんか想像していた展開と違う……。
「いや~、アレックスもしかしたら落ち込んでるかと思ってさー、みんなで考えた方が元気になるかもしれないし、良いネタも浮かぶんじゃないかなー!」
「そうね、落ち込んでるのは確かだわ。自慢の杖が消し飛んだんだもの」
「兄様、ネタ出しはアトゥらにお任せ下さい」
「そうそうアトゥの言うとおり。アインス眠そうだし、ぱーっと考えて寝ようよ。それじゃいくよ、司会はリィンベルさんね!」
司会って何だよ、司会って……。
え、待って、お前らが杖の方向性考えるの? もう不安しかないんだけど……?




