14-06 2/2 白き幼竜と共に行くカントリーロード
「危ないところを助けて下さりありがとうございました。そうですここで出会ったのも何かの縁、よければ広い街道に出るまでご一緒させてもらえませんか?」
さらに道を進みました。
すると商人のお姉さんがなんか野盗に襲われてました。
ささーっとその野盗を木っ端みじんに吹き飛ばすと、彼女はそんなお願いを押し付けてきたのでした。
「嫌です」
「ちょっ、アレクまたアンタっ! そんなのひどいじゃない!」
「そんな……そんなこと言わないで連れて行って下さい……私怖いんです……」
根拠は無いですけど怪しいです。
あんなことがあった後ですから何となくで疑っておきましょう。
「やです、ごめんなさい、無理です、もし勝手に付いて来たらあの盗賊たちと同じように魔法で吹っ飛ばします」
盗賊は片付けました。
一人でもきっと安全なので守る必要ないです。
「っっ……。そうですか……残念です……。ああそうだっ、これは助けてもらったお礼です、どうぞ皆さんでお食べ下さいっ」
「いや要らない」
「そう言わずどうぞっどうぞっ、それでは私はこれで!」
その商人のお姉さんがまんじゅうを山ほどくれました。
そうして俺の目から見れば、逃げるように横道へと去っていきます。
こっちはしばらく真っ直ぐ進んで、彼女の姿が見えなくなるまで見計らいました。
「ぽいっ! っと」
「えっ、いきなり捨てるのっ?!」
それからそれを道の端っこに投げ捨てました。
ソレは不自然な木箱に包装されており、投棄の衝撃で無惨に中身のまんじゅうが土の地面に散乱ちゃいます。
「ファイアボルト」
「しかも燃やしたしっ?! ……うっっ、なにこの臭いっっ!!」
燃やしました。
硫黄系でしょうか、黄色い煙と青い炎が上がってます。
「だからなんでこういう古典的な手使うかなぁ……」
「ええええ……ええ、もしかしてこれ……毒……?」
「そうだったっぽいね」
「う、嘘……騙された……」
「いやこんなのに騙されないでよお嬢……」
食えないレベルまで焼き上がったので、後はウィンドカッターで炎ごと全部吹っ飛ばしました。
行軍再開といきましょう。
「キェェェーッ♪」
ところがそこにレウラが戻ってきました。
また俺の腕を無視して今度は頭の上に着陸し、なんかしきりに進路の方角に鳴いています。
「ちょっと見てくる」
「見てくるって……ああそっちね……」
おとなしいレウラを頭から抱きなおし、それをお嬢の胸にたくします。
近くに高い木がありました。
なんなんでしょうかね、俺はその木を登り、十分な高さから見下ろしました。
「何か見えるーっ?」
「あーーなるほど、レウラよくやった」
「キュルルルッ♪」
お嬢の胸の中でレウラは自慢げに喜びます。
何が見えたってさっきの野盗の本隊かなにかなんでしょうか、数にして50近い敵の待ち伏せがありました。
「賊の待ち伏せだ。……騎馬が多いな、迂回してもこりゃ逃げ切れなそう」
「それ大変じゃない! あたし公子様に伝えてくるわ!」
「うん、そっちは頼んだ」
逆にこっちから奇襲すれば対処出来そうです。
ただ数が数なので物騒な戦いになりそうというか、本音を言うとめんどくさいしおっかないです。
もっと楽な方法を考えてみましょう。うん、そういえばアレがありました。
「レウラ、こっちに来い」
「クルルゥ~♪」
俺が呼ぶと白き飛竜は嬉しそうに木の上にやって来ます。
同じ幹に止まると重そうに足場がしなりました。
「じゃレウラ、これ頼んだ」
「クルル……?」
それを渡すとレウラは鳥みたいに首をかしげます。
「いいか? あいつらの真上でこれを落としてくるんだ。その後お前はすぐに距離を稼げ」
「キュルッ……クルルルルッ……♪」
よくわからないけど任せろご主人。
そんな感じで、レウラはとある玉を鷲掴みにして天へと飛翔しました。
またたく間に竜は高高度に達して、遠いその陰が敵陣めがけて滑空飛行を始めます。
「アレク、レウラになに渡したのよ」
「プレゼント」
お嬢は自分が言い出した伝令も忘れてレウラの行く先を見上げました。
そのレウラがついに目的地に到達、ぽーんっと俺が頼んだ物が敵陣に投下されます。
「調子乗ってないでハッキリ言いなさいよっ!」
「爆弾?」
それも特性の超強力音爆弾。
俺がちょっと早めに耳をふさぐと、たぶんお嬢もそれにならいました。
遠くから見れば埃みたいに見える爆弾が、大地へと激突します。
たちまち轟音と絶叫が轟きました。
その後すぐにレウラが戻ってきて、遠いうめき声も遅れて聞こえてきます。
「うん、お仕事完了。俺はここで見張ってるから、一応公子様に報告してきて。まだ動けるやつもいるかもだし、賊は捕縛だけしといてここの領主に任せよう」
「う……うぁぁ……うっさぁぁ……耳がキンキンするぅ……。もうっ、やるならやるって言いなさいよバカーっ!」
おおむね全滅です。
お嬢が抗議してきましたが、種明かししたらつまらないじゃんと言い返しておきました。
「アレクのアホーッ!」
「うん、良い実験にもなった。これはレウラとの相性が良いな」
どうもそれが最後の襲撃部隊だったようです。
その後は俺たちの道を阻むものもなく、輸送隊は無事に連合国ハルティアに到着するのでした。
・
「ありがとうございますアレクサント先生っ。名残惜しいですが、僕らはもうしばらくこっちで交渉ごとを進めることになっていますので……。あっ、でも国に戻ったら先生のアトリエにご挨拶しに行きます! そのあとよろしかったら……二人だけでゆっくりディナーでもどうでしょうか……えへへ……♪」
俺たち冒険者組はそこで軽く現地を観光した後に公子と別れ、それぞれ気ままに公都へと帰国するのでした。
…………。
……。
いえその……あんまり期待を込めて言うもんだから、良心がとがめて断り切れませんでした……。
マハくんの女の子のように艶やかな髪がハルティアの風になびき、それがメデューサとなって俺を絡め取る。
そう表現するに値する、大変困る魔性というかホモオーラが濃厚に立ち込め俺の帰国を急かすのです。
一刻も早くここを去らねばならないと。
どうしよう……。
ううん、大丈夫……大丈夫……。
ただ二人だけでご飯食べるだけだしぃ……全然安全だよぉ……?




