リミッターの上限
シュレイノリアが、話をするとシェルリーンの顔が明るくなると、直ぐにカミュルイアンの方に2人で歩いていく。
丁度、ウィルリーンが、戻ってきた所なので、シュレイノリアがウィルリーンに話を始める。
その話を、カミュルイアンもレィオーンパードも聞いている。
ウィルリーンも納得した様なので、シュレイノリアは、魔法紋のリミッターを変更する。
リミッターを変更すると、2人に一言二言話すと、シュレイノリアはジューネスティーンの方に戻ってきた。
戻ってきたシュレイノリアは、ジューネスティーンの横に座ると、ジューネスティーン達に聴こえる様に話す。
「アリーシャ姉さんの物より少し遅い。 その様に設定した。」
「ああ、その方が良いかもしれないな。」
レィオーンパードのホバーボードに、ウィルリーンが最初に乗る様だった。
直ぐに乗って浮き上がると動き出しの時に少しバランスを崩すが、直ぐに立て直した。
上手く乗れている様に見える。
さっきの様に、大きく弧を描く様に、左右に曲がりながら進む。
一度コツを掴んでしまったウィルリーンには、スピードの変化はそれ程影響は無かった様である。
その間、シェルリーンは嬉しそうにカミュルイアンに色々と話しかける。
いい感じでウィルリーンが戻って来るとシェルリーンに交代していた。
特にトラブルは無かった様だ。
揉める事もなく乗り手が変わる。
シェルリーンが浮き上がると、遅い時のつもりでいたのか、ホバーボードだけが先に行ってしまって思いっきり後ろに転び尻餅をついた。
それを見て、ウィルリーンが、何かをシェルリーンに言っている様だが、ウィルリーンに申し訳無さそうにシェルリーンがしている様だ。
シェルリーンが、尻餅をついた部分を痛そうに右手で触っていると、カミュルイアンが手を差し伸べる。
その手を嬉しそうに掴むとカミュルイアンが引っ張り、立たせると、カミュルイアンが、お尻の埃を払ってあげている。
それをモジモジしながら顔を赤らめて、何だか嬉しそうにしている。
これがレィオーンパードがやったら、セクハラと言って頬に1発程度は食らっていたかもしれないが、カミュルイアンがやってくれる分には愛情表現として受け止めているのだろう。
その際にカミュルイアンとレィオーンパードから、アドバイスを受けた様だったが、シェルリーンの頭に入ったかどうかは分からない。
シェルリーンが落ち着くと、もう一度ホバーボードに乗ると浮かせる。
今度は、ゆっくりと前に進む様にスタートさせたので、今度は上手に進ませる。
シュレイノリアは、今のシェルリーンの姿は気にせず、アリアリーシャの方をズーッと見ていたので、シェルリーンが尻餅をついたことには気にせずにいた。
シェルリーンが、立ち上がると、シュレイノリアは、アリアリーシャの方に行く。
アリアリーシャと何か話していると、戻ってきたホバーボードの魔法紋を調整して、更にスピードのリミッターを上げた。
変更したホバーボードに、ヴィラレットが、乗ると直ぐにホバーボードを走らせ始める。
シュレイノリアはアリアリーシャと少し話をする。
終わると、直ぐに戻ってきてジューネスティーンの所にきて座る。
ジューネスティーンの隣に座ると話始める。
「ユーリカリアのメンバーは飲み込みが早い。 馬の走る速度まで上げてみた。 これで乗りこなせれば、後は慣れるだけになる。」
「そうか。 自分の走る速度以上の速さに慣れて仕舞えば、馬に乗るみたいなものだからな。」
ジューネスティーンが呑気に言う。
それを聞いたアンジュリーンがジューネスティーンに言う。
「ねえ、あれだけ使いこなせる様なら、ホバーボードが欲しいって言って来るんじゃないの? そうなったらどうするのよ。」
「まあ、それはありそうだよな。 だが、ウィルリーンが作りたがっていたから、こっちに製作依頼は来ないんじゃないかな。」
「それなら良いけと、作るとなったらジュエルイアンが黙ってないと思うわよ。 その辺はしっかりと断るのよ。」
「ああ、そうするよ。」
それを聞いていたシュレイノリアが口を挟んできた。
「だが、ユーリカリアの事だ。 何らかの方法でジュエルイアンの了解をとるかもしれない。」
「うーん。 その時はその時だな。 ボードは木製ならカインクムに相談したら何とかなるかもしれない。 いい木工所を紹介してくれると思う。 それに、ホバーボードは、板さえ有れば、後は、魔法紋を刻むだけだ。 シュレイノリアなら直ぐに終わるだろう。」
そう言って、シュレイノリアを見る。
「あの魔法紋は、同じ物を描くだけ、魔法紋のプログラミングに掛かる時間は不要。 コピーするだけなので板さえ有れば直ぐにできる。」
「だ、そうだ。」
アンジュリーンの顔を見ると、2人が言った通りだと納得するのだが、いまいち、表情がはっきりしない。




