第25話 難しい事は丸投げされます!
拙作をお読みいただきありがとうございます。
所詮ただの大学生に一国の軍略なんか任せるなよと言いたい!
何だこれ!
広辞苑みたいな分厚いデータ集は!
この間のデッケェ川で集めたデータを解析して報告書を作らにゃならないんだけれどいくらなんでも俺一人じゃ無理だよ! 無理!
こういう時に頼りになるのは・・・。
「アル! このデータ集をスキャンして! 報告書作るからデータをそれぞれでファイリングして!」
「かしこまりました。すぐにスキャニングとファイリングをいたします。」
ホントにアルってば頼りになるなぁ。
コーヒーを飲んで一時間も経たないうちにデータのファイリングが完成しました。
・・・これプリントアウトして持っていくだけでよくね?
・・・ダメか・・・。
絶対怒られる・・・。
もう! 何でこんな難しい事を俺みたいな平兵士がしなきゃならないんだよぉ!
「アンタは平兵士じゃないでしょ! 立派に少佐という位にいるでしょ!」
レアイナ! 丁度いいところへ!
「手伝わないわよ。」
何と御無体な!
「当たり前でしょう!」
でもさぁ! データ解析官でもない俺が何でこんなことせにゃならんのよ!
ホント不思議だよ!
「・・・言われてみれば・・・。そうよね。なんでデータの解析をヨシトがするのよ! おかしいわよ! ちょっと聞いてくるわ!」
おぉ! レアイナありがとう!
御褒美にいっぱいエッチな事してあげるからねぇ。
「馬鹿!」
顔真っ赤にしちゃってレアイナったら可愛いなぁ。
「あんのド畜生共! 次会ったときぶっ殺してやる!」
なかなか帰ってこないレアイナを心配して見に来たら烈火の如く怒っております。
正直近づきたくありません。
だって物に当り散らしてるんだもん!
ここは逃げの一手で・・・。
「ヨ〜シ〜ト〜。」
ヤバ! 気づかれた!
戦略的不利を回避すべくただちに撤退します!
グン
・・・トホホ。襟首掴まれました。
「ヨシトなら私の愚痴に付き合ってくれるわよねぇ〜?」
前髪で顔の半分が隠れております!
何か黒いオーラの様な物が背後でゆらめいているようです!
頭の可愛い狐耳の横から角が生えてるように見えます!
はっきり言って「怖ぇ!」の一言に尽きます!
何でこうなった!
んで?
なしてあんだけ怒ってるんだべさ?
「・・・何処の方言よ。まぁいいわ。一言で言うと今回も嫌がらせよ。」
・・・・・・。
はい?
「だから嫌がらせだって。」
はぁ!? なして!?
「方言抜けきってないわよ?」
いやいやいや!
これ、ちょっと重要事項よ!
今後の戦略を左右しかねない重要な案件だよね!?
今回のデータ収集!
「だからよ! それで期日までにデータの解析を行えなければここを任せられないと判断されて別の部隊が駐屯する事になるのよ! レイチェルとリリアが抗議してるけどおそらく流されるわ!」
流すって・・・!
阿保かぁ!
データ解析は専門家が行うから意味があるんじゃねぇか!
それでも俺らにやらせるって言うんならデータ解析官全員クビにしたれ!
レアイナ、それであんなに荒れてたんだな!
・・・ふふふふふふ。
だったらやってやろうじゃないか!
「えぇい! 老害共め! 忌々しい!」
「陛下! 落ち着いてください!」
「これが落ち着いていられますか! データ解析官の仕事を放棄させるような真似をされたのですよ! そのしわ寄せを特務隊が負わねばならないんですよ!」
「陛下! これはどういうことですか!」
「レイチェル!」
「そうです! 是非お聞かせください!」
「リリアまで! 丁度いいわ! 二人とも力を貸してちょうだい!」
「どういうことですか?」
「特務隊をよく思わない老害共が自分の子飼いの部隊を新設基地にねじ込むために足の引っ張り合いをしてるのよ!」
「まさか・・・、今回のデータ収集自体が!」
「足を引っ張る為の口実だったかもしれません!」
「何て迷惑な!」
「兎に角! 折角手に入れたデータを生かすためにも何とかして解析作業を進めてください! もしデータ解析が上手くいけば貴重な地形データを手に入れるだけでなく横槍を入れる連中への牽制にもなります! 貴重な部隊の足を引っ張るなと声を大にして言えます! その為にはデータ解析のノウハウを知っている者が必要です。私の権限で引退したデータ解析官を紹介します! その人を連れて至急解析に取りかかってください!」
「「御意。」」
ホントめんどくせぇ!
