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ちょっと家出してみようか  作者: 霜雪 雨多
9/17

廃墟にて-2

やっと廃墟の探検をはじめます。短いですがどうぞ。

「お邪魔しまーす」

暗いので、スマホのライトを起動させあたりを照らしてみた。

マナーモードに切り替える前にあった大量の着信と通知は見なかったことにしよう。

「想像していたよりは荒れていないな。多少汚れが目立つぐらいだ」

柱の表面をなぞってみると指に薄くほこりが付着した。

「そうね。もっと朽ちているかと思っていたわ」

赤い絨毯は泥やほこりでまみれている。先駆者のものだろうか、乾いた泥の足跡がある。


「さっさと進みましょう」

「おい、ちょっと待てよ。土足で上がるつもりか?」

なぜ気にするのか、とでもいうように野々崎は不思議そうに首をかしげている。

ここは和風旅館らしく、玄関が一段上がっているのだ。

「どうして?」

「いや、なんだ。その… 日本人として土足で上がるのは気持ち悪くないか?」

野々崎は僕の発言を聞くとようやく合点がいったらしい。

「私は気にしないけれど、日本人には土足で上がることに抵抗のある人が多いみたいね」

多い、というか日本での生活様式に慣れていれば当然そのことに心理的な抵抗があるだろう。


「でももう誰もいないのだし、わざわざ靴を脱ぐことはないでしょう。もしかしたら何かを踏んでケガするかもしれないし、いざというときに走って逃げることができないわよ。安全のためにも履いたままの方がいいと思うわ」

いざというときがある前提なのが納得いかないが、たしかに彼女の言い分にも一理ある。

野々崎に倣って僕も玄関を上がった。

うーん。やっぱり靴を履いたままだとなんとなく気持ち悪いな。

さすがに和室では脱ごうかな。


上がると当然というか、すぐそこに受付がある。

だが…


「なんで人間ってこういう意味のないことをするのかな」


野々崎は、誰に言い聞かせるでもなくポツリとつぶやいた。

その言葉は彼女の心からの疑問であるような気がした。


『☆はいきょ とうはきねん☆ ひろし 卓郎 美香 たけし』


受付背後の壁には目立つ赤いスプレーでそう描かれていた。

どこかで見聞きした覚えがあるような名前だ…でも知ってるわけないか。

同じようなスプレーの落書きを街中のトンネルで見かけたことがある。きっとこういうことに理由なんてない。ただその場のノリで、雰囲気に流されて、意味のないことをする。集団の怖さだ。

きっと以前ここにきた若者が残していったものだろう。これから探索が始まるってときにこんなのがあるんだから興醒めだ。


「どうやらここに幽霊はいなさそうね。客室の方に行ってみましょう」

思案にふけっていると、野々崎は一転、身を翻し、奥へスタスタと歩いていく。

「おい、置いていかないでくれ」

仕方なしに僕もついていく。


ああ、床が土で汚れていく…

できるだけ早く続きを書けるようがんばります

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