エリザベート side③
そう、お父様は私がこのお薬を飲もうとしてることに納得はしなかった、成分を調べて毒ではないと判断してからだと仰っていたけどもアヴニール様は全て飲み干さなければ怪我は治らないと仰っていたのだから私は全部飲むべきだと思う。
お父様に反発することなんて初めてだったけどお薬を取り上げられそうになったのはお母様が味方して下さったので今は私の手元にある。
お母様の言葉に私は持っていたお薬を一滴残らず飲み干した、国王様は止めようと思って居たのか慌てて立ち上がったがそれはもう遅い。
……体が何だか熱いような気がする……。
「こんなことが……」
「エリー……」
国王様やお父様が驚いたような表情をしているけどもどうしたのでしょうか……?
アヴニール様から頂いたお薬を飲んだけど特に私に何も変わった様子はなさそう……少し体が熱くなったくらいかしら?
「エリー、鏡を見てごらんなさい?」
「え?」
「ほら、貴女の顔」
お母様は嬉しそうな表情をしながらもお母様が差し出して下さった小さな鏡を見る。
その鏡に写った私の顔はいつもの顔で……今朝まであったあの醜い火傷の跡はなく怪我をする前の私の顔がそこにはあった。
……信じられない、あの火傷の跡が……鏡を見てぺたぺたと自分の顔を触ってみるも火傷があったなんて思わないくらいいつも通りの顔で。
「嘘……お母様、私の顔が!」
「ええ、エリー。 綺麗に傷が治っているわ」
私の顔が綺麗に治ったことでお母様も本当に嬉しそうな笑みを浮かべてくれている、国王様もお父様も見の前で治ったのに信じられないと言わんばかりに私のことをじっと見ていらっしゃる。
トール様は驚いた様子で居たけども私が嬉しそうにしているのを見てにっこりと微笑んでくれた。
「信じられん……あの傷がこうも一瞬で治るとは……」
「ああ、私の可愛いエリー! その可愛い顔をお父様にも見せておくれ!」
国王様はまだ驚いた様子だったけどもお父様は嬉しそうな笑みを浮かべて国王様の前なのに私をぎゅっと抱き締めてくれた。
お、お父様! 謁見場でこんなこと……貴族として恥ずかしいですわ……。
「お父様……」
「これは幻ではないよな? こんなに可愛いエリーの顔が治るなんてアヴニールには感謝しないといけないな」
「うーむ、信じられんが目の前で起きたことは事実だ……。 そのアヴニールと言う者はまだ居るのか?」
お父様は素直に喜んで下さっているけど国王様はこのお薬の効能が気になっているよう。
ちらりとお母様の方を見るとお母様は私を安心させるようににっこりと微笑みながら国王様に向き直る。
「アヴニール様はもう行かれましたわ」
「む、これほどの薬を作れるなら留まって貰うのが普通ではないか?」
「ふふっ、アヴニール様にはやらなければいけないことがありますのよ? その邪魔をしてまで国に仕えろなんて恩知らずで恥知らずなことは言えませんわ。 私たちが清く正しく生きているとまた会える気がしますわ。 私もエリーもアヴニール様には感謝していますもの」
「それはだな……」
お母様と国王様はお話ししているけど私もアヴニール様には家にお招きしてお礼をしたかったわ、でも、お母様の言う通り私たちが生きていればまた会える気がします。
その時は今度こそお礼をさせて下さい、アヴニール様。
私たちアルソン家はアヴニール様の無事をいつまでも祈っております。
【続きが気になる】【更新待ってます】
と思う方は評価やブックマークをお願いします!
モチベーションが上がり著者が喜び更新を頑張れます!