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ミッション53 任務失敗・・・!?そして後日談・・・・・・!


「うわぁ・・・、見事な焼け野原だな、これ」


「イイイッ、イーイーイイー・・・」(残っているのは、黒焦げになった巨大イノシシとアニマルレンジャー達だけか・・・)


「イイーイー、イーイー。イイッ」(あっち(巨大イノシシ)の方は完全に沈黙している様だが、こっち(アニマルレンジャー達)の方はまだ生きているみたいだぜ。ピクピク震えてらぁ)


「マジか。結構ダメージを食らった筈なのに。本当にどんだけ頑丈なんだ、コイツ等。」


アルミィの必殺技である【大電熱地獄】が放たれた場所を見て回る俺達は、その成果に感嘆を、それと同時に呆れの感情を覚えた。

前者の感嘆は巨大イノシシへ向けて放たれた【大電熱地獄】の威力について。

今回アルミィが放ったこの必殺技は、『電磁檻スパーク君』の使用と、対象範囲の限定、さらに言えば十分な電力がなければ発動出来ない技だが、威力という点だけはハッキリ言えば凄まじいという言葉しか出てこないものだった。

技が放たれた場所にあったあらゆる物―――薙ぎ倒されていた大木や草花―――が全て炭と化し、風に流されて塵と消えていくのを見れば、どれ程の威力であったのかが分かる。

そして後者の呆れについてだが、これは巻き込まれる形で【大電熱地獄】を受けたアニマルレンジャー達に対してのモノだ。

俺達の目標であった巨大イノシシは【大電熱地獄】を受けた事でその体の大半を真っ黒な炭と化し、原型が殆ど保てなくなっていた。

だというのに、アニマルレンジャー達の体は黒焦げにこそなってはいたが、それは飽くまで表面的なものでありスーツの内側にある肉体は健在な様であった。

ピクピクと体が痙攣している様子から生きているようであり、しかも肉体機能も損なわれていない様で、彼等の負ったダメージは実質全身火傷くらいではないか、というのが戦闘員達の見解だ。

バイオクリスタルによって怪物化した巨大イノシシが倒れる程の威力の技を受けておきながらその程度で済んでいるだなんて、本当に呆れる程の頑丈さである。


「とはいえ、流石に気絶しているようだが」


「イイイッ、イーイイー、イー」(それでも肉体に然程ダメージが無いってのは、凄まじいを通り越して最早恐ろしいぜ、ディーアルナ様)


「イー。イイッ、イーイー・・・!」(ああ。俺達だったら、まず間違いなく欠片も残らねぇだろうな・・・!)


「イーイーイイー、イイイーイー」(ヒーローって大概非常識な連中ばかりだけど、耐久性に関してはコイツ等が随一と言えるね)


「コイツ等も結構非常識な存在だよな」と呟く戦闘員達。

ただ、その発言はブーメランだという事に彼等は気付いているのだろうか?世間一般で言えば、お前等も十分に非常識な存在だといえるのだが。

・・・・・・いやまあ、怪人に成ってしまった俺も人の事は言えないけどさ。


「イーイイー。イイッイー?イーイイー・・・」(そういえばディーアルナ様。アルミィの様子はどうですか?必殺技を発動していた時に様子がおかしかった様でしたけど・・・)


「ああ・・・。あの後に精根尽き果てた様に倒れて、今はあそこで寝転がっているよ」


戦闘員一号の問いにそう答えながら自身の後ろを指差す。

そこでは、地面に大の字となってスヤスヤと眠りこけているアルミィの姿があった。

【大電熱地獄】を放った後の彼女は、先程俺が口にした通りにまるで電池が切れた様にぶっ倒れた。

初めは崩れる様に倒れたアルミィを心配したのだが、穏やかな寝息を立てながら眠りこけている様子を見て大丈夫そうだと判断した。

彼女の様子を見た戦闘員三号が言うには、おそらく扱いきれる以上のKエネルギーを行使したことでオーバーフローが発生し、強制的に活動休止状態になったのではないかとの事。

まあ、詳しいことは基地に連れ帰って検査をしてみないことには分からないらしいのだが。


「まあ、今は放っといても大丈夫そうだから、そのまま休ませておこう」


「イッ。イイー、イイイー」(了解。それじゃあ俺達は、当初の目的を完遂するとしますか)


戦闘員一号はそう言うと、少し歩いた先で横倒しになっている巨大イノシシの元へと歩いていく。


「イイッ、イー。イーイイー?」(どうだ、二人とも。バイオクリスタルは見つかったか?)


