第3章 6
韓忌によって、水霞曉が混乱している事を聴くと
仮面の男【劉閣】は暫く、下を俯くと
「ガハハハァ…… それは良い! これから我らも
水霞曉へと向かう!」
というと急遽、堯閣帝の居城を攻めるのをやめ、
全軍を水霞曉に向け、南下させ始めた。
仮面の男【劉閣】が水霞曉へと動き出した頃……
劉・小狼らが立て籠もっている智龍侯の居城・頭臥山へと
本格的に攻めかかろうとしたその時、
「牙狛侯さま。 た、大変です…… 共に事を起こし、
龐炎侯の領地へと攻め込んだ黒武侯が舜炎帝らの
連合軍に降伏したそうです!」
牙狛侯に付き従っていた兵士の一人が牙狛侯にそう伝えた。
そのことは劉・小狼らのもとに黒武侯が舜炎帝の連合軍に
降伏したことは伝えられた。
それを聴くなり、郭瑜は
「我らも出陣しましょう!……」
と言うと関遼らに牙狛侯を捕らえるべく、次々と命令を下した。
命を受けた関遼らはそれぞれの手勢を率い、
頭臥山を出陣していった。
それを見送った劉・小狼は
「さあ。我らの出陣しよう!」
と言うと後の護りを智龍侯の兵士に任せると郭瑜を率いて、
頭臥山を出陣した。
牙狛侯は黒武侯が舜炎帝に降伏したことに
一抹の不安を感じながらも、劉・小狼を撃つべく、
智龍侯の居城・頭臥山へと向かっていたが
頭臥山の少し手前の広い平原(岱螺原【たいらはら】)で
突如、牙狛侯が乗っている馬の歩みが止まった。
「どうしたんだ?……」
牙狛侯は急に止まった馬を何とか動かそうとするとが
一向に馬は動かなかった。
すると、牙狛侯がいる目の前の草がガサガサと動いた。
その音が聞こえると牙狛侯の手勢は
おのおの、武器を構えたが草の中から飛び出してきたのは
野鳥の群れだった。
「何だ! 鳥かぁ……」
牙狛侯の手勢が安堵し、構えていた武器をおのおの、降ろすと
再び、ガサガサと草が揺れ、草の中から張爛とその手勢が現れ、
牙狛侯とその手勢に襲い掛かった。
突然、現れ、襲ってきた張爛に驚いた牙狛侯の手勢は
総崩れとなった。
『このままだと我は負ける!』
そう思った牙狛侯は
「ここから直ちに撤退せよ!」
と全軍に岱螺原の撤退を命じた。
岱螺原から逃げるように撤退した牙狛と牙狛侯の手勢は
赤籐という河の畔に辿り着いた。
びっくりし、呼吸が荒い牙狛侯は荒荒ぶっている
馬を宥めながら
『ここいらで一休みをするかぁ……』
と思っていると今度は牙狛侯らがいる河の対岸の草の中から
趙燕と孫嘉が率いる弓矢部隊が出てくると
「一斉に射かけよ!」
趙燕と孫嘉の号令と共に弓矢部隊は
牙狛侯と牙狛侯の手勢に向かって、矢を射掛けた。




