第4章 6
雷神丸は船で劉・小狼らのもとに戻る
孫嘉と蒼琥を見ながら、
「さて。どっちに付こうか?……
奴らの頭【かしら】(劉・小狼)に会ってみたいものだ」
と独り言のように呟くと雷神丸の横で
同じように孫嘉らのことを見詰めながら
「なら、会いに行ってみますか?」
と言った。
孫嘉らが劉・小狼らのもとに戻り、数日経った後……
みすぼらしい農民の格好をし、劉・小狼らがいる
三埜宮の関の中に潜り込んだ。
雷神丸らが自分らのいる三埜宮の関の中にやって来たのを
劉・小狼らはいち早く、気が付いた。
「どうしましょう? この関の中に潜り込んで
来た者らを……」
郭瑜は自分らがいる三埜宮の関の中に張り込んだ
侵入者の対処などを劉・小狼に訊いた。
民の格好をしている雷神丸らを三埜宮の関の中にある
砦の上から劉・小狼は郭瑜らと共に見詰めながら
「まあ。どう出るか、少し様子を見てみよう!」
と言うと龐悦が同じように民に変装している雷神丸らを
劉・小狼の横で見ながら
「では、念の為に監視を付けておきます!」
と言うと自分の手下の者ら、数名を民の格好をさせ、
同じように民の格好をして、三埜宮の関の中を
何やら、探っている雷神丸らの傍に監視役として、監視させた。
すぐに雷神丸は自分らが監視されていることに気付き、
「まずいなぁ…… 気付かれたか……」
と監視役の目を盗み、三埜宮の関の中から立ち去ろうとすると
「こっち……」
物陰から立ち去ろうとする雷神丸らを呼び止める声があった。
『だ、誰だ?……』
雷神丸は自分らを呼び止めた声の方を向くと
そこには物陰から雷神丸らのことを手招きをする少年がいた。
雷神丸らは辺りを気にしながら、その少年の方に近付き、
「な、なんだ? 俺達は忙しいんだ……」
と言うとその少年は自慢げに
「おじさん達って…… ここにいる小狼さまに
逢いに来たんだろう?」
と全てを見透かしたように雷神丸にそう言った。
「なんでその事を知っているのだ!」
雷神丸の横にいた、風鬼は怒ったように腰に隠し持った
小刀を抜こうとした。
「小狼さまに会いたいなら、付いて来て!」
その少年は雷神丸らを置いて、何処かへと歩き出した。
「ま、待つんだ!」
雷神丸らは周りを気にしながら、自分らを何処かへと
連れて行こうとする少年の後を慌てて、追い掛けた。
「おじさん達…… 着いたよ!」
その少年が連れて来たのは三埜宮の関の中の外れの
人気のない広場だった。
「何だ? 少年。 ここは?……」
雷神丸らは辺りを見廻しながらそう言うと
雷神丸らを連れて来た少年も辺りを見廻しながら
「あれ? おかしいなぁ…… いつもここで
小狼さまっていう人が昼寝をしているんだが……」
というと
「何か、私に用か?」
雷神丸らの後ろから突然、声がした。




