幕間 配下の会話
イーグレットが建国される前、ゴブリン達は闇の森を調査していた。
「お前ら分かってるな、白露様の支配地に相応しい街を作るのだ」
「おー!」
ゴブリン達は闇の森で最弱の魔物……だった、それが今では
「ぐっゴブリンがこれほどとは」
ゴブリン達の目の前に闇の森でも強者のエルフ達が膝をつき、ゴブリン達を睨んでいた。
「くっくっく、我らは白露様の配下、お前達の様な何も知らぬ愚か者どもとは格が違う」
エルフ達は目の前のゴブリン、いやゴブリンランサーに敗北したのだ。
「な、何が白露だ!」
そう一人のエルフが言った瞬間にエルフの右腕が吹き飛ぶ
「白露様を呼び捨てとは、なんと愚かな」
辺り一面が血だまりになる。
「ぐぁ」
痛みにエルフがのたうちまわる。
「許してくれ、我らはお前達に降る、だからこれ以上は」
リーダー格のエルフが土下座して許しを乞うてきた。
「良いだろう、白露様は寛大だ。尽くすのであれば命だけは助けてやる」
白露の知らぬ間に繰り広げられた闇の森の生存競争は、ゴブ郎が参加させたゴブリン軍によって決着を見せる。
ゴブ郎は全ての種族にゴブリン軍を派遣し、その地を支配して言ったのだ。
「ゴブ郎様、リザードマンが貢物を」
「ふむ、それは白露様に必要か?」
「分かりません、白露様の望みを聞かねば」
ゴブ郎にとっての考えは白露に必要か否かの二択である。
「それもそうか、ならば倉庫に入れておけ、後で白露様の判断に委ねよう」
「はっ!」
こうして貢物を倉庫に持っていくゴブリン、彼らは完全な軍隊を形成し、その思考は他のゴブリンと隔離していた。
「白露様より頂いたこの力、この力を用いて闇の森を白露様に捧げねば」
ゴブ郎の今の思考は白露へ全てを捧げること、その答えは闇の森の支配である。
ゴブ郎は既にブラッドベアー程度であれば片手で屠れるほどにまで進化を遂げていた。ジェネラルへと進化するのは異常なことで、ゴブ郎の強さはゴブリン種最強と呼ばれるゴブリンキングを超えていた。
これはこの世界のゴブリンで最強であり、全てのゴブリン種の頂点に立っていた。
「順調ですか、ゴブ郎殿」
闇の森支配計画は、何もゴブリンだけのものではない、そう白露の配下全ての目標であった。
「これはミーコ殿か、かなり順調ですな」
「それは良かった、私の配下もこちらに呼び寄せますのでしばらくすれば手伝えますよ」
「はっはっは、焦らずとも大丈夫ですよ、ミーコ殿には白露様の護衛に集中してもらわねば、我らは白露様の覇道の為に進むだけですからな」
「確かに」
会話の内容は物騒だがこの街では日常会話、井戸端会議の様に気軽に話される世界征服計画
「ふふふ、ペスもあなた方のお喋りに興味津々ね」
「マール殿か、今日はペス殿の散歩かな?」
「はい、白露様は今お仕事ですから」
「そうですか、おや?」
ゴブ郎はスマホが鳴ったので出る、ゴブリンの隊長クラスには通信用にスマホを持たせているのだ。
「どうかしましたか」
「配下の何人かがやられたか、何者だ?」
「ほぉ、白露様のお力を頂いたゴブリンを倒せるとは、早々に始末しときますかな」
「ミーコ殿の手を煩わせるほどではないですよ、既に追い込んだそうですし」
「そうですか……もしかして人間ですか?」
「ん? 少しお待ち下さい……ほぉ、なるほど」
ゴブ郎は部下の報告を聞き、スマホのテレビ電話機能で現場を見せる。
「人間だな」
「かなり強いな」
「ふふ、恐らく高ランクの冒険者でしょうね」
ちなみにマールは白露の前ではメイド服姿の淑女であるが、それ以外では色気たっぷりの肌面積の多い服を着ていた。
「ほぉ、これが冒険者か?」
「なんだ人間に加担する奴ら獣人では無いか」
「ああ、この人間の奴隷だろう、人間は人以外の種族を全て奴隷にするからね」
「ふん残酷な奴らだな」
この世界の人間はその他の知恵ある種族全てに嫌われていた、いや敵対していたと言うべきか、そして最大の勢力であったアイムの勢力が勇者に負けて人間は全ての知恵ある種族を奴隷に出来る手前まで来ていた。
「ゴブ郎殿」
「なんですかなミーコ殿」
「この人間は使えそうだ、生け捕りにして頂けんか?」
「ふむ、まあいいでしょう、生け捕りならば私が行くとしましょう」
そう言うと黒い霧に包まれ消えるゴブ郎
「ふふふ、この世界で一番最初に白露様に忠誠を誓っただけあるわね、力の純度が違うわ」
「そうなのか、確かに進化した私ですら勝てるか分からないほどではあるが」
「ふふふ純粋な戦闘力ならばこの世界でも上から数えた方が速いわね、それほどのお力を白露様から与えられたのよ」
「羨ましい事だ、だがそんな化け物を気軽に生み出せる白露様は偉大過ぎるな」
「そうね、あの方が魔なる者達をお救いする為にこの世に降臨しました。ゴブ郎殿も迷える者だった、それを救う白露様の優しさ、そしてその優しさに感謝を忘れぬゴブ郎の忠義、素晴らしいわ」
「そうだな、私も白露様への忠誠を認めていただく為に頑張ねば」
「ふふふ、あなたならきっと白露様に認められるは、悪魔公爵アイムよ」
「? 気付いていたのかマール殿、あなたはいったい?」
自分の素性をあっさり言い当てられたミーコは驚きの表情でマールを見つめる。
「ルシファー」
「まさか」
「私の存在で白露様の偉大さが分かりますか、白露様は遥か昔から、そして未来まで、私は忠実な僕ですから」
「白露様の周りにはそれほどの、まさかあなた以外にも」
「ふふふ、白露様の覇道にこれからも頼みましたよ」
「はい」
ルシファー、それは遥か昔、古代とも呼べる古の時代に世界を破滅に追い込んだ悪魔界の英雄である。
その強さは大天使ミカエルを圧倒したとか、しかしその強さゆえに大天使全ての者達が力を合わせ封印されたと
そんな偉大な悪魔が部下だと言う白露とは何者なのか、それがアイムの疑問であったがそれでも白露への忠誠は変わらない
「ああ、なんと言う方なのだ、白露様の歩まれる栄光の道の後を付いていきたいものだ」
白露は気付かぬ内にどんどん信者が増えて行くのだった。




