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二股かけられた女、そして男




『右、任せる』

「任されますっ」


 そう元気に答えたものの、このスターファイヤのロケット弾を命中させるのは難しい。


 出来るだけ接近したい。


 ギガントクロウは大きいからジャイアントバットよりも狙いやすい。


 当てるわよ。






 藤尾奏は女子大生だ。


 国立大学の教育学部に入ったが、教員が定額働かせ放題のブラックな職場だと知って、進路に迷っていた。


 憧れていた中学校の先生が、最近精神を病んで、休職したと聞いたことも大きい。


 学園祭でメイド喫茶をした時に、最初少し嫌がった私に「おっぱいでかいんだからやればいいんだよ」という陰口が聞こえて、私は落ち込んだ。


 引き受けた以上、笑顔で接客したけれど、やっていて楽しくなかった。


 そして追い打ちをかけたのが、彼氏が浮気をしていたということ。


 いや、もしかしたら私の方が遊びだったのかもしれない。


 メイド喫茶が評判で、用意していたプリンがなくなってしまったことで、私は急いで買い出しに出た。その時に彼が知らない女生徒と手を繋いで歩いているのを見てしまったのだ。


 彼は一人っ子なので、姉も、妹もいない。


 後日、意を決して私が見たことを伝えると、彼は「めんどくせえ」とだけ残して私から去って行った。


 「大好きだ」とか「愛してる」とか言っていた彼の口から出た最後の言葉がそれだった。


 私は面倒な女だったのか。


挿絵(By みてみん)


 おっぱいが大きいだけの面倒な女。


 そんな時にアカシックレコードに呼ばれた。


 自暴自棄になっているのかと思いきや、私はこの話を聞いて、すぐに思い出した人がいた。


 ひいおばあちゃん。


 私が大学に入学できたことをとても喜んで、そしてそれを見届けて満足したように亡くなってしまった。


『奏なら立派な先生になるよ』


 その言葉を思い出した私は、アカシックレコードに対して引き受ける選択を返したのだった。






「ナイス、奏」

「おうっ」


 複座席の郁の言葉に答えた。


 さあ、まだロケット弾は残ってるぞお。







「はい、ご苦労様」

「はい」


 夕方の定期便はジャイアントバットとギガントクロウの混成デイモンだった。


 混成ということで少し心配したけれど、結局3人はほぼ瞬殺みたいな状態で帰還して来た。


 亜里沙と郁を撫でて、今度は奏。


「じゃあ、欲しいのを選んで」


 俺はいつものようにタブレットを差し出して、コミックを購入してもらおうとした。


 ん?


 どした?


「何か?」

「あ、いえ。別に。ありがとうございます」


 うん、やっぱり続きが気になるよね。5巻と6巻を購入っと。


 なんかこのコミック、結構続きが気になるようで、女性陣、全員読んでるらしい。


 俺もぜひと進められたが、今のところスルーしている。


「ではメンテナンスしてきます」

「おう、頼む」


 3人がハンガーに戻って行った。


「岬さん」

「はい」

「今度、司令会議ってあるじゃん」

「あります」

「そこってどんなこと話し合うわけ?」


 俺がイレギュラーだからと、いろいろと知識を岬さんがまとめて読めるようにしてくれてるんだが、その中には司令会議については書かれていない。


 まあ、網羅するのは無理なんだろうし、実際俺もまだ読み切れてない。


「基本的には情報交換と作戦会議ですね」

「情報交換って言うと?」

「出現したデイモンの情報。特にレア種については有効的な倒し方があれば共有するのが常のようです」

「なるほど。有用だ」

「さらにデイモン出現の頻度や強度についてもです。これは「ウェイブ」の兆候の可能性もあるので」


 うん。


 ウェイブの前には徐々にデイモンの出現頻度が高まるらしい。でもって出て来るデイモンも強力になるとか。


「大事だな司令会議」

「大事です」


 岬さんがその顔で頷くと本当に大事に思えます。


「作戦会議は、「ウェイブ」対策ってことか」

「一番はそれです。特に近隣のエリアとは連係した行動が大事です」

「なるほど」


 となるとエリア8.9のねちねち緑司令とうまくやれるか心配だなあ。


「ちなみにさ。隣のエリア8.7の司令が椎内空だって言って」

「ええっ」


挿絵(By みてみん)


 あ、岬さんも知ってるんだ。


「し、失礼しました」

「ごめん、俺、邦楽聞かないからさあ。すごい人なの?」

「チャートで1位も連発しているし、年末の歌合戦にも出てましたけど」

「見てない」

「なるほど」


 すると岬さんが突然ふふふーんと鼻歌を歌い始めた。


「あ、なんか聞いたことあるかも」

「CMでゴリゴリ流れていましたから」

「あー、それでなんか聞き覚えがあるのかあ」


 なんか岬さんが微妙な顔をしている。


「なんだろうか?」

「あまりこちらから立ち入ったことを聞くべきではないのですが」

「いいよ。どうぞ」

「先場司令は、その、結構ぼっちな方なのですか?」


 ぐはっ。


 クリティカルヒットですよ、岬さん。


「すいません。言い方が悪かったかもしれません。あまり社交性のない方?」


 ぐはあっ。


 ヒットポイントが赤表示ですよ、岬さんっ。


「ま、まあ、あまり進んで人と関わりたいと思うタイプじゃないな」

「ちなみにご結婚は?あ、嫌なら答えなくていいですが」

「未婚です」

「彼女さんとかは?」

「えっと、いない歴5年かな」


 なんか苦しいです、岬さん。


「あ、でもいたことはあるのですね」

「はうぐっ」


 はい、でも、別れたってことですからあ。


 しかも二股掛けられて捨てられた方ですからあああっ。


 なんか、もう灰になった気分です。





岬さんこそどうなのか聞いて欲しい。

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