第433話 【大団円!】決着の四霊獣結界と邪神封印!大陸制覇の覇道と未来へと繋がる新たなる旅立ち!
激動の戦況の中、俺の視界には激戦を繰り広げる猛者たちの姿が次々と映し出されていた。
太古の悪獣どもと死闘を繰り広げている仲間たちの勢いも、留まることを知らない。
蛇身人面の不気味な悪獣窫窳に対し、華麗な連携魔法で追い詰める悪魔アンドロマリウスのリリア副将軍と悪魔リリスのリーネット副将軍。
猛烈な鑿の巨大な牙を持つ鑿歯の突進を、鉄壁の身構えで真正面から受け止めて押し返す悪魔ロノウェのゴブ1。
九つの頭部から毒炎と濁流を吹き荒らす巨竜九嬰を、弓矢の雨で蜂の巣にするダークハイエルフのグレイア女王。
暴風を巻き起こす巨大な怪鳥大風を、空中で鋭く切り刻む亜神ペナンガルのビー将軍。
大地を抉る巨大な大蛇修蛇の巨躯を、鋭い剣技で断ち切っていく悪魔ゼパルのリガント将軍。
そして山のような巨体を持つ狂暴な大猪封豨の猛進を、真っ向から組み伏せる亜神ヴァラーハのオク1。
我が樹海帝国の眷属たちは、完全に敵の悪獣軍勢を圧倒し、圧倒的な攻勢に出ていた。
「よし……一気に決着をつけるぞ!」
俺と霊亀のリザは、絶対的な存在感を放つ魔神蚩尤へ向けて一直線に飛び掛かった。
蚩尤は六本の腕に握られた六種類の神兵を縦横無尽に振るい、猛攻を仕掛ける麒麟のコボミと大悪魔アスタロトの二人を同時に相手取りながら、なおも圧倒的な力で押さえ込んでいる。
俺は神刀ムラマサの柄を強く握り締め、極限まで練り上げた魔力を刃に宿らせて一閃、蚩尤の胸元へ向けて必殺の突進を繰り出した。
だが、蚩尤は常軌を逸した反応速度で長剣を滑らせて俺の一撃を弾くと、すさかさず横から長大なる戈を振り下ろし、俺の首を薙ぎ払いにかかる。
「そこですッ!」
素早く割り込んだリザが、絶対防御の大盾を滑らせて戈の軌道を絶妙な角度で受け流した。空間に激しい火花が飛び散る。
その隙を逃さず、俺の全身を覆う漆黒の鎧から、亜神バアルゼブルのスラオが大量の闇の触手を爆発的に展開した。触手は生き物のように蠢き、蚩尤の巨躯と六本の腕へ絡みついてその動きを強引に拘束する。
さらにその時、空中から光り輝く砂の旋風が巻き起こり、蚩尤の足元を包み込んだ。雷神トールのライゾウが携えていた伝説の宝貝『息壌』の無限に増殖する神砂だ!
「ヒロト陛下! 息壌はそっちの補助に回すぞ! 一気にかませッ!」
風伯と激しい嵐の激突を続けながら、ライゾウが布袋から解放した息壌を俺たちの援護へと集中させてくれたのだ。
畳みかけるように、右腕から応龍のハクが神聖なる尾を力強く伸ばして蚩尤の首元に絡みつき、左腕からは精霊王レイが世界樹の太い蔦を噴出させて蚩尤の残る腕をガチガチに縛り上げた。
そして左目の神眼アイが未来視を発動。蚩尤が力ずくで拘束を破ろうとする僅かな筋肉の収縮と未来の動向を完全に予測し、スラオ、息壌、ハク、レイへ念話で完璧な拘束補正の指示を飛ばす。
「グオォォッ……おのれぇえッ!」
暴れる魔神蚩尤の六本の腕と巨躯が、ほんの数瞬、完全に止まった。
ハクの切迫した声が脳内に響く。
「長まりは持たないわ、ヒロト! 今が最大のチャンスよ!」
「おおおぉぉぉッ! 『天之尾羽張』ッ!!」
俺は全身の神気と極大魔力をムラマサに宿らせ、渾身の力で斜め一閃に刀を振り抜いた。
神刀の一閃が空間そのものを切り裂く。
ドゴォンッ!!
