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15分。
それは、オーディションライブで4人がザ・ジェロムズとして初めてステージに立った時間だった。
それは、まるで夢のような時間だった。
ジェロムのダンサブルなビート。
それを支える梨音のベースサウンド。
さらに彩りを添える奏介のギターソロ。
そしてその中心、彼方の歌声。
全ては断片的で、あっという間に過ぎ去っていた。
ただ、それでも奏介は覚えていた。
これまでに見たことのない、観衆の興奮を。沸き上がる熱気を。割れんばかりの拍手を。その歓声は、確かにジェロムズに向けられていたということを。
きっと、自分の歌声ではあり得なかった。
彼方の歌声だから創り上げることのできた、絶対的、圧倒的ステージだった。
手に握った汗すらも蒸発してしまいそうな熱狂の中で、最後の曲、最後の音が終わったその時、奏介は決意を固めていた。
自分の音楽は、彼方に捧げよう。
彼方が歌うそのために、自分の音を奏でよう。
その瞬間、奏介は自分の魂が体温とともに燃え上がるのを感じていた。




