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大阪を歩く犬  作者: ぽちでわん
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ガリバー未満の頃

日々の散歩は、小さいときには近所の公園に行っていた。

最初はこわかったけれど、大好きになった公園ね。

それからおかあさんは「小型犬と言ってもトイ・プードルは、書物によっては15分の散歩でいいとか書いてあるけれど、そんなものでは足りない」という文言を見て、散歩圏を伸ばした。


ちょうどいいところにあったのが住吉公園。

毎日の散歩にはちょっと遠い、とおかあさんが思っていたらしいところ。

今では自分の庭くらいの近さに思えるけれど、最初は、どこまで歩くの~?って感じだった。

知らない道をひたすら歩いたように思った。


おかあさんも「ちょっと遠いな~。今日は自転車で行っちゃおう」という日もあって、あの頃のわたしたちはずいぶん能力を出していなかったな。怠慢だった。

後に初めての町で、「〇〇駅ってどっちに行けばいいですか?」なんて訊くようになり、よく「〇〇駅? このあたりに駅なんてないわよ!」とか、「〇〇駅!? 歩いてなんか行けないわよ。ぜったい!!」とか言われるようになった。

陸続きですよ、歩いていけないところなんてありませんって、と言いたいところなんだけれど、無謀にも果てしなく遠くまで歩こうとしている(ように見える)わたしたちを心配して口調も強めになっている優しき人たちにそんなことは言わない。


あの怠慢だった頃のわたしたちなら言っていたかもしれないな。

「住吉公園が庭くらいの近さ? ガリバーかよ!」

自転車や歩きで、せっせと住吉公園に通っていた。

雨の日は散歩は休み。

おかあさんはマニュアル本で「毎日決まって決まった時間に散歩に行くのはNG。時間に縛られて犬にも飼い主にもよくないから、散歩に行くも行かないもあり、何時に行くもあり、犬には飼い主の都合に合わせることに慣れさせましょう」というのを読んでいたものだから、ほんと散歩はいつあるか分からないサプライズだった。


それでも散歩に行くときのわたしの狂喜乱舞がただならなかったから、おかあさんは行けるときにはせっせと散歩につれだしてくれた。

わたしもすぐに住吉公園までの距離に慣れて、行くのが楽しみだった。

ぜんぶ好きだった。いろんなものが落ちていること、きれいな花がいっぱい咲いていて、ときどき、それぞれに違う犬のおしっこがかけられていること。広いところや狭い道やベンチなんかがあり、歩いていても、柔らかい道と芝生と石の道、池には飛び石なんかもあって、楽しかった。

お気に入りの道もいくつかあった。


唯一いやだったのが、犬が集合している一帯があったことだな。

まだ小さかった頃、お兄さんやお姉さん方とはなるべく目を合わさないようにしていた。ときどきぎゃんぎゃん吠えたてられたり、リードを外した犬に追い立てられたりしたことがあって、犬はちょっと苦手。

今も、あまりお近づきになろうとは思わない。

夕方なんかに桜の広場の奥に行くと、よく犬が集合していた。わたしはたたーっと走って違う道を進んだ。

おかあさんが言うには損しているらしい。

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