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ワールズエンドの歌姫  作者: 染島ユースケ
3.ライブハウスの歌姫
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 結果は、メールで伝えられることになっていた。

 そんなわけで、4人はぎゅうぎゅうになってジェロムのタブレット端末の窓をのぞき込んでいる。

「押さないでよソウ、あたしが見えないでしょ」

「もうこれ以上どう動けってんだよ。俺だって部長のアフロが邪魔で……」

「……梨音の胸が当たる」

「どれどれ、俺がどんな当たり具合か確かめてやぐほっ」

「死ねこの変態黒アフロ」

 半径1メートル内で展開されるしょうもない子競り合い。そうこうしているうちに、タブレットのメール画面に動きがあった。

「来た」

 ジェロムの重い声で、全員が画面に向かって身を乗り出す。

 新着メール1件。送り主は、柏MUSIC SUN運営事務局。メールを開き、文面を目で追っていく。

『この度は、柏MUSIC SUNオーディションライブ【全力歌選手権】に参加いただきありがとうございました――』

 文字を読み進めながら、奏介は手汗がにじみ出るのを感じる。

『リスナーからの投票の結果、ザ・ジェロムズは柏MUSIC SUNへの出場権を獲得いたしました』

 一瞬、頭の中が空白になった。

『リスナーからの投票の結果、ザ・ジェロムズは柏MUSIC SUNへの出場権を獲得いたしました』

 もう一度文面を見直す。間違いなかった。

 メンバー全員と顔を見合わせる。

「夢じゃない……」

「嘘でもないよね?」

「見間違い、でもないな」

「全部、マジっぽい」

 それから数秒の空白があって。


 よっしゃあああああああああ――――!!!!


 全員の喜びが爆発した。

「すごい、すごいですー」

「出れるの!? フェスに出れちゃうのあたしたち!?」

「マジかー! マジだー!」

「コングラッチュレーション!」

 目を丸くして、肩を組んで、ハイタッチして、拳を突き上げ。円になった4人分それぞれの歓喜、驚き、叫びが部室の中心で渦を巻く。

 たかが一地方都市の音楽フェスかもしれない。それでも、ジェロムズにとっては大きすぎる一歩だった。

「よーし、こうなったらパーリィーの準備だ! 行くぞ奏介! 買い出しだ! 1.5リットルコーラ10本買うぞ!」

「そんな無茶な!」

 人の言うことに耳を貸す間もなく、湧き上がった喜びの勢いをそのままに部室の外へと飛び出していくジェロム。奏介はそれに、慌ただしくついていく。

 奏介には、夢があった。

『自分の音楽を多くの人に聴いてほしい。MiXを超えたい』

 それは、果てしなく遠い夢のはずだった。

 だけど、今それが大きく近づこうとしている。

 どこか確信めいた予感に、奏介は胸を高鳴らせていた。

 ちなみにその予感は、奏介が思っていたよりも早く的中することになる。しかも、奏介の予想しなかった形で。

 だけど、それはもう少し先の話。


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