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君との絆が奇跡になる  作者: 呂束 翠
泣いても笑っても男の娘は可愛いんだよ
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第1話 夏休み初日

01


 夏の穏やかな涼しい風が吹く夜。

 24個の流れ星が流れる。

 一際大きな輝きを放つ流れ星が消えるのに続いて全ての流れ星が消えた。






02

午前10時

 けたたましく鳴るスマホのアラームを止めて起き上がる。

 閉め切っていたはずの窓はカーテンと一緒に全開になっている。母が寝ている間に開けたのだろう。

 充電器が刺さったままのスマホを取り出して、仲良しグループに「おはよう」とだけスタンプを送って洗面台に向かう。

 昨日、俺の通う能進高校は一学期の終業式を迎えた。

 式が終わったあとすぐに、クラスメイトで友達の艶縫あでぬい 紡祇つむぎと田中 裕太、そしてこの俺、深森みもり 信世しんやの三人そろってファミレスで昼ご飯を食べながら、夏休み何して遊ぼうかと楽しく話していた。

 結局、その日は細かく予定を立てられなかったのだが、とりあえず今日は水着を買いに行こうという話になった。

 しかし残念なことに裕太だけは「明日は用事がある」だとか言って申し訳なさそうに断っていたので、今日は紡祇と俺の二人で水着を買いに行くことになったのであった。

「あら、おはよう。もう起きたのね」

「うん。おはよう」

 洗面所には洗濯をしている母がいた。

 母は専業主婦で、基本的に家にいることの方が多い。

 普段、平日は学校で朝早くに出て、休日は昼まで寝る事が多いから、この時間に母が何やっているかなんて全然知らなかった。いや、知ってはいたのだろうけども、全く気にしていなかっただけだろう。

 世の専業主婦は大体この時間に洗濯しているものだ。きっと。

 歯磨きと洗顔を終えて、ついでに母の洗濯の手伝いをする。

「お手伝いありがと。今日は紡祇ちゃんと一緒に遊びに行くんでしょ。お昼ご飯食べてく?」

「いや。向こうで食べるから良いよ」

「そう。ご飯は冷蔵庫に入れているから、レンジでチンして食べなさい」

「ありがと」

 冷蔵庫にはラップされた卵焼きと千切りキャベツがあった。一緒にお茶碗もあるので、お米も炊いているのだろう。

 少し遅い朝ご飯を準備し終えてテレビを流し見しながらご飯を食べる。

『昨晩能進町に降り注いだ24個の流れ星の正体は、宇宙から落ちてきた小さな流れ星の残骸なのではないかという説が有力になっていますが、私の見解としては』

 どうやら昨晩、この辺りで流れ星あったみたいだ。俺はその時間は寝ているので当然、見ている訳がない。

 紡祇や裕太辺りは見ていそうだな。あいつらよく夜中起きてるし。今日会ったら聞いてみよう。

ピロン

 スマホから通知音が鳴る。グループのメッセージには紡祇が白銀和服イケメンのキャラクターがボイス付きで「おはよう」と言っているスタンプを送っていた。

「あいつ、ほんとこのキャラ好きだな」

 このキャラは、昨年の夏からサービス開始したゲーム『百鬼繚乱』で紡祇の推しキャラで、名前は『穂波坂ほなみざか 銀之助ぎんのすけ』だそうだ。

 長髪高身長で冷静沈着。トップの右腕で軍の指揮を執っていて、その上剣術も作中トップクラスという完璧超人のようなキャラではあるが、主君にはワンコのように構ってくるというギャップが良い。という話を毎回聞いている。

 ちなみに、ここでいう主君とはプレイヤーのことで、圧倒的カリスマで登場するイケメン達を次々とそのカリスマ性で配下にしていくという、まぁ、女性をメイン層にしたゲームによくありそうな設定だ。

(こういうゲーム自体これしか知らねぇけどな)

『今日、モールに13時集合だよな?』

 一応の確認メッセージを送ってすぐに既読の通知が付く。既読は付くが返信は全く来ない。

 紡祇は朝起きると『おはよう』のメッセージはすぐに送るが、そのあとすぐにスマホを置いてご飯を食べたり着替えたりするので、既読が付くだけで反応が無いのはよくあることだ。

「ごちそうさま」

 使い終わった皿を水に付けて早めに出掛ける支度をする。

 さぁて。高校生初めての夏休みの始まりだ。

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