仮面舞踏会
「私がオペラ座?もしかして私バレリーナになるんですか?!」
フランソワーズはクリスチャンからオペラ座に行くと言われ大声を上げた!!
「そうじゃないんだ。」
オペラ座では毎年仮面舞踏会が行われる。参加者は仮面をつけて踊るのだ。クリスチャンはベルサイユ宮殿での予行練習も兼ねて行こうというのだ。
「なんだか楽しそうだわ。是非行きたいですわ。」
「おいクリスチャン、いいのかこの調子で。」
「大丈夫だ。テーブルマナーだって覚えた。ダンスやウォーキングも完璧ではないが形にはなっている。」
「本当に大丈夫なのか?あの様子で」
フランソワーズは歌曲を口ずさみながらスカートを翻しステップを踏んでいる。
「フランソワーズ」
クリスチャンが呼び掛ける。
「はい、クリスチャン様」
「仮面舞踏会は遊びで行くんじゃないんだぞ。分かってるな?」
「Oui」
仮面舞踏会当日フランソワーズはクリスチャンとロバートのエスコートでオペラ座に向かう。
「フランソワーズこれを」
フランソワーズはクリスチャンから仮面を渡される。仮面舞踏会は普通の舞踏会と違い、仮面を着けてお互いの素性が分からないのだ。つまり無礼講で時を楽しむのだ。フランソワーズのはショッキングピンクの仮面だ。今日の淡いピンクのドレスにぴったりだ。
クリスチャンは黄色、ロバートは緑の仮面をそれぞれ着けている。
フランソワーズは馬車を降りるとクリスチャンとロバートに手を引かれてオペラ座に入る。
オペラ座のロビーでは仮面を付けた紳士淑女が笑い合い夢のような一時を過ごす。誰が誰だか分からない。以前王妃マリーアントワネット様も皇太子妃時代にお忍びで訪れたこともあるのだ。
シャンデリアが照らすロビー。
「クリスチャン様」
耳元でフランソワーズが囁く。
「どうした?」
「オペラ座ってクリスチャン様の学校の講堂よりも広いのですね。」
「当たり前だ。ベルサイユ宮殿はもっと広いぞ。怖じ気づいたか?」
「いえ、わたくし胸が高まりますわ。」
すっかり令嬢になりきっている。
音楽が始まると人々はホールに出て踊り出す。
「あの」
1人の少女がクリスチャンに声をかける。
「私と踊ってもらえますか?」
「Oui,喜んで」
フランソワーズはその姿を傍で見ていた。
「ちょっと待って。私とは。」
「私が誘ったんだから私が先よ。」
少女はフランソワーズを睨み付ける。
クリスチャンは少女と共に行ってしまう。
フランソワーズは他の淑女達と共にホールの隅で待機する。彼女達は壁の花と呼ばれ一緒に踊ってくれる紳士を待っているのだ。
「お嬢さん」
フランソワーズは1人の紳士に話しかけられる。身なりの良さからすると貴族であろう。
クリスチャンを見ると先ほどの少女と踊っている。
ロバートは他の招待客と飲んでいる。
「宜しければダンスのお相手お願いできますか?」
せっかくステップを踏めるようになったのだから楽しみたい。フランソワーズはそう思い差し出された紳士の手を取る。