完璧な一撃は蚩尤の左肩口から右脇腹にかけて見事に通り抜け、巨躯を真二つに両断した。
しかし——鮮血は一滴も流れない。
両断された蚩尤の断面から不気味な黒い神気が溢れ出すと、まるで蜘蛛の糸のような無数の白い紐状の物体が断面から凄まじい勢いで湧き出し、切り離された上半身と下半身を力ずくで繋ぎ合わせようとし始めた。
(うわ……マジかよ!? 神刀の必殺スキルを叩き込んでも死なないのか!? 魔王の時みたいに特別な撃破条件があるのか?)
焦る俺の脳内に、ハクから即座に念話が入る。
(転生神の時と同じかもしれないわ! 身体の核を断つか、首を完全に落とせば隙ができるはずよ!)
「よしッ! もう一度踏み込むぞ!!」
俺はムラマサの放つ圧倒的な神気を全身に爆発させ、地を蹴った。
ハクの尾、レイの蔦、スラオの闇、そしてライゾウの息壌が死力で蚩尤の動きを押し留めている。
俺は両手に込めた力を一気に解き放ち、蚩尤の太い首筋を目がけてムラマサを横薙ぎに振り抜いた!
スパァァンッ!!
絶大な切断力を伴って、蚩尤の頭部が胴体から完全に切り離される。だが、首は地面へと落ちることなく、怪しく黒い神気を纏って宙に浮遊した。
切断された首の口端が不気味に歪み、嘲笑うかのように言葉を吐き出す。
「クハハハ……流石は樹海帝国の皇帝よ。見事な腕前だ。……だが、この程度で俺という絶対の神を滅ぼすことなどできんぞ!」
(ハク、ハピ、コボミ、リザ! 奴の肉体をこれ以上再生させるな! 『四霊獣結界』で完全封印するぞ!!)
((((はいッ!!))))
ハク、ハピ、コボミ、リザの四人が即座に意識を同調させた。
ハクは蚩尤に絡めていた尾を解き、本来の凛々しい姿で跳躍する。レイも蔦を切り離した。
スラオの闇の触手と息壌がなおも蚩尤の胴体を拘束し続ける中、俺はムラマサを高速で閃かせ、再生を図る蚩尤の肉体を細切れに滅多斬りにしていく。
その僅かな隙に、四霊獣たるハク、ハピ、コボミ、リザが蚩尤を中心とした東西南北の四方に陣取った。
宙に浮遊し、バラバラに刻まれながらも漂う蚩尤の肉片と黒い神気。
「結界発動!!」
ハクたちの叫びとともに、四人から神聖なる途方もない神気が放射され、蚩尤を包み込む絶対不可侵の結界陣が組み上がった。
カァァァァァッ!!
天地を照らし出すほどの眩い閃光が炸裂する。
宙に漂っていた蚩尤の凶悪な黒い神気と細切れの肉片が、結界の力によって中央の一点へと猛烈な勢いで圧縮されていく。
やがて光が収まると——。
コロン……。
手のひらほどの小さな、禍々しい漆黒の塊がひとつ、カラカラと音を立てて地面へと転がった。
すかさず駆け寄ったハクが、その黒い塊を自身の異次元空間へと安全に隔離・収納した。
「やった……蚩尤を完全に封印したぞおおおおおッ!!」
俺の勝利の咆哮が、広大な戦場全体へと轟き渡った。
激闘を繰り広げていた仲間たち、そして敵の幹部である風伯、雨師、雷公、電母、雲使いを一斉にこちらへと振り向く。
誇り高き戦いを繰り広げていた巨人夸父はすでにリザルドの手によって息絶えており、主軸である蚩尤を失ったことで、生き残っていた凶暴な悪獣たちや『竜生九子』の面々は、戦意を完全に喪失して脱兎のごとく彼方へ逃げ出していった。
「ふぅ……ようやく終わったか……」
俺は刀を鞘に収め、深く息を吐き出した。
取り残された蚩尤の直属の部下たち——風伯、雨師、雷公、電母、雲使いの五人は、武器を収め、黙って静かに俺のことを見つめていた。
俺は五人の神々にゆっくりと歩み寄り、落ち着いた声で問いかけた。
「さて……主を失ったあなたたちは、これからどうするつもりだ?」
こうして、蚩尤の側近である風伯、雨師、雷公、電母、雲使いの五人が正式に降伏・投降したことにより、世界を揺るがした大戦地獄は終わりを迎えた。
その後、俺たちは風伯たちの案内を受け、南の王国の地下深くにある龍脈の源流へと足を踏み入れた。そしてハクたちの四霊獣結界の力を応用し、龍脈そのものに強力な封印を施した。
