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小さな玉手箱【二百文字小説集】  作者: つるめぐみ
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働く誇り

「鮮魚売り場の人、今日で定年退職みたいよ」

 職場仲間の一言で、気さくな男性を思い出す。

 新鮮な魚の見分けかたを教えてもらったっけ。

「お祝いどうしよう」

「私も悩んだの。とにかく探そう」

 急いで店内を歩いて祝い品を買う。

 渡しにいくと、彼の手には店の商品が大量にあった。

「すみません。急に聞いたのでこんな物で」

「店員なんだから、こんな物は駄目だよ」

 あっ、そうかと納得する。

 彼に最後まで働く誇りを教わった気がした。

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