「イッ、イイー。イーイイーイー・・・・・・」(ごめん、まだ調査中。飲み込んでいるのは間違いないと思うんだけど・・・・・・)


「イイイーイーイイー、イーイー」(『水質測る君』は炭になって崩れた腹の中から見つかったんだが、そっちの方はまだだ)


戦闘員一号は、先に巨大イノシシの調査を行っていた二号と三号に進展具合はどうだと声を掛ける。

声を掛けられた二人は、今回の調査の切っ掛けとなった『水質測る君』を見つけられはしたものの、目標物であるバイオクリスタルはまだ発見出来ていないと首を横に降る。


「イー・・・。イイイーイーイイー。・・・・・・イーイー、イイー――――――」(そっか・・・。もしかしたらそっちじゃなくて口の中にあったりして。・・・・・・なーんて、そんなわけ――――――)


バシッ。・・・コロン。


「・・・イッ?」(・・・え?)


「あっ」


「「イッ」」(あっ)


パキャン。


戦闘員一号が冗談だと言いたげに黒焦げ状態となっている巨大イノシシの頭を軽く叩いた瞬間、半開きとなっていたその口元から六角柱の形をした紫色の結晶体が転がり落ち、そして地面に落ちた途端に粉々に砕けた。


「イイイィィッ!?イーイィィッ!?」(何か転がり落ちたぁぁっ!?そして壊れたぁぁっ!?)


「イッ・・・!イッイイー・・・!」(むむっ・・・!これ、多分バイオクリスタルだよ・・・!)


「イッ!?イイッイー!?イイイィィッ!?」(マジで!?え、じゃあ、これって俺のせいか!?俺が壊しちまったのかぁぁっ!?)


一瞬の静寂の後、「ぎゃあああぁぁぁーーーっ!?」と悲鳴を上げる戦闘員一号。

彼は今回の目標であったバイオクリスタルを、結果的にとはいえ自分が壊してしまったことに滅茶苦茶焦り、狼狽(うろた)え始める。

・・・ていうか、戦闘員一号の慌てふためき方が何だか踊りを踊っている様に見えるんだが・・・。あの動きって、東北のよさこい踊りとかに良く似ているなぁ・・・。テレビでしか見たことないけど。


「イッ、イイイッ、イイーイーイー」(いや、この劣化具合から推察するに、バイオクリスタルが壊れたのは一号のせいじゃないね)


「イッイイッ・・・!?」(えっ、本当・・・!?)


そんなめっちゃわちゃわちゃとしている彼の元へ救いとなるであろう声が届けられる。

その声の主は戦闘員三号であり、彼は地面に落ちて砕け散ったバイオクリスタルの欠片を手に取り、様々な角度から眺めていた。


「イー・・・。イイッ、イーイーイイーイー」(うん・・・。多分、アルミィの【大電熱地獄】で発生した熱が原因で結晶内部の結合に綻びが出来てたんだと思う)


「綻び・・・?なぁ、三号。確かバイオクリスタルって、かなりの種類のエネルギーが寄り集まって出来たものだからそう簡単に壊れないんじゃなかったっけ?」


「イーイイー。イーイー。イイッイーイイーイー」(ええ、そのとおりです。単純な物理では壊せません。ただしそれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の話ですが)


「・・・・・・どういう事?」


「イイーイー、イーイー、イイイーイー。イーイイー。イイイーイー。イーイー。」(先程ディーアルナ様が言った通り、バイオクリスタルは数えきれない種類のエネルギーが寄り集まり、固まって出来た物。そしてその内部にあるありとあらゆるエネルギーは全てが一律であり均一。上がる事も下がる事もなく、どれか一つが突出している訳ではありません。バイオクリスタルの高い硬度はその奇跡的な均衡によって成り立っていると言っても良いです)


そこまで話し、「ですが・・・」と言葉を続ける戦闘員三号。


「イイッ、イイーイーイー。イーイイー、イー。――――――イイッ」(外部からエネルギーを供給、あるいは干渉された場合には一気に脆くなります。エネルギーの均衡が崩れたバイオクリスタルは結晶体と言う形を保てなくなり、消えてしまうんです。――――――こんな風に、ね)


そう言いながら掌の上のバイオクリスタルの欠片を俺に見せる戦闘員三号。

そしてそれを見た俺は驚きの声を上げた。


「なっ・・・!バイオクリスタルが融けて水みたいになっていく・・・!?」


どろどろと融けて液体状になって行くバイオクリスタル。

それはまるで、融けて水に代わって行く氷の様にも見えた。


「イイイッ、イーイー」(こうなってしまっては、もうどうしようもありません)


「と、言う事はつまり・・・」


「イッ。イイー」(はい。今回の任務は失敗ですね)


