第3章 8
劉・小狼が牙狛侯らに下した処分は牙狛侯らを
舜炎帝の傍で一兵士としての謹慎処分だった。
舜炎帝は驚いた顔をしながら
「ほ、本当にそれで良いのか?」
と訊くと劉・小狼は罪人のように自分の前に晒されている
牙狛侯と黒武侯を見詰めたまま、
「その者には罪はない! 今、私らの敵は龍炎国を
侵略しつつある者だけで…… その者らには最後の砦として、
この地を護ってもらわないといけないから……」
といった。
翌日。
劉・小狼らは舜炎帝と4侯に見送られ、
智龍侯の居城・頭臥山を旅立った。
だが、仮面の男(劉閣)が率いる軍勢は水霞曉の
すぐ近くまで迫っていた。
智龍侯の居城・頭臥山から出発した劉・小狼は
水霞曉と龍炎国の境の斬戯羅の地にやって来た。
すでに仮面の男(劉閣)の軍勢はその斬戯羅に到着して、
劉・小狼の軍勢と向かい合う所に万全な陣形を布いていた。
それを見た劉・小狼は
「我らも直ちに陣を布き、敵の攻撃を備えよ!」
と言うと郭瑜と庖悦の指揮のもと、劉・小狼らの軍勢は
陣形を布いた。
陣形を布き終わると郭瑜らは劉・小狼のもとに集まり、
斬戯羅の地図を見ながら、
「さあ、これからどうしましょう?……」
と今後のことを話した。
仮面の男(劉閣)の布いた陣形は堅固なモノで
郭瑜と庖悦を持ってしても中々、攻める糸口が見出せず、
行き詰った。
煮詰まっているのを見て、孫嘉が
「ちょっと、宜しいですか?……」
と話しかけてきた。
劉・小狼が驚いた顔をしながらも
「なんだ。 遠慮失せず、申してみよ!」
と言うと孫嘉は畏まりながら、
「これは各地を旅している商人仲間から
訊いた話なのですが…… 元々、あの仮面の男(劉閣)は
北の蛮族の者ではないそうなんです……
あの仮面の男(劉閣)はこの世界を彷徨う者だと言うのです……」
と劉・小狼らにそう言った。
そんことを訊いた郭瑜は何かを閃いたようだった。
目の前の仮面の男【劉閣】の軍勢を退かせる策を思いついた
郭瑜は孫嘉を舜炎帝のもとに向かわせた。
舜炎帝のもとにやって来た孫嘉は
「私に舜炎帝さまの王騎軍・飛竜をお貸しくれませんか?」
と言い、劉・小狼の印が記された郭瑜が書いた
手紙を舜炎帝に差し出した。
その手紙を詠んだ舜炎帝は
「話はわかりました…… 我が、王騎軍の中でも
一番、速い飛竜を数機、お貸ししましょう!」
と言うと孫嘉に王騎軍の中でも一番速い飛竜を数機、
舜炎帝から借り受けると龍炎国の北の地の
黒竜党の臥狼のもとへと向かった。




