ホバーボードのリミッター変更
ユーリカリアのメンバーの4人も最初は、浮かすところから入って浮き上がった状態でバランスを崩して直ぐに落ちてしまったり、バランスが保てても前に進ませようとして体が残ってしまって後ろに尻餅をついたり、前に落ちたりしていたが、徐々に前に進めるようになり、バランスを保ってUターンできる程度にはなった。
順番にクルクルと回ったり蛇行させたりして楽しんでいた。
それを見たシュレイノリアが、立ち上がるとアリアリーシャの方に、歩いて行った。
アリアリーシャの横に行くと、アリアリーシャに話しかける。
「あのスピードには慣れたか?」
「だいたい慣れた様ですぅ」
「じゃあ、ボードのリミッターを少し上げる」
そう言っていると、戻ってきたホバーボードに乗り込もうとしていたのを止める。
地面にあるホバーボードをシュレイノリアは、手をかざしてリミッターの上限を上げる。
一瞬、魔法紋が光ると直ぐに消える。
「これで、走る位のスピードは出る。 試してみるといい」
アリアリーシャと一緒に居るのは、チーター系亜人のヴィラレットとウサギ系亜人のフィルルカーシャだった。
見ると、身長の大きい方が、レィオーンパードの方に行って、小さい方がアリアリーシャの方に来た様だった。
シュレイノリアは、ユーリカリアのメンバーが偏っているのを見て、ホバーボードの持ち主の体重が影響が出るのかと思った様だと考えた様だ。
「このホバーボードは、乗り手の体型などは関係無い。 重量制限も無いので安心して使って欲しい」
シュレイノリアにしては、配慮のつもりだったのだろうが、ヴィラレットとフィルルカーシャには何のことかよくわからなかった様子だった。
「さっきよりはスピードが出る様になっている。 だが、バランスの取り方は一緒だ。 試してみるといい」
そう言うと、アリアリーシャに顔を向ける。
「後は頼んだ」
一言いうと、レィオーンパードの方にスタスタと歩いて行く。
レィオーンパードの方に歩いていくと、ユーリカリアとウィルリーンがレィオーンパードの方に来る。
「済まないが、私達にもそのボードに乗せてもらえないだろうか?」
「私も、同じ物を作ってみたいので、出来上がった物を確認しておきたい」
2人が、ホバーボードの乗り心地を確認したいと言ってきたので、シュレイノリアは、レィオーンパードに聞く。
「2人の様子はどうだ?」
「もう、このスピードには慣れたから、そろそろ早いスピードにも慣れてもいいかと思う」
シュレイノリアは、少し考える。
今、ボードに乗っているシェルリーンの乗っている様子を見てからアリアリーシャの方を見る。
そして、レィオーンパードと一緒に居るフェイルカミラを見上げる。
リザードマンであるフェイルカミラは、ジューネスティーンより身長が5cm高く、シュレイノリアとの身長差は25cmとなる。
ぐるっと回って帰ってきたシェルリーンが、ボードを降りるとシュレイノリアは、結論が出た様子で口を開く。
「では、このボードでユーリカリアとウィルリーンを乗せてくれ。 それと、乗る人の体重の影響は出ない。 安心する様に。 それと、フェイルカミラとシェルリーンもそこまで乗りこなせれば、少し早いスピードに慣れた方が良い。 あっちのアリアリーシャのボードで早いスピードに慣れて欲しい。 あちらは走る程度のスピードになっているが、使い方は変わらない。 バランスを取る事ができれば後は、スピードに慣れるだけだ」
シュレイノリアが、そう言うと、ユーリカリアが済まなそうに言う。
「すまない2人とも、遅れてきて申し訳ないが、私たちにも少し使わせて欲しい」
「そろそろ、スピードに物足りなさを感じてた所だったんです。 丁度良かったですわ」
戻ってきたエルフのシェルリーンがそう言って、アリアリーシャの方にい行くと、フェイルカミラがユーリカリアに話しかける。
「話が長かったみたいだったが、有意義な話が出来たみたいですね」
「ええ、非常にためになりました。 後は、これに乗ってみて感覚を覚えておく事にします」
「ああ、よろしく頼む。 これは、移動にも狩にも使えると思う。 ウィルリーンに作ってもらえれば我々の選択肢は更に増える」
そう言って、フェイルカミラもアリアリーシャのボードの方に歩いていく。
それを見てからシュレイノリアが、残った2人に言う。
「これは、バランスを取る事が出来れば乗りこなせる。 遅いスピードで乗れれば、早くなっても問題は無い。 先ずは、乗って浮かせることが出来れば、ゆっくりと進めば良い。 浮かせた時にバランスをしっかり取れる様になれば後はスムーズに乗りこなせる」
そう言うと、アリアリーシャの方を指差す。
そこには、ヴィラレットが先程より早いスピードで乗っていた。
「あの様にバランスの取り方さえ分かればあんな感じで乗れる」
「じゃあ、2人の事をよろしく頼む」
そう言うとシュレイノリアは、ジューネスティーンの所に戻っていく。
指示が終わって戻ってくると、ジューネスティーンの横に座る。
「あの4人は、直ぐにリミッターを解除してもいいだろう。 もう少ししたら、魔法紋を変更する」
「そうか」
「それと、監視が見ている。 さっき、追いついたみたいだ」
「そうか。 見ているだけなら、まあ、構わないだろう」
「なら良い」
そう言って、ユーリカリアの方をみる。
ウィルリーンがボードに乗って浮き上がらせようとして、おもいっきり後ろに尻餅をついている。
それをレィオーンパードが色々と解説をしている。
再度ボードに乗ったのだが、やはり、尻餅をついていた。
それを遠目で見つつ、シュレイノリアがジューネスティーンに聞く。
「今日は、これからどうする?」
「しばらくは彼女達にホバーボードに慣れてもらおう。 昼を食べたら、その後はこの辺の魔物を狩る事にしよう」
「そうだな」
そんな話をしている間もウィルリーンは何度もホバーボードを浮かせては尻餅をついていた。




