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ぷるりんと異世界旅行  作者: wawa
魂の眠る森~グルディ・オーサ
22/221

** 邂逅 **


 出演

 22歳男性 ファルド公安第一旅団特殊課

      (第九旅団兼任職員)

 トライド西の集落、西方最前線基地通り

 飲食店商店店員数名。



*********


 「その子なら、少し前にこの通りを真っ直ぐ行ったぜ」

 「ああ、あの子?やっぱり軍の子なんだ」

 「あたしゃ、騎士さまに憧れてる親が、子に隊服着せて喜んでるのかと思ったよ」


 ガヤガヤ、ザワザワ。


 「情報提供、感謝する」


 くるり。


 「あ、あの!、騎士さま!」


 クル?「何だ?」


 「こんなこと、俺が言うのもなんだけどよ、あの子、飯は食ってるのか?」


 「・・・飯?」


 「なんかよ、ほら、そこのグランの串焼き、もの欲しそうに目を瞑って匂い嗅いでたからよ。端切れやるかって言ったら、遠慮して逃げちまって、」


 「・・・・」


 「金、無かったんだろうなー。悲しそうな顔して、店から遠ざかってさ、道の隅っこをとぼとぼ下向いて歩いてたぜ」


 ざわざわ、ヒソヒソ。


 「・・・・」


 「余計なお世話なんだけどよ、」


 「・・・・」


 「子供がね、食えないってさ、やっぱり駄目だよ。騎士さま」



 ざわざわ、・・・しんみり。



 「・・・・情報提供、感謝する」コクリ。


 タタタタタ・・・・。




 「・・・あのガキ。外で何を主張してやがる、」






 小さな西の集落には、軍事施設設置により様々な商人が訪れる。彼らは施設広告の為のマスコットキッズが食事を与えられていないことを憶測し、施設関係者に対して様々な不穏な思いを募らせている。






*********


 

 出演

 24歳男性 ファルド支部人材紹介会社 部長

 19歳女性 専門学校学生 食品アルバイト

 22歳男性 ファルド公安第一旅団特殊課

      (第九旅団兼任職員)

 32歳男性 ファルド公安第一旅団職員

 28歳男性 ファルド公安第一旅団職員 


 

*********


 

 『ヤバイヤバイ。マジヤバイ。魔法切れた。ヤラレル。私、黒豹にヤラレテしまう、』


 「?」


 ピタリ。


 『・・・やばい。これ、重っ。思ったより、この剣重っ。でも落とせないし、なんか地面に置くのもクレームきそう、』


 「ミギノ?」


 「動くな!」

 「大人しくしろ!!」

 

 ーービクリッ!


 アワアワ、『そうだったそうだった。これ、この人の物だった、』ボソボソ。


 さっ!


 「「「!!?」」」


 『返します。すいません』


 「・・・・」


 「何を言った?」

 「君、下がりなさい」


 『すいません、出来心で。・・違うな。犯罪者感が増す。魔法で身体が、あ、これは病名がつけられる。そうではなく、不可抗力でしたので、返します』あせあせ。


 「・・・・」


 ぼそ、「おい、この子、確か団長ゼレイスが、」

 ヒソ。「分かっているが、あ、」



 スタスタスタスタスタスタ。

 

 「ミギノっ!!」



 グイグイ、グイグイ。

 『返します。本当に、返します、』

 「・・・・ミギノって、名前ですか?、ちょっ、兵隊さん、脇腹脇腹、」

 グイグイ、オシオシ。

 『受け取って、早く、お願いします、奴がくる。足音近い。隠滅隠滅、』

 グイグイグイグイ!

 「あ、おい!やめなさい!」

 「やめろ!何をしている!」


 「差し上げますよ。どうぞお使い下さい」


 『あー、えー』、

 「ごめんなさい。ごめんなさい」、

 『人の物を勝手に、私、最近、魔法使いが体内に召喚されて、あ違う違う、これはけしてワタシノイシトハゼンゼンマッタクカンケイナクテ・・・その、あの、全てが駄目な言い訳にしかならない。これってどう考えても冤罪だよね?あ、でも、現行犯、目撃者多数でやっぱり有罪?、やだやだ、』


 「?」


 「ごめんなさい」ペコリ。

 『すいません、本当に』ペコリ。

 「ゆるしてぇー」にこり、へらへら。


 きりっ、『ほんと、すいません』ペコリ!


 「「「「・・・・」」」」


 ーーーズダズダズダズダズダ!!!


 ーーー「ミギノっ!!!」


 『ふぎゃっ!』








 人格障害を主張しようとした刀剣ひったくり犯は、国家権力からの敵前逃亡という暴挙にて、難を逃れる事になる。






*********


 出演

 19歳女性 専門学校学生 食品アルバイト

 14歳男性 人身売買被害者

 14歳男性 人身売買被害者

 12歳女性 人身売買被害者

 22歳男性 ファルド公安第一旅団特殊課

      (第九旅団兼任職員)



*********



 『さわりたい、ふわふわのケモミミ』


 「・・・・」


 『私の国の首都はね、様々な文化や職業が混在していて、その中でも特殊なのがクールビジネスなの』


 「・・・・」


 『そこにはね、君たちみたいなケモミミ文化も存在していてね、お耳を付けた可愛いお姉さんやお兄さんが、主に飲食店を経営しているんだよ』


 「・・・・」


 『大都会だからね・・・。大人しか入れない店もある。中には大人も入ってはいけない違法な領域もあるよね。・・・大変だったね』


 「・・・・」


 『でももう大丈夫だよ。今から行く所はね、私みたいな異国の言葉も全く分からないタイプでも、衣食住を与えてくれる優しい福祉施設だからね』


 「・・・・」


 『厳しい顔のおじさん達が多いけど、みんな優しい人達だから大丈夫』、

 「大丈夫、怖い、ない」


 「「「・・・・」」」


 フリ、フリフリ。

 フリフリ、フリフリ。

 フリフリフリ。

 

 ーーずきゅんっ!

 

 『それとこれとは別だけど、そのふわふわの、触ってもいい?』ドキドキ。


 「「「・・・・?」」」


 『肉球、お耳、フサフサ、』ハァハァ。


 「ニクキュー?」


 『おてっ!』


 ーービクッ!サッ!

 くるり、じろじろ。


 『肉球・・・、は、無いのか。残念、』


 「オテ?」ビクビク。

 〈おてって、何?〉ドキドキ。

 〈手の平を調べる何かかな?〉ハラハラ。


 「アピーもオテ?」


 のせ。


 『それはおかわり。かわいいやつだ。よしよし。よしよしよしよし、』

 ナデナデナデナデ!


 「・・・・あの、」フリフリ。


 「僕もおて」のせっ。

 「じゃあ僕も」のせっ!


 『連続おかわり来た?よしよし、よーしよしよしよしよし!ふわふわ、もふもふ、天国』


 フリフリフリ、ふさふさふさ!

 フリフリフリ!

 ナデナデナデナデ!



 「君たち!到着しているから!早く降りなさい!」


 

 



 

 民族や風習の違いはあるが、小さな子供を保護する事はどの国も変わらない。この出会いをきっかけに異文化交流は更に深まる事になるのだが、保護対象として彼らに認識される少女に、これから様々な異文化の洗礼が待ち構えている事を、本人はまだ知らない。

 


 

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