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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第100話 【絶望の魔王軍接近】武道大会の雑魚共を全否定する無双の眼! 突如として迫る5万の魔族と開戦の合図!

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 先ほど食堂で絡んできた雑魚を文字通り一撃で返り討ちにし、俺たちは何食わぬ顔で武道大会の特等席会場へと足を踏み入れた。


 案内されたのは、闘技場全体を特等席から一望できる豪華な個室ボックス席だ。ふかふかのソファに腰を下ろし、眼下で繰り広げられる熱気に満ちた会場を見下ろす。


 ふと手に取った大会規則の書面を眺めながら、俺は疑問を口にした。


「へぇ……この大会のルールって、刃のない『模擬刀』を使って戦うことになっているんだね」


 隣に座る吸血鬼真祖のヒナが、脚を組みながらパンフレットをめくる。


「そうみたいだねー。参加者同士が本物の真剣でやり合ったら、一試合ごとに死人が出まくって大会どころじゃなくなるからじゃない?」


「だけど、書面をよく読むと『殺害を固く禁ずる』なんてどこにも書かれていないよ。このルールって『一応は模擬刀で試合をしてもらいますけど、結果として死んじゃっても自己責任で一切知りませんよ』って解釈できるよね」


 魔法の箒に跨ったサクラが、ジュースを飲みながら頷いた。


「そうよ。この大陸の武闘大会のルールは、どこも基本的にはそうなの。表面上は安全に配慮しているフリをしつつ、実態はただの合法的な殺し合いね」


「ふーん。でもその割に、攻撃魔法の制限は厳重で全面禁止なんだね?」


「それは手加減ができないからよ。同じ威力の攻撃魔法であっても、食らった相手の防御能力や魔術耐性によって、一瞬で跡形もなく蒸発して死ぬ場合もあれば、全くのノーダメージで蚊に刺された程度で済む場合もあるでしょ? 会ったこともない初対面の相手に、死なないギリギリの魔法の加減なんて調整できるわけがないわ」


「魔道具の技術でどうにか威力を減衰させたり制限したりはできないのかい?」


「魔道具で威力を一律で減少させたら、今度は真の勝敗を判定するのが極めて難しくなるわね。本当なら平気で耐えられる攻撃なのに、魔法の見た目の威力が強いってだけで敗北扱いになったり、逆に本当ならその直撃を浴びたら即死しているはずなのに、魔道具のおかげで勝ち扱いになっちゃったり。師匠と弟子のようにお互いの実力や耐性を完璧に把握し合っていれば魔法の模擬戦も成立するでしょうけど、見知らぬ者同士の魔法戦なんて、文字通り命を懸けた死闘以外ではあり得ないわね」


「う~ん。例えばだけど……死ぬほどの威力の魔法を浴びても、絶対に瀕死の状態で踏みとどまって生き残れるような特殊な魔道具とかは?」


 サクラは呆れたように肩をすくめた。


「そんな都合の良い魔道具が存在するなら、真っ先に戦争の最前線で使われているわよ。高位の回復魔法と組み合わせれば、敵の大規模攻撃魔法を完全に無効化できるのと同義なんだから。……まあ、そもそもそんな理屈が成り立つなら、あらゆる魔法を打ち消す『絶対防御の魔道具』すら可能になるわ。研究自体はされているでしょうけど、実現は極めて難しいでしょうね。少なくとも、たかが娯楽の武道大会のために開発するような代物じゃないわ」


「なるほどなぁ……」


 俺は腕を組み、眼下で始まった第一試合を眺めながら苦笑いを浮かべた。


「なんだか、生死を賭けている割には中途半端な大会だね。『真剣・魔法何でもありで命を賭ける』か、『完全な模擬刀・手加減必須で絶対に殺さない』のどちらかに極振りにすればいいのに」


「ふふ、真剣と魔法解禁で生死を賭けさせたら、恐ろしいから誰も大会に出場しなくなっちゃうでしょ? だから『模擬刀で殺さず』という建前がないと、興行として成り立たないのよ」


 みんなでソファに腰掛け、繰り広げられる試合をじっくりと観戦する。


 案の定、先ほど俺たちに絡んできて返り討ちに遭った『雷槍のラクトー』は、骨折と重体により不戦敗・欠場となっていた。自業自得だな。


 だが……試合が進むにつれて、俺は強いあくびを噛み殺すことになった。


 途中で期待されていたライガンの娘ライカが登場したが、『紅剣のシーズクア』に力負けしてあっけなく惨敗。


(うーん……なんだこれ……)


