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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
兄妹愛

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第72話 共闘1

『それと1割で動ける事に何も関連性は無いだろ。要点をしっかり押さえて説明してくれ』

「おや、これだけでは理解出来ませんでしたか?」


 これまた不思議だと言いたげな表情で彼は言う。

 知識格差を見下している訳ではなく純粋に理解していない様だ。異世界のルールを全く知らない相手への説明の仕方なんて、それこそ異世界転移や転生をしなければ起きえないイベントだがもう少し知識格差を理解して話して貰いたいものだ。


『アンタの常識は俺の常識じゃないんだ。『奇跡』持ち22人対レオンと『厄災の魔女』の兄妹コンビの戦闘力がイコールなのを知った所で俺が理解出来るのは、現状一人になってる『厄災の魔女』は戦闘能力的に王都相手には勝ち目が無い程度だぞ。遠回しにレオン兄妹が強いんだって脅かす前にレオンの『魂』が1割以下で動ける理由を教えてくれ』

「……失礼しました。こういう状況が初めてなもので、気配りが不足していたのは大目に見てください」

『謝るのは後で良い。あまりチンタラしてられないから要点だけ纏めて教えてくれ』

「分かりました」


 中間管理職辺りなら直接部下に指導するだろうが、権威の頂点に位置する王様じゃあ他人に説明する機会が少なくてそういうのが下手なのだろうか。一般市民しか経験していない俺には想像で推測するしかないが……まぁ、彼が説明下手なのは違いなさそうか。


「では端的に説明させて頂きますとですね。レオンと『厄災の魔女』の『魂』の総量は『奇跡』持ちの異世界人22人分に匹敵すると言う事なのですよ」

『兄妹2人イコール22人。つまり一人当たり11人分って事か………………』

「そして『厄災の魔女』の『魂』自体はそこまで強くありません。多く見積もって約2人分が関の山ですね」

『その分を差し引いて余った分をレオンに割り振るとして…………1人で20人分だと!?』


 それはつまり、レオンの『魂』が10%まで落ちたとしても実質異世界の精鋭2人分の能力になると言う事。俺はそれを50%以下の重体になるまで抑えきっていた事になる。

 簡単な算数の計算をしよう。

 レオンは異世界人20人分。それの1割を俺が半分の状態で対等。

 この式が正しいとするならば……俺の『魂』は異世界人4人分の力を持っている事になる。それに加えて俺が生存しているだけで人間兵器の戦力が常に1割削れる。

 そして、この状態で仮に俺がこの王様或いは王都の連中の味方になった場合、実質レオン兄妹と王都側の戦力差は『魂』8人分。単純な計算で結果のみ出すならば王都側の戦力はレオン兄妹の約1.45倍分の戦力になれる。


『なるほど…………だから俺を殺す理由が無い。むしろこのまま放置すると最悪レオンが俺の体を乗っ取ってアンタ等が困るし、理想を言うのであれば俺を王都側に引き込みたいって訳か』

「理解して頂けましたか」

『大まかにだがな。『奇跡』の相性とかは考慮しないで単純な計算にすると戦力差1.45倍は確かにデカい』


 だからこうして、王様本人が『厄災の魔女』や他に存在するかも知れない敵に見付かるリスクを承知で俺にコンタクトを取った訳だ。

 俺としてもレオン兄妹の内、シオンの方は俺達に危害しか加えないと理解した以上は王都の敵であるシオンをどうにかして仕留めて俺達の日常から追い出したい。

 利害の一致って奴だ。

 こちらの本当の情報をこの王様には知らせていないから程良く嘘を混ぜながらになってしまうが、上手く味方になって『厄災の魔女(シオン)』を討伐出来れば丸く収まる。

 王都側の仲間になると言う事は多少なりとも人間兵器(レオン)の相手を手伝わなければいけないだろうが、ここで友好の手を振り払って一人で対処するよりかはどうにかなる可能性が見える。


「さて、これらの情報を踏まえて、私が貴方を生かす意味は理解出来ましたか?」

『あぁ。俺を味方にしたい意図も見えた』

「それは貴方の意思を尊重しますよ。私達の世界の事情に一般人を巻き込む理由はありません。生きてくださるだけで私達に取って得なのですから、それ以上の事は強要しませんよ」

『だが、俺にはアンタ等と一緒に戦う理由はある』


 共闘する誘いを蹴る理由は無いが、仮にこれを断った場合。最悪のケースを考えるのであれば俺が知らない『奇跡』で意思を無視して強制的に戦力させられる可能性もある。

 共闘の誘いを断った所で王都側への好感度がある程度高くない限り、レオン兄妹を処理した後に『レオンの魂』の1割を持っている俺を安全に殺すと言う択を取られる可能性もあるんだ。

 ここで手を振り払って悪印象を与える理由は微塵も無いのである。

 選択の自由がある様に見えるが今後の有り得る展開も考慮すると、俺には選択肢は一つしかない。


『レオンの『魂』の一部を持っている以上、『厄災の魔女』とレオンに狙われる可能性は無視できない。そんな事されたらいつも通りに暮らすなんて出来ない。

 頼むっ!!! アンタ等の戦いに参加させてくれ!!』


 その言葉を言い終えると同時に大きな爆発音が鳴る。

 何処かで事故が起きたのだろうか。だなんて悠長な考えをする人間はここに居ないだろう。

 間違いなく『奇跡』関係の音だ。


「信世君でしたよね。貴方の意思は理解出来ました」

『って事はっ!』

「貴方を聖騎士団の臨時団員兼、最重要保護対象として迎え入れます。そして__」



「聖騎士団団員として、貴方に人間兵器の『奇跡』の使い方を教えます。私達と共に戦ってください」

異世界人×20=レオン

信世/2=レオン/10

信世/2=異世界人20/10

信世/2=異世界人2

信世=異世界人4


レオン兄妹(22)-信世(4)=18

王都(22)+信世(4)=26

26÷18=1.44……




勇者+王都勢+レオン兄妹の合計人数24名。

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