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君との絆が奇跡になる  作者:
『奇跡』使い達
16/16

第16話 制圧

キャラ紹介。三人目。キラキラネーム陰キャの綺羅星ちゃん。

名前:綺羅星きらぼし 瑠璃凜るりりん

性別:女

年齢:15歳

誕生日:12月26日

瑠璃の誕生月の12月。日付は特に何もないのでとりあえずクリスマスの次の日にしました。

身長:165㎝

体重:45㎏

能力:印象操作

詳細:対象の好感度を操作できる。好感度の矛先は対象者本人、能力者以外、人間以外、無機物にも可。自動で常に自身への好感度を高めるようになっている。


・能進高校一年三組。

・キラキラネームの陰キャ腐女子です。自己肯定感が低く大して努力しない割に自分を見て欲しい、自分を認めてほしいと考えていて、クラスの陽キャ(綺羅星基準)と違って自分は群れないで生きれるからと無意識に他人を見下しています。病み垢で極々稀に少し際どい写真(顔出しナシ)を投稿しています。推し活垢もあります。

・美術部なので絵はそこそこ描けます。BL物を書くことがほとんどで、最近は紡祇と信世のナマモノを主に扱っています。信世には偶然見られていません。見られていたらもう一悶着ありましたね。

・配信アプリでフォロワー500人程度のアカウントを持っていて、そこで姫プして病み振りまいて慰められて自己肯定感を上げています。


 元カノが一部(当社比)モデルになっているので、無駄に設定が多いです。

 本来は、一日が終わったら信世達とは全く関係ない所で殺されている予定でしたが、なんか展開が変わって普通に生き残ってます。死ぬ可能性はまだ残っていますが、少なくとも初期設定よりもマシな境遇になっている子ですね。


それでは、本編どうぞ

 そういえば、リビングの扉はきりるんが狼形態で外から塞いでいたはずだ。

 『奇跡』が通じない翔流が居ない今、ただのデカい狼程度なら制圧は簡単だろう。停止させて綺羅星に送れば良い。

 警戒しながら少し扉を開けて隙間から確認してみるが、塞いでいる狼は居なかった。

「あれ、居ないのか」

 その代わりに連れてきた男達が全員廊下に倒れていた。ただでさえ狭い廊下が更に狭く見える。

 見たところ全員意識が無いみたいだ。

「流石にこいつらじゃ敵わなかったか」

 他の部屋のぬいぐるみは、リビングに行く前に全て制圧して綺羅星に洗脳してもらっているはずだから、紡祇の部屋にあるぬいぐるみ以外はもう居ないはずだ。

 覚えている限りだと、まだ回収していないぬいぐるみは「きりるん」と人魚のぬいぐるみの「サカナもどき」とゲームキャラクターのぬいぐるみ3個で合計5個のはずだ。

 男達を踏みつけて紡祇の部屋まで一直線に向かう。

 破壊された扉と小鳥のぬいぐるみが埋まっていた床の穴は完全に直っていた。壊れる前よりも綺麗に見える。向こうには小鳥と狼以外に何か手札がありそうだ。

「『開け』」

 『奇跡』で扉を開ける。手に触れて感電させるとかあったら大変だ。

 もはや新品同様までに修復された扉は『奇跡』の影響でゆっくりと開く。

 扉の先では狼形態のきりるんが隅っこで丸まっていた。きりるんのもふもふの尻尾の中では残っていたぬいぐるみ達が、頭だけ出して恐ろしい物を見るような目で俺を見ている。

 俺、コイツ等になんかしたっけな……せいぜい、ぬいぐるみ達を捕まえて綺羅星に洗脳させて無力化していただけのはずだが。

 まぁ、向こう側の立場で考えたら仲間達が全員外に持って行かれて、行方不明になっているから当然と言えば当然か。あとは、翔流の悲鳴が聞こえた後に部屋に戻ってきたのが俺だけってくらいか。

 …………確かに怖いな。

 部屋の中を隅々まで見渡す。人の姿は無い。

「おい、お前ら。紡祇かシオンは見なかったか?『教えろ』」

 喋れるかどうかは分からないが、きりるんと尻尾の中でぬくぬくしているぬいぐるみ達に場所を聞く。

 まぁ、大体隠れている場所は分かっている。というか一つしかない。

 少し抵抗する様子を見せたが、尻尾に埋まっているぬいぐるみ達はベッドに逃げていく。

 全員が逃げた後、きりるんが尻尾を退けて隠していた物を見せる。

「やっぱりここに隠れてたか」

 中には丸まって寝ているシオンが居た。

 いや、この呼吸の速さはシオンじゃないな。一緒に寝る時によく聞く寝息だ。

「起きろ紡祇。体は大丈夫か?」

 紡祇の体を揺する。

 姿は変わっても寝方や呼吸の特徴は変わらないものだな。

「どけ。ベッドに寝かせる」

 きりるんから取り返してベッドに寝かせて毛布を被せる。

 特に外傷はなさそうだ。脚も腕も顔も傷一つない。綺麗な肌をしている。

「無事で良かった」

 周囲では何か争った形跡は無い。シオンから紡祇に変わる際に何か争った訳ではなさそうだ。

 ぬいぐるみ達の数は俺が覚えている数と同じで、きりるんと人魚とその他3個で合計5個。全員戦う気力はなさそうだ。むしろ怯えている。

 翔流は時間稼ぎを任されていたようだが、一体何を準備しているのだろうか。

 シオンは紡祇に入れ替わってるし、お菓子とお茶が机に置いたまま残っている。俺を殺す手段を用意していたのかと思っていたがそういう訳ではなさそうだ。

 家に入った時から気付いてはいたが、ぬいぐるみには『奇跡』の耐性が無いみたいだ。それが分かっていたから能力持ちのぬいぐるみを出さなかっただろう。

 小鳥のぬいぐるみを最初に出したのは、俺が基本的に場を整えて本命に行くのを知っていたからか。他の部屋に潜んでいる能力持ちに挟み撃ちされるかも知れないと思わせれば、俺は全ての部屋を見ない訳にはいかなくなる。

