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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
兄妹愛

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第78話 兄妹愛4 おさらいキャラクター紹介4

~~~~~


「信世ッッ!!!」


 地面に倒れこむ友人に駆け寄り、顔面から倒れた彼を仰向けにさせて表情を見る。

 寿命を表す様に髪色が鮮やかな赤に染まっていく。


「信世! 返事しろよ信世!!」


 体を揺らして話し掛けても白目を剥いて返事をしない。少し荒いが息はしている。

 大丈夫だ死んでいない。その確認が取れた所で信世が意識不明の状態にあるのは変わらない。

 どうして信世がこんな事に……あの獣人の能力か? 


「まさか魔法か!?」

「……?」


 獣人の男に目を向けるもよく分からないと言いたそうな反応だ。

 意味の無い視線の送り合いをしていると、後ろからシオンさんがゆっくり歩いて来る。


「難儀な種族だよね……本気じゃないなら手出し出来ないなんて」


 その妙に悠長な態度に不信感が湧く。

 ボソっと何か言っていたが小さすぎてよく聞こえない。もしかしてシオンさんが信世をこうしたのか……?

 確かに始めは信世を殺そうとしていた彼女だけど、信世が負かしたから勝てないと悟って仲間になったんじゃないのか? だから、あれから色々な事を教えてくれて、それで彼女は仲間なのだと思っていたのに。

 接した期間は短かったけれど良い人だと思っていた。最初は流血沙汰にもなったけど、いつの間にか信世がちゃんと話して和解したんだなって思っていた。

 だから……だから仲間になったんだって思っていたのに。


「まさか……シオンさんが何かしたのか?」

「信世君は何もやってないよ。勝手に自滅しただけ」

「勝手に自滅? 信世は何もしてないだろ! 精々『奇跡』を使っただけで」

「それがダメだったんだよ」


 獣人を一瞥してすぐこちらを向く。


「どうやら時間をくれるみたいだし、信世君が起きるまで説明しちゃおっか」


 まさかと思うが、あの獣人はシオンさんが仕掛けたのか? それを聞こうとしても、どうも踏ん切りがつかない。

 その問いを彼女が肯定してしまったら、それを想像するだけで苦しくなってしまうから。

 一度は仲間だと信じた人に裏切られたくないから。

 躊躇して何も言えずにいる間に彼女の「説明」のお話が始まる。


「信世君が倒れたのはね、僕が魔法を使った訳でも、そこの害獣種族が『奇跡』を使った訳でもない。そもそもこの世界じゃあ魔力が足らなすぎるし、あの害獣種族の『奇跡』は単純な身体能力の強化だけだからね。じゃあ信世君はどうして気絶しちゃったかだけど、翔流君には…………分からないか」


 見下したかのような目線に心が痛くなる。

 仲間だと思っていた人の正体がこんなの人を人だと思っていない目をしてくるなんて、考えもしなかったから。考えたくもないから。その事実から目を逸らして今はひたすらに彼女の説明を聞く。


「『奇跡』っていうのは、使える魔法を一種類に絞って、魂を消費して、その結果圧倒的コスパの良さで使える様にした魔法なんだよ。まぁ、『魔法』と『奇跡』の発動する仕組みは根本が違うんだけど、専門的過ぎるお話になっちゃうから割愛するね」

「魂……たしか削り過ぎると精神崩壊とか人格破綻が起きるって信世と話してたよな」


 コンビニへ買い物に行く途中、信世とシオンさんが何やら話し合っていたのを聞き耳立てていたが、その時の話にも魂に関しての話がちょっと入っていた気がする。

 魂は全ての生物に存在している第二の脳みたいな物。魔法を使う際にもそれを削り取って魔力の代わりに出来るのだとか言っていたが、あまりにもコスパが悪いから使えるけど使わないとシオンさんが言っていたのは覚えている。


「ちゃんと信世君とのお話聞いてたんだ」

「そんなに俺が人の話を聞いているのが意外かよ」

「まぁ、聞いてた所で意味は無いんだけどね。だってほら、もう手遅れなんだから」


 上機嫌そうな口調で微笑んで俺を見下している彼女。

 その悪意のある言動に再び心苦しさを覚える。

 どうしてこうも人を見下せれるのか。

 どうしてこうも人を人として見ない様になれるのか。

 信世も似た所作をするが、アレは紡祇の為に空回りしているだけで他者に対しての敬意は最低限持ち合わせているって言うのに。彼女にはその最低限の敬意すら見えない。自分以外の全てが無価値である様なそんな意識が見え隠れしている。


「どうしてそんな事言えるんだよ……一緒に飯食った仲だろ!」

「一緒にご飯食べただけで仲間になる訳ないでしょ。家族だって信用出来ない世の中なのに」

「あの時楽しくやっていたのは何だったんだよ!」

「知らないよ」


 そう言い切る彼女に虚を突かれる。


「僕には分からない。お兄ちゃん以外とそういう茶番するのは他人の真似事でしかないもん」

「真似事であんな行動出来るかよ!! ああやって笑ったり、怖がったりしたのだって、真似事だって言うのかよ!」

「出来るよ。色んな記録とか記憶を参考に真似してツギハギに混ぜて、自分をそういうキャラに仕立て上げればさ」


 何を言っているか分からない。何を考えているのか分からない。彼女の言っているソレが理解しきれない。

 俺の脳みそが受け入れてくれない。そういう人間なんて見た事が無いから。

 信世なら分かるだろうか。何でも出来るアイツなら、何でも出来て、短時間なら声も所作も含めて他人を演じきれるアイツなら。


「そんな事よりさっ! 信世君の体が動ける様になったみたいだよ」


 その言葉で放置していた信世の方に意識を向ける。

 心此処にあらずと言えそうな程に、無表情で、何か考えている様子も無い。


「信世!? 大丈夫か!!」


 肩を掴んで揺すってみるが一切反応しない。

 いつも気だるげな彼にしては様子がおかしい。

 誰かを探している訳でもない。何かを考えている訳でもない。魂が抜け落ちたかの様な無気力さ。そこに確かに生きているのに生気を感じない。ただただそこに突っ立っているだけの人形みたいな物に見えた。


 しかし、人形は確かにあの獣人を見詰めている。

 あの獣人だけを見詰めている。何の意図があるかは分からない。

 ただそこに立って獣人を見たまま、友人はぼそりと一言呟いた。


「『奇跡』が残っている」

おさらいキャラ紹介4人目。主人公の親友の艶縫(あでぬい) 紡祇(つむぎ)

名前:艶縫(あでぬい) 紡祇(つむぎ)

性別:男(現在の体も一応男)

年齢:15歳

誕生日:9月1日

身長:150㎝

体重:50kg

能力:『魂の奇跡』

・魂を付与して自律して動かせる様に出来る。紡祇君本人はこの能力の上手な使い方をまだ理解出来ていない

・魂を付与した物のモチーフを能力として付与出来る。ぬいぐるみ以外にも使用可能

・魂を付与した存在は術者を主人として認識する様になる。自律してはいるが、あくまで術者に全ての主導権があるので、術者本人が操作しようと思えば操作出来る

・術者の無意識にして欲しくない事やして欲しい事は、魂付与された存在にも影響して似た思考になりやすい


詳細

・自室の半分はぬいぐるみで埋まっている

・基本温厚な性格。本来の姿は茶の混じった黒髪で童顔低身長

・能進高校一年三組。深森 信世の親友

・女装メイド喫茶アルバイト。4月から働いていておよそ2カ月程継続して働いている。このメイド喫茶のレシピを何故か信世君も作れる

・現在私室ですやすや中

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