そう断言する戦闘員三号に、俺は「やっぱりか・・・」と肩を落とすのであった。








「――――――そう言う訳で。すまない、任務は失敗した。」


「・・・・・・ふむ。そうかぁ・・・。」


その後任務先から帰って来た俺達は、ブレーバーに事の詳細を報告した。

当然バイオクリスタルを壊してしまったことによる任務失敗の事も、だ。


「むぅ・・・。まあ、壊れてしまったモノは仕方がないだろう。なに、次の機会があったらその時に手に入れられればいい」


俺の報告を聞いてそう冷静に返したブレーバー。

だがその反応を見た俺は思わず首を傾げてしまった。

俺の想像では、喉から手が出る程のアイテムである筈のバイオクリスタルを手に入れられなかった事で、ブレーバーが結構なショックを受けるかもしれないと思っていた。

が、実際にその報告を聞いた彼の反応は薄かった。

残念そうこそしてはいるが、落胆している様子が全くない。

・・・・・・どういうことだろうか?


「あの、ブレーバー・・・?ガッカリしていないのか?」


「む?何がだ?」


「何がって、バイオクリスタルが壊れたんだぞ。あれって確か、ブレーバーが実家に帰る為に必要な物じゃなかったのか?」


「ふむ・・・。ああ、その事か」


そう溢したブレーバーは、「そういえば」と、まるで今思い出したと言いたげな反応を見せた。


「確かにバイオクリスタルは(われ)が、()が実家に帰る為には必要だ。しかし、別に我はそれがどうしても欲しいわけではないのだよ」


「そう、なのか?」


「うむ。そもそも我は、我々は未だにこの世界を征服出来ておらん。そんな状態で実家に帰ろうものなら、一族の皆に笑われてしまうわ」


「故に、まだ帰るつもりはない」と語るブレーバー。

小さく笑みを溢す (マスクで顔が隠れて見えないけれど)様を見て、それが本心であるという事を理解した俺は、「なるほど」と頷いた。


「それに、この地球という世界には素晴らしいモノがたくさんある。特に日本の娯楽関係。アニメとか漫画とかゲームとか、そう言った物は実家にはないし、この世界に来て十年経つがまだまだ堪能し尽くしていないからな!当分我は帰るつもりはないぞ!!」


まあ、その後に続けて言われたセリフに、思わず俺は「えぇ・・・」と溢したのだが。

それでいいのか、悪の組織のボス・・・!?


「あと、彼女が現役の内は絶対に帰るつもりはないからな、我は・・・!」


しかも更にその後にテレビを点けたブレーバーは、丁度放送されていたアイドル番組を夢中になって見始めた。


『それでは皆さんお待たせしました!アイドルヒーローシィナさんの登場です!』


「ウオォォォ・・・!L・O・V・E、シィナちゃーん!」


脱いだマントの代わりにハッピを着て、両手に持った色付きライトを振り回し始めるブレーバー。

尚、その動きは俺の記憶が確かなら、おそらくオタ芸と呼ばれる類いの踊りだと思われる。

アイドルに、しかもヒーローを兼業している人に熱中するとか、本当にそれでいいのか悪の組織のボス・・・!!

楽しそうに声を張り上げて踊っているブレーバーを見て、何となく、これから先の事が心配になってくる俺であった。







後日談

※会話をスムーズに行う為、戦闘員のセリフを直訳しております。


「おっはようございまーす!姐さーん!」


「ああ、おはよう、アルミィ。もう動いて大丈夫なのか?」


「はい!この通り元気いっぱいです!日常動作も、戦闘行為も問題なく行えるとブレーバー様からお墨付きをいただきましたし、今日からまた悪の組織アンビリバブルの怪人として頑張らせていただきます!」


シュバッ!シュビッ!シュババッ!


「そうか・・・。まあ、無理はしないようにな」


「はい!――――――あ、それと話は変わるんですけど、実はディーアルナ様にお願いがあるんですが・・・」


「お願い?」


「はい。その・・・、この前の任務でアタシ活躍したじゃないですか。なのでそのご褒美が欲しいなぁ、って・・・」


「ご褒美って・・・」


「あっ、別に金とか物とかが欲しいわけじゃないです。ただあの時、任務中にアタシが言った事を叶えて貰えると嬉しいです!」


「・・・・・・それって、俺の膝の上で寝転がったアルミィの頭や顎の下とかを撫でるというやつか?よく覚えていたな。そして本気だったのか、アレ」


「勿論です!姐さんに関する事なら、アタシは一切妥協するつもりはありませんので!――――――というわけで、早速へ~んし~ん!」


「あっ、おいコラ・・・!?」


ニャ~ン・・・!