何でこんなことになった!
「ヨシト? お客さんよ?」
イリーナ、このクソ忙しいときに誰だよ?
「ヴァーヴァさんよ。」
あの婆さんか・・・。
無視すると後が怖いから一言言ってすぐに下がるか・・・。
「ひひひひひ。随分と大変な目に遭っているようだねぇ?」
いやぁ。
この婆さん、やっぱり苦手だわ。
あのね、ヴァーヴァさん。
「ひひひひひ。老害共が足を引っ張てるんだろう?」
何だ、知ってるんだったら話が早い。
忙しいんで用件は後にして貰えますか?
「それとこれとは別さね。」
うわぁーい。
めんどくせぇ!
「ひひひひひ。なるほどねぇ。そんな事があったのかい。」
そうです。私、今、すごく、忙しいんです。
用件をさっさと述べてくれませんかねぇ?
「その足の引っ張り合いが私のとこまで来てるんだよ。」
?
「簡単に言うよ? 特務隊の整備より自分達を優先しろと言ってきてるんだよ。」
!
「勿論そんな事を言うやつにはスパナを投げつけてやったさ! ひひひひひ。」
この婆さん、やることが怖ぇ。
「まぁ、何だ。少なくともアタシャアンタたちの味方だ。安心おし。」
・・・ひょっとして、それを伝えに?
「ひひひひひ。まあね。」
ヴァーヴァさん!
「気を付けな。老害共はまだまだやらかすつもりだよ?」
ありがと。どこまで気を付けれるか分からないけどヘマしない様に気を付けるよ!
「ひひひひひ。元気がいいね! もう一つ情報をあげよう。」
何?
「純血種のお前さんを『自分達にこそ相応しい』とほざいて引き抜こうとしている奴らがいるんだよ。せいぜい落とし穴にはまらんように気を付けな。」
こりゃ常に何人かを侍らせにゃならんか?
「ひひひひひ。豪気な事で。そんじゃ帰るよ。見送りはいいよ! 忙しいんだろ? 一人で帰れるよ。」
入口まで見送るよ。
「ひひひひひ。いい男に見送られるとはねぇ。アタシもまだまだ捨てたモンじゃないね!」
それ、イリーナ達の前で言わないでくださいね?
「ひひひひひ。やきもち焼かれるかい?」
ホント勘弁してくださいよぉ。
「ひひひひひ。」
と言う訳でしばらくはデータ解析と報告書作りで俺は部屋におこもりします。
「まぁ、しょうがないと言えばしょうがないか・・・。」
「リリアとレイチェルの引退したデータ解析官はどうなったの?」
「既に老害共に先回りされておりました。」
「アイツら!」
「特務隊の悪い噂をでっち上げて非協力的になる様に仕向けられています。」
「身内を攻撃するって何考えてるのよ!」
「ヨシト様が私達特務隊にいる事が我慢ならないみたいです。」
「純血種のヨシトが醜女部隊にいるのが不満って事?」
「ヨシトを種馬扱い道具扱いする馬鹿どもにどうにか鉄槌をくだせないかしら!」
「こうまで丸投げされると通常任務にすら支障が出るわ!」
まぁまぁまぁ。
「ヨシト様! 何を落ち着いていらっしゃるのですか!?」
まぁまぁまぁ。
「ヨシト様?」
まぁまぁまぁ。
「皆、分かってあげましょう。一番ブチ切れてるのはヨシトだという事を。」
まぁまぁまぁ。
今日が提出日です。
ギリギリですが何とか間に合いました。
もうね、データ解析どころか特務隊だけでなく周囲の部隊をどうするかまで含めて今後の展望を記載した報告書を書きました!
一番効率的な作戦をアルと一緒に考えて立案しました!
その際俺たち特務隊が目立たない様に尚且つそれなりの功績をあげれるように作戦に組み込んでおります!
一番手柄を立てる部隊には噂のエリート部隊をわざと持ってきております!
俺ら特務隊は功績で言えば三番目か四番目当たりを狙うつもりです!
目立ち過ぎるとまーた嫌がらせを受けるからです!
手柄を立てさせてあげるのです!
それ以上文句があるならどこか他の国に亡命してやる!
勿論特務隊を連れて!
そうなったら立派に傭兵だよなぁ・・・。
まぁ、それでもいっか!
こんな難しい事丸投げされたんだから!
誤字脱字ありましたら教えてください。