 観戦していて確信した。この世界には、俺たちの知るような洗練された『武術』や『剣術』の技術体系が存在しないのだ。型も、流れるような技の連撃も、理にかなった身体操作も何一つ無い。単なる力の強さと、剣を振るスピードの速さだけで力押ししているに過ぎないのだ。


 大きな大剣を力任せに振り回し、相手の剣と正面から激突させて力で吹っ飛ばし、体勢が崩れたところを愚直に追撃する。

 攻撃を身のこなしで避ける者はほぼおらず、精々が盾で愚直に受け止めるだけ。


(技術が皆無なら、もはや見る価値すらないな……)


 退屈な試合がだらだらと続き、やがて大会は準決勝へと進んだ。


 勝ち上がったのは以下の4名。


 ・紅剣のシーズクア

 ・疾風のライゴー

 ・闇のクロニス

 ・剣聖アバンニ


【準決勝・第一試合】

 紅剣のシーズクア VS 疾風のライゴー


 シーズクアは豪快な人間の女性傭兵だ。女子プロレスラーのように強烈に鍛え上げられた超肉体派で、自身の背丈ほどもある赤い大剣を軽々と構えている。


「あの赤い大剣って、模擬刀のルールに違反していないかい?」


 俺が尋ねると、サクラが解説してくれた。


「自分の愛用する武器の重さと形状を完璧に模した、特注の『模擬大剣』よ」


 両者ともに中段の構え。

 シーズクアはズシリ、ズシリと威圧感を放ちながら自分の間合いへと接近していく。対するライゴーは前後に細かくステップを踏み、まるでしなやかな獣のようなバネを感じさせた。


 ──シュパッ!!


 ライゴーの剣速は確かに早かった。

 シーズクアが大剣を大振りに振り上げ、叩き落とそうとしたその瞬間! それよりも圧倒的に早い踏み込みで、ライゴーの鮮やかな袈裟斬りがシーズクアの胸元へ鋭く決まった!


【準決勝・第二試合】

 闇のクロニス VS 剣聖アバンニ


 ──結果:剣聖アバンニの不戦勝。


 なんと、クロニスは試合直前になって突如として棄権を宣言したのだった。


(まあ……当然だろうな)


 実は準決勝までの試合中、俺は左目の邪眼アイの能力と【鑑定】スキルを使ってクロニスの正体を看破していたのだ。彼の種族欄に刻まれていたのは『魔族』の二文字。羊の獣人などではなく、間違いなく魔王軍の工作員である。


「ねえサクラ、鑑定でクロニスの種族を見たら『魔族』って出ていたんだけど、魔族って具体的にどんな種族なんだい?」


 サクラは別段驚きもせず、教えてくれた。


「基本的な身体構造は人間とほとんど変わらないわよ。魔力が異常に高くて、肌の色が薄紫寄りなだけ。中には角が生えていたり尾が生えていたりする個体もいるけどね。クロニスは高位の『偽装魔法』で羊の獣人に成りすましていたんでしょうね」


「なるほど、姿を完璧に偽っていたわけか。教えてくれてありがとう」


 そして、ついに迎えた【決勝戦】。


 疾風のライゴー VS 剣聖アバンニ


 ──ギャリィィンッ!!


 互いに上段から振り下ろされた模擬刀が、空中で激しく衝突し火花を散らす。

 剣速自体はほぼ互角。だが、刃が噛み合った瞬間、ライゴーが苦々しく舌を打った。


 力比べにおいて、剣聖アバンニの腕力が圧倒的に上回っていたのだ。

 アバンニがじりじりと力で押し込み、ライゴーの体勢が大きく崩れる。その隙を見逃さず、アバンニの鋭い追撃の連撃がライゴーの胴体を捉えた!


 こうして、武道大会は『剣聖アバンニ』の優勝という結末で静かに幕を閉じたのだった。


「ハァ……期待して損したな。何一つ参考になる技術が無かったよ」


 俺が呆れ果てて息を吐いたその時──俺の斜め後ろの影が揺らめき、アラクネクイーンのスパが静かに姿を現した。


「ヒロト様……只今、獣人国の遠方哨戒部隊が『豪腕のガランド』率いる魔王軍5万の大軍勢を発見いたしました。獣人国全体に大パニックが広がっております」


 スパの報告を聞き、俺は口元を不敵に歪めて立ち上がった。


「そうか……ついに動き出したか。よし、茶番劇はここまでだ。全員、一度城へ戻って作戦を開始するぞ!」


 魔王軍5万という絶望の暴風が荒れ狂う中、俺たちの真の無双劇が今、幕を開けようとしていた!

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