これによって、龍脈の暴走による新たな魑魅魍魎の出現は完全に潰えることとなった。しかし、すでに南の王国全土へ拡散してしまった無数の魑魅魍魎たちは依然として生き残っているし、逃亡した悪獣や『竜生九子』たちも大陸のどこかに潜んでいるはずだ。
そのため、南の王国に構築した前線拠点はそのまま維持し、ヴァルキリーの四姉妹や、投降した風伯、雨師、雷公、電母、雲使いを配置して管理を任せることとなった。彼らには今後、残存する魑魅魍魎を駆除しながら、人々が再び安全に暮らせる土地を少しずつ広げてもらう予定だ。
さらに、俺たちの巨大ダンジョンを南の王国の龍脈まで一気に延伸。獲得した膨大なDPを注ぎ込んで将来的に都市を完全に復活させ、避難していた多くの人々が安心して故郷へ帰れる環境を整えていく。南の王国全土は、実質的に我が樹海帝国の平和な領地として統合されることだろう。
そして——日照り神『魃』へと劇的な進化を遂げ、世界を救う鍵となった勇者ハーミアは、自らの希望によって拠点の地下ダンジョン最下層で一人静かに暮らすこととなった。
あまりにも強力すぎる日照りの権能を持つ彼女は、地上に留まれば周囲の水分を奪い尽くし、永遠の干ばつを引き起こしてしまう。だが、ダンジョンの最下層であれば周囲に悪影響を及ぼすことなく、安全かつ快適に過ごすことができるのだ。もちろん、俺たちは頻繁に彼女の元を訪れ、決して孤独にはさせないと固く誓っている。
激闘からしばらくの時が流れた。
俺たちは今日も、樹海帝国皇帝の城にある広々としたいつものリビングで、穏やかな時間を過ごしていた。
専属メイドであるブラウニーのブラリリ、ブラルル、ブラロロの三人が、焼きたての香ばしいお菓子と温かい紅茶を忙しく給仕してくれている。
窓から差し込む優しい陽光を浴びながら、ハクが紅茶のカップを傾けて微笑んだ。
「ふふ、これでこの広大な大陸全土が、名実ともに全て樹海帝国の領土になったわね」
「えっ、そうだっけ? 南の王国に広がる小国群の中には、まだ正式に傘下に入っていない国がいくつか残っていたと思うけど……」
俺が記憶を辿りながら首をひねると、ハクは「あら」と可憐に目を丸くした。
「何言ってるのヒロト。あのあたりの小国群はね、アマゾネスのヒポリュテが全部まとめて電撃的に併合しちゃったわよ?」
「うっそー!? マジで!?」
俺が素で驚愕すると、ソファでくつろいでいた吸血鬼真祖のヒナがクスクスと嬉しそうに笑った。
「マジマジ。あっという間の鮮やかな電撃戦だったよ〜」
「ふふ、これで名実ともに『大陸平定完了』というわけね」
魔女のサクラも愛猫のミサキを撫でながら、満足そうに頷く。
広大な大陸の全てが平和になり、俺たちの手によって治められたのだ。ふと、俺の胸に新たなる冒険の予感が湧き上がってきた。
「……よし! ならば次は、まだ見ぬ別の大陸を目指して海を渡ってみるか!?」
俺が身を乗り出すと、霊亀のリザが即座に居住まいを正して頭を下げた。
「どこへ行かれようとも、陛下の盾としてどこまでもお供いたします」
しかし、すかさずヒナが頬を膨らませて俺の服の裾をぎゅっと引っ張った。
「もうっ! 新しい大陸に行くのは良いけど……ヒロト、私たちが全員無事に出産するまでは、絶対に待ってよね!」
ヒナのお腹には、俺との間に宿った新しい命が温かく息づいている。ハクも、コボミも、ハピも、リザも、ルシーも……みんな愛しい笑顔で俺を見つめていた。
「ははは! もちろんだ。みんなで新しい家族を迎えてから、ゆっくりと次の大冒険へ出かけるとしよう!」
温かな笑い声がリビングいっぱいに広がり、俺たちの物語は輝かしい未来へと続いていくのだった——。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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