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ギルドとの契約


 シュレイノリアの、ジューネスティーンにも魔法紋の開発程度なら簡単にこなすと言う言葉に、ジューネスティーンは、否定をする事は無かった。


「まあ、そうだろうが、お前が魔法を専門に覚えてくれたんだ。 その分、俺は剣だとか、パワードスーツだとか、そういった方面に時間を割くことができたわけだ。 もし、魔法まで覚えていたらパワードスーツの完成は、もう少し先になったかもしれない。 それに卒業までに1台完成させなければならなかったからな。 時間的な問題も有ったから、シュレに魔法を担当してもらえて助かってたんだよ。」


 ジューネスティーンは、魔法紋の開発をシュレイノリアに丸投げした理由を納期に間に合わせる為と言った。


 1人で間に合わなくても2人で分担するなら、間に合わせる事も可能になる。


 それを理由にしたのだ。


「ああ、ギルドとの契約か。」


「入学前は、設計だけだったからな。 実際に試作してみて、問題点も多かったから、魔法紋まで自分で考えてたら、完成が間に合わなかったかもしれないんだ。 間に合わなかったら、俺は全額返済の為の借金を背負うことになったんだ。 お前と違ってな。」


 ジューネスティーンは、ギルドの高等学校への入学の条件は、卒業までに、始まりの村の寮の黒板に描いたパワードスーツを納品する事が条件だった。


 シュレイノリアは、ずば抜けた魔法によって、特待生扱いで入学できたが、ジューネスティーンは、条件を出されたのだ。


 その条件をクリアーする為に、在学中は授業とパワードスーツの開発に力を注ぐために、それ以外の事は、可能な限り自分で行う事はせずに、人を使うことを考えていたのだ。


 特に、剣の手入れについても外注することにする為、エルメアーナを頼ったのだが、相手にされなかったのだ。


 ただ、エルメアーナには門前払いをくらってしまった。


 別の鍛冶屋でも良かったのだが、寮と学校の近くに鍛冶屋が無かったこともあり、別の鍛冶屋に行く時間を考えたら、エルメアーナに頼んだ方が良いとなり、最初は、シュレイノリアに仲介を頼んだのだが、エルメアーナに話が通じず、また、追い返されたのだ。


 後で、シュレイノリアに話を聞いて、ぶっきらぼうな話し方が、初めて見たシュレイノリアをエルメアーナが、気に食わなかった様だった。


 それで、アンジュリーンに頼んだのだ。


 その時は、色々有ったが、その後は、エルメアーナがジューネスティーンの剣の手入れを行う様になってくれた。


 そうやって、ジューネスティーンは、自分の手から離せるものは、全て、周りに任せる様にして、パワードスーツの開発に専念したのだ。


「まあ、これから先、必要に迫られたら魔法も覚える様にするよ。」


 ジューネスティーンの言葉に、シュレイノリアは、考える。


 ジューネスティーンの言っている事は、間違ってはいない。


 特に、機械的なハード設計と、魔法紋的なソフト設計を、同時進行で同一人物が行なっていては、時間は、単純計算で2倍になる。


 だが、ハードは、ジューネスティーンが受け持ち、ソフトは、シュレイノリアが受け持つ事で、開発に掛かる時間は短縮できる。


 人の脳に負荷をかけるのは、一瞬なら何とでもなるが、慢性的に負荷をかけてしまった場合、思い込みから、ミスをミスとして認識できずに、そのまま、スルーしてしまう。


 それは、致命的欠陥に繋がることは良くある事なのだ。


 ミスの修正は、人的な労力と、不必要な資金の投入が必要となる。


 ならば、パワードスーツの開発においても、ホバーボードの開発においても、分散して開発を進めるのは、理に叶っていることなのだ。




 ジューネスティーンの話は、シュレイノリアも理解できるのだが、納得できない部分も有った様だ。


 シュレイノリアは、ジューネスティーンにその疑問を聞いてみることにしたのだ。。


「それは私が居る限り、魔法は覚える必要が無いって事なのか? 」


 ジューネスティーンは、少し困った様な顔をする。


「まあ、そうなる。」


 その話を聞いていたアンジュリーンは微妙な顔をする。


 なんだか、ジューネスティーンの惚気を聞いているのではないか、そんな気になってしまう。


 そう思ってから、カミュルイアン達の方を確認する。




 さっきまで、腰が引けていたウィルリーンが優雅にホバーボードを乗りこなしている。


 走りながらホバーボードを回転させながら進んだり、急停止したり、高速で回ったりしている。


 残っている3人を見ると、2人の男子は面白そうに見ているが、シェルリーンだけが何か悔しそうにしている様に見える。


 どうも、カミュルイアンに良いところを見せようと2人で張り合っている様だ。




 そのせいかウィルリーンの上達はかなり早い様に見える。


 そんなウィルリーンを見ていたアンジュリーンが、2人に話しかけてきた。


「ねえ、ウィルリーンが面白い事しているわよ。 なんだか曲芸みたい。」


「ああ、あの人は早く走らせるより、優雅に使う方が向いているみたいだな。」


「スピードよりも、演技するって感じだ。」


 ジューネスティーンは興味なさそうに答えると、シュレイノリアは、解説する様にアンジュリーンの話に答えた。




 シュレイノリアは、ジューネスティーンに、何か言って欲しそうにするが、表情を戻すと、直ぐに立ち上がる。


「あっちもリミッターを上げた方が良さそうだ。」


 そう言うと、シュレイノリアはレィオーンパードのグループの方に歩いていく。




 曲芸の様にしてホバーボードに乗って、戻ってきたウィルリーンにシェルリーンが何か言っている様だが、シュレイノリアが、一言言うと、直ぐにシュレイノリアの話を聞いている。


 シュレイノリアは一瞬ホバーボードに手をかざすと直ぐに直ってから、一言二言をレィオーンパードに言って戻ってくる。


 結果、昼前には、リミッター解除した状態でユーリカリアのメンバーはホバーボードを乗りこなしていた。


 移動の時の馬車の揺れによる車酔いはホバーボードを乗りこなしているうちに解消された。


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