表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/404

第87話 美?少女、始まりました……!?


「やってくれたな。聖女さんよ!」


「うふふ、そう声を荒げなくてもよろしいのでは? 勇者様には危害を加えた訳ではありませんのよ? 反転して差し上げただけですわ。」



 怒りを露わにするファルとそれを宥めようとする聖女様。一体、俺の体には何が起きたのだろう? 別に怪我とか洗脳されたとかではないと思うんだが? 当然突然の出来事だったので、何かされるとは思ってなかったので“孤影承禅”も発動できなかった。無防備な状態に何かされてしまったのだ。



「どうしたファル? 別に何も……って何この声!? 俺の声可愛すぎない? 声がなんかヘンになってる!? ていうか俺なんコレ?」



 なんと声が美少女になっていた! なにかおかしい! 違和感を感じたので自分の体のあちこちを触ってみる。アレ? あるべき物が股間にないんだが? しかも、胸が柔らかくなっている! ば、バカな! 部屋の中に鏡があったのでそれを見てみた!



「ぎゃあああっ!? なんか微妙にブサイクな女の子がいるぅぅぅ!?」


「完全にしてやられた。あの噂が本当だったとは。おかげで微妙なブスが出来上がってしまった。」



 なんか知らんが、俺は女の子になってしまったようだ。声は可愛くなってはいるものの、外見は凄く微妙だ。少し若返っているようにも感じる。元が元なので仕方ないが、エルという美女をしょっちゅう見ている自分としては、非情に見劣りする外見となってしまった事がショックである。しかも性別が反転した影響からか、エルに対して劣等感を感じてしまっている。普段、ファルに対して抱いている感情がエルの方へと向かっている。本当に女の子となってしまったようだ……。



「お気に召しましたか?」


「ど、ど、ど、どうしてこんなことを?」


「どうせ活躍して頂くんでしたら、プリメーラとユニットを組んで活躍して頂きたいと思いまして。」



 困惑する俺に対して、光り輝く太陽のような穏やかな笑みを返してくる聖女様。これじゃ反論できないじゃないか! 有無を言わさずプリメーラの啓蒙活動に協力させるつもりらしい。



「いやいや、思いましてとか言われても!」


「これはちょっとペナルティ的な意味もあります。勇者様はご自身の匂いをもう少し気にされては如何かと存じ上げますが?」


「え? もしかしてアレの匂いのこと言ってます?」


「むしろそれ以外って何だよ! ほら見ろ! つけ込まれる切っ掛けになっちまったじゃねえか!」


「つけ込むだなんて滅相もありませんわ。ただ私は勇者様に“美”に対しての学びを体験して頂きたかったんですの。」



 つけ込まれた事にキレるファル。 まさかガツ丼のモリッチョ爆盛りを食ったことがこんな事態を巻き起こしてしまうだなんて! これぞ正に、一寸先は闇! 昔の人はうまく言ったモンだ!



「何をしたらこのお仕置きは終わるんですか?」


「先程も申しましたようにプリメーラと共に活動して頂きたいのです。あの娘には他にメンバーがおりませんので。」


「へ? アイツとっすか?」


「期間は一ヶ月間。あの娘とユニットを組んで一緒に過ごして頂きます。」



 タニシとは意気投合していたが、俺とはどうなんだろう? なんか気が合わないような予感がするんだよな。似たようなタイプであるミヤコとは噛み合わないというのに。アイツから迸る陽キャオーラに俺は耐えられるんだろうか。



「無理無理無理! そんなん絶対無理ですやん!!」


「手取り足取り、レッスン致しますので問題など御座いませんわ。」


「観念しな。なっちまったモンはしょうがない。せいぜい一ヶ月間、性別反転を楽しむこった。」


 楽しめったってなぁ? 今までずっと男だったので、違う性別の生き方なんて知るはずがない。最近、エルの日常を見ることになってようやく女の人の事を知るようになった程度だ。割と気を使うことが多そうだなって感想を持った。と同時に俺には絶対出来そうにない生き方だと思った。俺に女の子なんて出来るはずがないのだ!



「ぎゃわわっ!? あ、あ、あ、あっしも美少女にしてほしいでヤンス! 是非是非、お願いしたいでヤンスぅ!!」



 俺が絶望しているのを尻目に、タニシは興奮気味で聖女様に食い下がっている。自分もなりたいだと? 出来るなら役目変わって欲しいわ。



「あらあら? 貴方も女の子になりたかったんですか? 残念ながら、この秘術は一ヶ月に一人限定で実行できる物なのです。またの機会に……というより貴方には別の役目をご用意して差し上げようと思ってますのよ。」


「や、役ぅ!?」


「貴方にはプロデュース業をになって頂こうと思ってますの。」



 えぇ? まさかタニシの指揮下で活動しろと? なんかイヤな予感しかしないんだが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