 全ての部屋に必ず数匹は待機させていたのは、途中から他の部屋には居ないと思わせない為。時間稼ぎが狙いだからこそ最初から全力は出さずに小出しにしていたのか。おかげでかなり時間が掛かってしまった。

 リビングで翔流を出したのは一番広い部屋だからだろう。一直線に紡祇の部屋に行った時、リビングに潜んでいた狼形態のきりるんに後ろを塞がれてしまえばかなり不利になる。それを考えてリビングを攻めに行けば『奇跡』で制圧しにくい翔流が上手く時間を稼いでくれるって所か。

「『お前達、紡祇を守っていろ』」

 何が起こるか分からない。意識が紡祇に入れ替わったとは言え、まだ相手の能力が全て分かった訳ではない。ベッドに逃げたぬいぐるみに命令してきりるんの前に行く。

「まんまとお前の策にハマった訳だ」

 きりるんに向かってではなく、その背後に居るであろう人物に向かって話し掛ける。

 部屋に入った時から違和感はあった。隠しているつもりだろうが、きりるんの後ろには明らかに人一人入れるスペースがある。 

 きりるんの後ろにはシオンが残した何かがあるはずだ。ヤツの狙いが最初と変わっていないなら俺を殺す為の物。時間稼ぎが必要な程すぐには使えない物というなら、時間切れになる前に破壊しよう。 

「きりるん『そこを退け』」

 命令されたきりるんは大人しく立ち上がって紡祇の傍で丸くなる。

 隠していた物は大きい物ではなかった。小さな瓶に入る程度のサイズで、色は半透明なゼリー状の物だ。

 きりるんが隠していた瓶を手に取る。

「これは……スライムか」

 中に入っているのは中学3年生の夏に、紡祇と一緒にモールのワークショップイベントで作ったスライムだった。紡祇と二人で作ったもので、紡祇が海辺の貝殻みたいだねと言って沢山ラメを入れてはしゃいでいたのを覚えている。

 あの時も、今日と同じで水着を見に行ったんだっけか。去年は、「一昨年よりも露出度が高めのにするから!」とか言ってフリルが付いた可愛らしい水着を選んでいたが、恥ずかしかったのか結局上着も一緒に買っていた。脚は一切抵抗なく出せるのが不思議だった。

 ちなみに、今年も同じような理由で新しい水着を買いに行く予定だった。この件が終わったら、また一緒に行くとしよう。

 瓶に詰まったスライムを手に出して何か変わった所が無いか確認してみるが、何の変哲も無い普通のスライムだった。

「ブラフか?」

 中身を戻して机に置く。

 かなり拍子抜けだ。人が一人入れる程度のスペースを開けていた割に、あった物はこの瓶一つだけ。

 他に隠しているのがないか探してみたが何も無い。ぬいぐるみ達にも聞いてみたが、喋れないからどうしようもない。

 探し疲れたので紡祇の横に座って頭を撫でる。

「時間は……流石に19時過ぎたか」

 タイムリミットは過ぎている。何も起きないという事は相手の企みは阻止できたのだろうか。

 何も起きない方が心配になるのだが……。

 残ったポンデリングを頬張りつつ紡祇の頭を撫でて紡祇が起きるのを待つ。

「ん……しんや?」

 もしかしたらこのまま明日まで寝続けるんじゃないかと考えていたが、意外と早く起きたみたいだ。

 寝ぼけたまま近くにあった狼型きりるんの尻尾を抱いて起き上がる。

「おはよぉ」

「おはよう。良く寝れたか?」

「うーん。もふもふ」

 もふもふの尻尾に顔をうずめてもう一度寝ようとする。

 紡祇の癖だ。寝起きは大体もう一度寝ようとする事がほとんどだ。学校がある日は習慣で寝ぼけながらも時間通り起きてしっかり登校するが、休みの日や昼寝した時は毎回こうなる。

 ここで止めなければもう一度寝てしまうだろう。普段ならそのまま寝かせるが今はそうはいかない。

 聞かなければいけない事がいくつかある。ここは少し我慢してもらおう。

 激しく体を揺すって眠気を飛ばす。

「紡祇、起きろ」

「やだぁ。まだ寝るぅ」

 もふもふな尻尾を抱いたまま俺の肩にもたれかかる。

 緊張感のない奴だ。こんな非日常に巻き込まれたというのに当の本人は幸せそうな顔して寝ている。

 本来は、モールで買い物した後に紡祇の家にでも泊まってゴロゴロするつもりだったんだが、体が別人になって狂った綺羅星に絡まれるわ、乗っ取られて俺を殺しに来る事になるわ、翔流は頭がおかしくなって死んでしまうわで、どうも非日常過ぎる日だった。

 いつもの日常に戻れるのだろうか。少なくとも翔流は死んだから、そこら辺はどうにかしないといけない。

 シオンの件を処理して、翔流をどうにかして、裕太を探して、綺羅星達の記憶を消して家に帰して、紡祇の姿を戻して。全て終わったら今日は紡祇の家で泊まって、明日またモールで買い物しなおそう。そうしよう。

 それでいつもの日常に戻る。少しおかしな部分は残るがそれでいつも通りだ。紡祇が何も心配しないで良いように早々に終わらせよう。

 だから、まずは紡祇を起こそう。まだやる事が沢山残っている。

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