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ホバーボードに乗れるウィルリーン

 

 何度か周回すると、ウィルリーンから顔の強張りも消えて、何か楽しげにカミュルイアンに話しかける余裕が出てきてホバーボードにも大分慣れた様だ。


 少し左右に動かせる様になった様だ。


 立ち方も随分と様になってきた。


 それを見てレィオーンパードがカミュルイアンに円を小さくする様に言っている。




 カミュルイアンは徐々に言われた様に円を小さくしていくと、最後は、自分の周りをグルグルと回れる様になった。


 カミュルイアンは、最初はその動きに合わせて自分も回っていたのだが、レィオーンパードが、左右の手を付け替える様にして回る様にと言うので、正面と後ろで左右の手を付け替えて回れる様になる。


 ウィルリーンとすれば、思い人と練習するのが嬉しいのと、少し少しホバーボードに慣れてきた事も嬉しいのだ。


 笑顔でカミュルイアンを見ながら回っていた。


 今度は、レィオーンパードが、まっすぐ進むように言うので、2人は真っ直ぐに歩き出すと、今度は、レィオーンパードが手を離す様に言うので、カミュルイアンが手を離す。


 一瞬、ウィルリーンは、カミュルイアンの手が離れた事で、慌ててバランスを崩すが、なんとか倒れずにそのまま、バランスを戻して進む。


 左右に開いた手を上下にしながら腰を左右に振ってバランスを取ると、なんとか進んでいく。


 レィオーンパードとカミュルイアンが、それを誉めていると、ウィルリーンのバランスも安定して真っ直ぐ進み出す。


 カミュルイアンは、ウィルリーンの少し後ろを歩き、何かあったら直ぐに助けられる様に歩いている。




 それを見て、レィオーンパードが右に曲がる様に言う。


 ウィルリーンは言われるがまま、ゆっくりと、右に曲がり出し大きな弧を描く様に回り出す。


 右に曲がれる事が確認できたので、今度は、左に曲がる様に言う。


 曲がりだしで少しバランスを崩すが、直ぐにバランスを取り戻して左に曲がり出す。


 ゆっくりと周りだし、自分の方に向いた時にレィオーンパードが自分の方に戻ってくる様に言う。


 今度は、バランスを崩す事もなく戻ってくることができた。




 レィオーンパードの側まで来ると、ウィルリーンは、ホバーボードから降りて、2人にお辞儀をしながらお礼を言っている。


 ウィルリーンは、かなり嬉しそうな顔をしているので、自分で乗れる様になってかなり嬉しかった様だ。


 すると、今度は自分だけで動かしてみる様だ。


 1人でボードに乗ると、今度は、カミュルイアンの手は借りずにいるので、1人で浮かせるつもりの様だ。


 2人は両脇に立っているだけでその様子を見ている。


 ウィルリーンは、一つ深呼吸をすると意識を集中しているのがわかる。




 ホバーボードは浮き上がる。


 上がる瞬間に少し体が震えるが、直ぐに安定して前に進み出した。


 その後ろをカミュルイアンがついて歩いていく。


 レィオーンパードが、左右の指示を出すと、それに合わせて、ゆっくりと曲がりながら進む。


 安定して進める様になった。




 それを見て、ジューネスティーンが独り言の様に言う。


「一時はどうなるかと思ったが、なんとかなったみたいだな。 最初見た時は無理かと思ったけど、今は、なんとかなった。」


 そう言って、ほっとしていると、シュレイノリアがボソリという。


「頭で考える人は、時間が掛かるが、時間を掛ければちゃんと乗れるものだ。」


 それを聞くと、その横に居たアンジュリーンが、ヤレヤレといった感じで言う。


「愛の力は強かったんじゃないの。」


 アンジュリーンの話にジューネスティーンが反応する。


「そうかもしれないけど、もう1人が心配だな。」


 そう言って、アリアリーシャのグループの方を見ると、ウィルリーンをジーッと見ているシェルリーンが居た。




 アンジュリーンも言われて、シェルリーンを見ると、悔しそうにウィルリーン達を見ていた。


「あーぁ、そうね。 もう1人居たわね。」


 アンジュリーンは困ったような感じで言うが、自分が困るわけではないので、他人事の様につぶやく様に答えた。


「それは、カミューがフォローすれば良いだけ。 それにウィルリーンもシェルリーンも別のパーティーだから問題はユーリカリアとカミューに任せれば良い。」


 シュレイノリアが、あまりに冷静に言う。


 それを聞いて2人も納得した顔をする。


 自分達がそんなところまで考える必要は無いのだ。


 考えなければいけないのは当事者達で、周りが気を回しすぎてこじれさせてもいけないので、見守る事にする。


「ウィルリーンがもう少し慣れたら、あっちもリミッターを上げる。」


 ウィルリーンも、ホバーボードに慣れてきたと感じたシュレイノリアは、リミッターを上げると言う。


 それを聞いたジューネスティーンが、シェルリーンの事が気になっていた。


「ああ。 だが、あの様子を見たら、もう上げて、2人をあっちに付けた方が良くないか?」


 そう言って、シェルリーンを指す。


 シェルリーンは、ウィルリーンが、カミュルイアンに手を取ってもらって練習しているのが、羨ましいのか、悔しいのか、何とも言えない表情でウィルリーン達を見ていて、ホバーボードに乗れてなかった。


(そうなると、シェルリーンもウィルリーンとそう大差は無いな。 いっその事2人を一緒にしてあげたほうが、カミュルイアンに近寄れるなら、その方がいいのかもな。)


 ジューネスティーンは、シェルリーンの態度を見て、仕方無さそうにする。


「あの様子だと、あっちで彼女は乗れてないんじゃないのか? ウィルリーンというか2人の事が気になって乗れてないと思うんだ。」


 シュレイノリアもシェルリーンを見て少し考える。


「なら、直ぐにリミッターを上げて2人をレオンの方に付ける。」


 そう言って立ち上がると、シェルリーンの方にスタスタ歩いていく。


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