第5章 7
麒麟と共に劉・小狼らの領地を攻めていた
四仙候の一人の智龍は
「麒麟様。もうお止めください……」
麒麟を諌めようとした。
「智龍侯。うるさいぞ! これは父の舜炎帝の命令だぞ!
……ごちゃごちゃ言ってないで次の攻める準備をせぬか!」
麒麟は自分を諌めようとした智龍侯を叱り付けた。
事前に劉・小狼らの動きを探っていた智龍侯は
すぐ近くまで劉・小狼らが近付いているのを知り、
『これまでか!……』
と智龍侯は舜炎帝らを裏切り、劉・小狼らに寝返る
決心を固めた。
劉・小狼らが軍勢を率いて、自分の領地で
暴れまわっている麒麟のすぐ近くまでやって来たのに
気付いた麒麟は現れた劉・小狼らを見ながら
「やっぱり、やって来たか!……
智龍候、迎え撃て!」
と言い、四仙候の一人の智龍侯に劉・小狼らを
迎え撃つように命じた。
もう劉・小狼らに寝返ることを決めていた智龍侯は
「は、はい……」
というと素直に麒麟のもとから立ち去った。
智龍侯の様子が違っていたのに気が付いた
他の四仙候らは智龍侯の後を追いかけた。
「ちょっと、待て! 智龍侯」
智龍侯の後を追いかけた四仙候の一人・牙狛候は
智龍侯をそう呼び止めた。
牙狛候は智龍侯を見ながら
「智龍侯。 まさか、お前、寝返るつもりじゃないか?」
というと智龍侯は決意を固めた顔をしながら
「ああぁ…… 我はもう、ここでは戦えぬから
彼【劉・小狼】らのもとに行く! お主らも一緒に行かぬか?」
と他の四仙候も寝返るのを誘った。
少し考えた他の四仙候は
「我らはもう少し、様子を見る!」
というとその場から立ち去った。
それからすぐに智龍侯は手勢を整えると
劉・小狼らの軍勢に向けて、出陣した。
麒麟の軍勢を背に智龍侯は劉・小狼の軍勢に
対峙するように陣を構えた。
だが、智龍侯は自ら、劉・小狼らに攻めかかろうとしなかった。
中々、攻めない智龍候に痺れを切らした麒麟は
「あの智龍侯は何故、攻めぬのだ?……」
怒りを露わにし、直ちに劉・小狼らに攻めるように
智龍侯に命令を出した。
命令を受けた智龍侯は
「仕方がないなぁ……」
というと自分の手下の兵を密かに劉・小狼らの
もとに向かわせ、寝返ることを伝えた。
準備が整うと智龍侯は一斉に軍勢を劉・小狼らの
もとに向かわせた。
智龍侯と智龍侯の手勢が劉・小狼らの軍勢に
激闘しようとしたその時、突然、智龍侯とその手勢は
劉・小狼らの軍勢の前で立ち止まり、振り返ると
麒麟の軍勢に向かって、矢を放った。
智龍侯の手勢が放った矢の雨に麒麟の軍勢は
大混乱に陥った。
「ど、どういうことだ?……」
激怒する麒麟に麒麟の側近・旬韓【じゅんかん】は
降り注いでくる矢の雨を交わしながら
「ここは危のうございます…… 一旦、退却を!……」
と進言すると麒麟と共にその場を退却をしようとした。
それを見た他の四仙候らは
「ここまでか!……」
というと麒麟の軍勢の中で麒麟の軍勢を襲い始めた。