『――――――それで、猫の姿になったアルミィを撫で回す事になったと・・・・・・』


「ああ・・・」


ナデリナデリ。


「ゴロニャ~ン・・・!」


『頭だけでなく、全身撫でくり回されて気持ち良さそうだな、アルミィの奴。・・・というか、大丈夫なのかコレ?なんか、瞳ん中にハートマークを浮かべながら、ビクンビクンしているんだが・・・?』


『まるでマタタビを嗅いだ猫状態だね。一体どうやったらこんな風になるんだか・・・・・・』


「特におかしな事はしていないぞ。気持ち良く感じるポイントを的確に撫でただけだ。」


『それだけでここまで骨抜き状態になるなんて、信じられないんだけど・・・・・・』


「生まれ故郷の島にいた、撫でるだけであらゆる動物を虜にしていた超一級撫で師直伝の技だからな。当然だ。」


『なんだ、超一級撫で師って』


「あの人の撫で技は凄かったよ。一撫でするだけで警戒心の強い動物を秒単位で堕としてしまうんだから。・・・・・・実際、俺もその技を受けて危うく堕とされ掛かった事あるし。まあその時は、俺の様子に気付いた母さんが、俺を正気に戻してくれたから何とかなったけど」


『凄いを通り越して最早恐ろしいな、その超一級撫で師・・・!?まさか人間までとは・・・!』


「ニャ~ン・・・!」


ゴロゴロゴロ・・・!







後日談その二


「――――――ちくしょう・・・!まさか、俺達アニマルレンジャーが活動再開した日に、即病院に戻される羽目になるなんて・・・!」


「命に支障は無いものの、全身大火傷で包帯グルグル巻き。向こう半年は治療が必要だそうですよ」


「『超自然的再生能力』を使っても、リハビリを含めると一、二ヶ月は掛かるそうだぜ。まあ、俺はあまりやりたくはないけどな」


「んだんだ。あれはもう苦行と呼んでもいいだよ」


「やるにしろ、やらないにしろ、ある程度体が回復をしないと技に耐えれないから、どちらにしても半月は安静にしておく必要があるけどな・・・・・・」


「ちくしょう・・・!!――――――あっ、そうだ。そう言えば俺、お前等に聞きたいことがあったんだった・・・!」


「聞きたいこと?」


「あの女怪人達との戦闘の時、お前等が使ってた技だよ!あんなのがあるなんて、俺知らなかったんだけど!」


「知らないのも当然だ。あの技は以前あの女怪人に負け、体を直した後に特訓して体得した技だからな」


「私もそうです」


「オラはお師匠様にもう一度鍛え直してもらったんだ」


「俺は――――――」


「あっ、ブラックは大体分かる。あれは元から覚えていた技だろう?


「な、何故分かった・・・!?」


「いや、流派の名前言ってたし」


「くっ・・・!?おのれ、レッド(バカ)の癖になんて察しの良い・・・!」


「喧嘩を売るなら買うぞ。というか、そうじゃなくて。何で新しい技を覚えるのに俺の事を呼ばなかったんだよ!俺達仲間だろ!?」


「「「「・・・・・・・・・」」」」


「・・・・・・あれ?」


「ふぅ・・・。一体何を言うのかと思えば、そんなことですか。」


「そ、そんな事・・・!?」


「お前を呼ばなかった理由は簡単だ。お前が何時までも看護婦さんのケツを追っかけていたからだ」


「あ、あれ・・・?そんなに追いかけてか?俺って」


「めちゃめちゃ追いかけていただよ、レッド。終いにはしつこいナンパに嫌気がさした看護婦さんがレッドの顔にデッカイ紅葉を作る所もバッチリと見てただよ、オラ達」


「うっ・・・!?い、いや、流石に俺だって、最初から最後まで看護婦さんのケツを追いかけていた訳じゃないぜ。ちゃんと修行をしてたさ、うん」


「ふぅん・・・?――――――あっ、あそこに美人の看護婦さんが」


「えっ!どこどこ・・・!」


バッ!キョロキョロ。


「「「「・・・・・・・・・」」」」


「・・・・・・あっ」


「語るに落ちるとはこの事だな」


「そもそも、以前のレッドのしつこいナンパのせいで、此処には看護婦さんは来ないことになっていますので、先程のは当然嘘です。ですが・・・・・・」


「マヌケは自分から主張したな」


「うぅっ・・・!?」


「敢えてこう言わせてもらおう。俺達はレッドとは違うのだよ、レッドとは・・・!」


「んだな」


「ぐふっ・・・!?ちくしょう!何も良い返せねぇ・・・!」


ガクッ・・・!





読者の皆様へ、ここまで当作品を読んでいただきありがとうございます。

小説の内容に関しては、ここで一区切りとなります。

現在続きを執筆中ですが、次回の投稿が何時になるかはまだ未定です。

もう一つの作品と平行して作っているので結構時間が掛かると思われ、それまで読者の皆様にはお待ちいただくことになると思います。

それでは、また次回で。

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