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炒飯と餃子定食は胃袋を掴む




「あー、続きが気になる」


挿絵(By みてみん)


 思わず呟いてしまった。


 今回の撃墜のモチベーションポイントとして2巻だけ買ってもらった転生ものだが、なかなか面白かった。いよいよこれから「ざまあ」が始めるってところで2巻が終わっていた。


 これは次もしっかり撃墜して、続きを買ってもらわないといけないわ。


 しっかりとやる気になっている自分に呆れるところはあるけれど、こればっかりは仕方ない。


「はい、お昼ご飯でーす」


 先場司令の声が聞こえた。


「はあい」

「はい」


 オペレーションルームから出て共用スペースへと向かう。


 ああ、いい匂い。


「今日は炒飯と餃子。お口に合うといいけど」


 先場司令。


 岬さんによれば相当変わった人らしい。


 イレギュラーってこともそうだけれど、自分で料理する司令は初めてらしい。


 たいてい引いたロットの誰かにやらせたり、輪番にしたり。


 床の汚れとかが気になるみたいで、今朝の不定期便の後には、床をモップ掛けしていたし。


「いやあ、立派な中華鍋があって良かったよ。コンロも高火力のものが一口あって」


 なんかすごく嬉しそう。


 そして炒飯も餃子もとっても美味しい。


 羽根つき餃子とか自分で作っちゃうんだ。これ、インスタントじゃなくて自分で餃子の皮、包んで作ったんだよ。


「本当に清掃員だったんですか?」

「そうだよー。大きなビルとか順に回って、ポリッシャーって分かる?そう言うので綺麗にして回ってた」

「なぜ、こんなに料理が上手なんですか?」


 そう聞くと先場司令が照れた。


「いやあ、我流なんだよ。一応レシピをネットで見て作ることはあっても、結局自分でアレンジしちゃう感じで」

「我流でこれはすごいですね」

「ははは、まあ、ご飯は美味しい方がいいし」

「非常にいいことです。食事はモチベーションに繋がりますから」

「ああ、そうらしいね」


 前任者が詰んだ理由にはいろいろあるが、食事が全部インスタントになってたことも大きいみたいだし。


 誰かに頼めば良かったのに。


 まあ、先場司令の方が明らかに私よりも料理が上手だから、どうかこれからもよろしくお願いします。


「餃子、まだ焼けるんだけど、食べる?」

「食べます」

「食べます」

「食べたいです」

「いただきます」


 岬さんまで即答していた。


 なんか私達、先場司令に胃袋掴まれてる感じ?







「ん?定期便?」

「ちょっと分かりませんね。いつもよりも明らかに早いです」


 餃子の追加を焼き終わって、それぞれが追加の1個を食べたところで警報が鳴った。


 オペレーションルームに走って戻り、3人娘はハンガーへと走った。


「っと、これは」

「ケイオスか。不定期だな」

「そのようです」


 岬さんがハンガーに連絡を入れる。


「不定期便よ。ケイオスを侵攻中。個体数、20近い」

「18だ」

「18体。種別不明」

『了解。私が爆装したセイバーに乗るわ』

「定期便も近いはずよ。残弾に気を付けて。場合によっては連戦よ」

『なんとかするっ』


 なんとかなるのか?


 岬さんも厳しい顔をしているぞ。


「俺も銃座に行こうか?」

「今行っても早過ぎます」

「まあ、そうか」


 なんだかそわそわするんだがなあ。


「種別判明。ケイオスゴブリン」

「ケイオスゴブリンか」


 ぶっちゃけ雑魚だ。


 問題は数か。


「先場司令」

「なんだ?」

「場合によってはケイオスゴブリンの多くを倒してもらうことになってもいいですか?」

「あ、ああ」


 ごくりと喉が鳴った。


「亜里沙、爆弾落としたら定期便に備えて。奏、ロケット弾全部撃ち尽くしてすぐに基地に戻って再出撃」

『了解』

『了解』


 つまりその攻撃で撃ち漏らしたケイオスゴブリンを俺が倒すってことなんだな。


 うん、これは武者震い。


『タリホー』


 ケイオスゴブリンを発見したようだ。


 少しするとその数がみるみる減って行った。


 18いたのが、4にまで減っていた。


 やるなあ。


「定期便っ。ギガントクロウ、4体」

『了解』


 滑走路にスターファイヤが着陸して来た。


「手伝って来た方がいいかな?」

「邪魔になるだけです」


挿絵(By みてみん)


 左様ですか。はい。


「先場司令」

「お、おう」

「ケイオスゴブリンは最初18体いました」

「ああ。あ、レア種か」

「そうです。その規模の群れならば必ずレア種が混じっていたはずです」

「それが生き残っている可能性があるってことだな」

「そうです。くれぐれも油断しないでください」

「もちろんだ」


 最初から油断なんてする心の余裕はないですよ、岬さん。


「では2番の銃座にお願いします」

「おうっ」


 声が少し裏返ったが気にしている余裕もないのだ。


 2番の銃座に座ってケイオスの海を見る。


 遠くに煙がたなびいているのが爆撃だな。


 ってことはあっちだ。


 二連装の機銃を向ける。


 これ対空機銃にもなるらしい。ちなみに引き金を自分で引くんじゃなくて、ボタンを押すと射撃が始まる。


 最初に撃った時には反動で椅子から転げ落ちそうになったなあ。


 あ、あれかな。


 小さな影がケイオスの海に見えた。


 人影なんだなあ。まあ、ゴブリンって名前だからそうだと思ってたけど。


 人型はしていてもデイモン。


 人型はしていてもデイモン。


 自分に暗示を掛ける。


『先場司令。約10秒後に射程に入ります』

「了解だ」


 10カウントして、人影に向けて撃ち始める。


 おお、命中だ。


 レア種いるのかな?


 この前のブラックハウンドに比べて動きが鈍いぞ。まあ、そりゃ普通、犬よりも鈍いか。


「おらおらおらー」


 なんか俺叫びながら撃ち続けている。


 こういうのハッピー何とかって言うのか?


 結局こっちに向かっていたケイオスゴブリンを全部俺が撃ち殺すことに成功した。


「ふうううう」


 あー、なんか握りしめていた手が痛い。肩も痛い。


 突然轟音がして、頭上をセイバーが横切って行った。


 あれ?


 なんか翼がふらふらしてんだけど。


「岬さん」

『先場司令お見事です』

「あ、俺はいい。セイバーがなんかふらふらしてるぞ。大丈夫なのか?」

『え?無事に定期便もキルしてきましたけど?』

「そうなのか?」

『ふらふらってどんな感じですか?』

「あー、なんか翼が上下に動くみたいな?」

『あ、それは挨拶です』

「挨拶?」


 なんだよ、挨拶って。





炒飯最高。

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