第12話:うちのサンタが囲まれすぎる!
《 前回のあらすじ 》
酒盛りやってた七福神どもに、
拘束プレイをプレゼントしてやったぜ!
月が、甲板を青白く照らし出す。
甲板はもう半壊していた。
割れた板の隙間から海水が噴き上がる。
正面に立つのは毘沙門天。
「俺は北を守護する天部、毘沙門天だ。
小娘……名を名乗れ」
ノエルは両手にコルト・ガバメントを構え、唇を歪めて笑う。
「聖ニコラウスの娘、ノエルだ。
冥土の土産にしっかり覚えとけよ、武闘派さん」
毘沙門天が低く、腹の底から笑った。
「受けて立つ!
宝塔よ──煩悩を祓え!!」
左手が振り上げられる。
瞬間。
バチバチバチバチバチバチバチッ!!
虹色の電光が甲板の至るところで爆ぜ、
無表情な小坊主が108体、まるで地獄から湧き上がるように出現した。
「戒めを……戒めを……」という無機質な呟きが重なり合う。
全員が完全に同期し、息をするタイミングすら同じ。
毘沙門天がニヤリと笑みを浮かべる。
「こいつらは煩悩童子。
俺が宝塔の力で生み出した、完璧な兵だ」
一糸乱れぬ軍勢が、
一瞬でノエルの周囲に円陣を敷く。
「囲め……囲め……」
五重の生きた壁が完成。
隙間は指一本すら入らない。
甲板に、波の音すら消えた。
ノエルの鼓動だけが、耳を打つほどの静寂。
そして。
毘沙門天が、ゆっくりと右腕を振った。
ズドォォォォォォン!!!
衝撃波が轟音と共に放たれる。
五重の壁がほんの一瞬、わずか数十センチだけ開いた隙間を、
衝撃波は正確無比に通り抜け、
ノエルの胸を直撃した。
「──っ!?」
肺の中の空気が根こそぎ吹き飛び、
ノエルの体が後ろへ大きく跳ねる。
小坊主たちは表情ひとつ変えず、
開いた隙間を即座に埋め、
再び完全なる円陣を完成させる。
毘沙門天、槍を軽く投げる。
シュッ……パァン!!
槍が7本に分裂。
7本の槍は、
小坊主の壁が次々に開ける7つの隙間を縫うように通過。
穴は槍が通った瞬間に即座に閉じる。
7本全てがノエルを完全にロックオン。
「こんなの避けられるかよ!!」
必死に横に飛ぶが、
1本が肩を、
1本が腿を、
最後の一本が腹をかすめる。
「退路なし…退路なし…」
小坊主108体の壁は、
次の隙間をすでに準備している。
毘沙門天、静かに歩み寄る。
一歩ごとに、壁が波のようにスライドして道を作る。
完全に支配された戦場。
ノエルが、舌打ちしながら銃を握り直す。
「こんな連携、見たことねえ……」
試しに壁に全力連射。
ババババババババババババ!!
20体の小坊主が光の粒子になるが、
後ろから即座に20体が無音で補充。
壁の厚さは1ミリも減らない。
毘沙門天、豪快な表情で次の衝撃波を放つ。
ズドォォォン!!
再び壁の隙間を縫って直撃。
ノエルの身体が吹き飛ばされ、甲板に叩きつけられる。
ルドルフが血走った目で突っ込もうとする。
「ノエルっ! 今行く──」
クランプスの腕が、影となってルドルフの首を掴んで引き戻した。
「下手に動いたらいけませんわ。
……毘沙門天は、ベイクなんかとは格が違う。
能力に頼ってるんじゃない。動きに一切の無駄がありません」
クランプスが、瞳を鋭く光らせる。
煩悩童子の五重の壁が、隙間なくノエルを取り囲む。
108体の虚ろな目が、ノエルの顔を
数センチの距離で、同時に見据えている。
毘沙門天は、次の攻撃をすべく、
円陣の外で槍を振りかぶった。
──ここまで読んでくれた良い子たちへ。
お疲れ様だったな。
だが、まだ帰るなよ?
・次のエピソードは12月28日、20時に投稿予定だとよ。
武闘派さんと最終決戦だ!
・ブックマークしてない奴、手あげろ。
ホールドアップしろとは言ってねえ。
・活動報告も要チェックだ。
小話をアップしていくよう、作者を脅しといた。
本編が待てない良い子は、そっちも読め。
──ノエルより。




