表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/14

第一話:異世界でコンビニ店主になった件

深夜のコンビニ。

誰も来ない静まり返った店内で、俺──真部辰雄(まなべたつお)はレジ横の椅子に腰を下ろしていた。


「今日も暇だな……。よし、次の休みのキャンプのイメトレでもするか」


キャンプは俺の数少ない趣味だ。

だからと言って仕事中に雑誌を読むのはどうかと思うが、もちろんちゃんと買っている。

……誰もいないから弁解しても意味はないけど。


棚からキャンプ用品の雑誌を取り出し、ページをめくっていく。

すると、あるページで俺の指が止まった。


「……出た。憧れの最新モデルのキャンピングカー」


何度見ても胸が高鳴る。

だが、値段を見た瞬間、心が折れる。


「高すぎて……高嶺のキャンさんだろ、これ」


ため息をつき、雑誌を閉じようとした──その瞬間。


パァァァン!!


「うわぁぁぁ!!」


視界が白に染まり、何も見えなくなった。

反射的に目を閉じ、しばらくしてゆっくり開く。


「……えっ?」


コンビニが消えていた。

代わりに、見渡す限りの森。


「な……なんだこれ……!?」


混乱する俺の脳内に、突然声が響く。


【初めまして。案内型AIです】


「はぁ!? 脳内再生!?」


【手に持っている雑誌を開いてください】


「怪しすぎるだろ……なんで雑誌?」


【真部辰雄様は異世界に転生しました。ステータス案内を開始するため、雑誌を開いてください】


「説明増えたけど……雑誌推しの理由は?」


【雑誌が開錠(トリガー)だからです】


意味はわからないが、開けば状況がわかるかもしれない。

俺は決断した。


「……開くぞ」


パラパラ──。


雑誌が緑色の光を放ち、文字が勝手に動き出す。


————

名前:タツオ

年齢:二十歳

性別:男性

職業:コンビニ・店主マスター

スキル:店舗増設、店舗収納、店舗展開、言語理解、通貨変換

————


「若ッ!? 四十代の俺が二十歳に!? しかも店主って何!?」


混乱していると、AIが続ける。


【特別特典として、雑誌に載っているものから“なんでも一つ”プレゼントいたします】


「……なんでも?」


【はい。なんでも一つです】


俺は雑誌を開き直し、最後のページを見て涙した。


「これ……選んでいいのか?」


長年の夢だったキャンピングカー。

その写真を指差す。


【一度選ぶと戻せません。宜しいですか?】


「ああ……お願いします!」


【スキル認証……成功】


《スキル──魔導駆動式キャンピングカーの登録完了》


ステータス画面が目の前に展開される。


————

【魔導駆動式キャンピングカー】

《内装・外装》

・異空間製冷蔵庫(コンセント不要)

・魔導式エアコン(室温自動安定)

・魔導式調理器具(魔石内蔵)

・魔導式コンロ(無限使用)

・ふかふかベッド(マスター権限で人数分生成)

・車内異空間仕様(広さ可変)

・魔力回路式エンジン(外気魔素で駆動)

防御結界オート

————


「……ロマンの塊じゃん」


【すぐ使用可能ですが、どうしますか?】


「今はいい。森で傷つけたくないし」


【了解。では案内型AIは終了します。よい異世界ライフを】


声が消え、森の静寂が戻る。


◇ ◇ ◇


──だが、その静寂は長く続かなかった。


「きゃああああっ!!」


悲鳴。

近い。


今までの俺なら「誰かが助けるだろ」と見て見ぬふりをしたかもしれない。

だが、今は違う。


「……助けられるなら、助けたい」


気づけば俺は全速力で走り出していた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