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和解


 慌てるユーリカリアと、ウィルリーンを見て、ジューネスティーンが、仲裁に入る必要が出てきた。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアになだめる様な話をする必要があると考えたのだ。


「今のは言葉の綾だよ。 知らない事に挑戦する時は、誰でも心配になるものだ。 ホバーボードなんて世の中に4枚しか無い物を見て、その製作に挑もうかと考えている所なのだから、その不安な気持ちを察するのも、前任者の役目ってもんだろ」


 ジューネスティーンが、シュレイノリアに話した事は、見様見真似で何かを作ろうとしている事なのだ。


 今まで、ジューネスティーンの剣を模倣しようと、エルメアーナとカインクムが、ジューネスティーンから話を聞いていた。


 その中でエルメアーナは、ジューネスティーンの剣を見て、そして、作り方の話を聞いて、作ってしまったのだ。


 2人は、話を聞いた時に、後ろ向きの発言をせず、作る為にどうしたのかを追求していた。


 そんな2人を見ていた事もあり、シュレイノリアには、ウィルリーンの出来ない発言が、気に食わなかったのだろう。


 新しい物の開発には、大きなリスクが含まれているのだ。


 実際に開発する当人としたら、非常に難しい事なので、時には不安を打つけることもある。


 その不安な心を、安定させるのは、開発できた者や、周囲の人達、組織なら、直属の上司の役目になる。


 後ろ向き発言をされたのは、その開発者が不安が有るからなので、その不安を和らげてあげる事を、シュレイノリアがイライラして、怒鳴ってしまったのだ。


 それを、ジューネスティーンが、指摘したのだ。



 ジューネスティーンは、何か例え話がないかと考えると、シュレイノリアの話からヒントを得たようだ。


「もし、お前が、今まで見た事が無い物を見て真似ようとしたら、……。 そうだな、さっきの太陽の話だけど、それを地上に作れと言われたらどうする?」


 シュレイノリアは、太陽に手を翳して太陽を見る。


 手は赤く血潮が見える。


 太陽とは何か考えつつ、思考を巡らせたのだろう。


 太陽が燃える原理は何か、その為に必要なものは何か、実際に同じ物を作れるのかと、思案をめぐらせているのだろう。


 シュレイノリアは、考えると、結論が出たようだ。


 それによって、ウィルリーンの考えている事の意味が、なんんとなくではあるが、掴めた様である。


 シュレイノリアはウィルリーンに向く。


「すまなかった。 少し言い過ぎた。 許して欲しい」


 謙虚なシュレイノリアの言動に、ウィルリーンは、恐縮した様だ。


「いえ、私の能力が足りて無いのは自覚しております。 それに、私も、自分の言葉に、配慮が足りなかったのだと思います。 こちらこそ、申し訳ありませんでした」


 お互いに謝ったことで、ユーリカリアも安心する。




 少し沈黙が続く、その沈黙を嫌がったユーリカリアがウィルリーンを突っつく。


 それで、ウィルリーンが自分が何かを言わなければと思い言葉を発する。


「ああ、重力魔法については、おおよそ分かりました。 だが、そう言っても、これから、さっきの話の方法で重力魔法を習得しなければならないのよね。 それと、風魔法の使い方はさすがだと思った。 ブレーキの風魔法を1箇所からだけでなく、数箇所から出す方法は、目から鱗が落ちた気分だった。 やはり自然科学に精通していると、新たな事に応用する事ができる。 その感覚を実感させられました」


 ウィルリーンは、感謝の意味も込めてシュレイノリアに話をする。


「自然科学は、その現象を表す。 現れた現象を考察していけば、新たな知識として自分のものになる。 目に見えていても、それが、何なのか考えることが重要。 私の持っている自然科学の原理は、自分自身で見て感じた物がほとんどだ。 前世の記憶がそれを補助しているだけだ。 だから、あなたにも自然科学は理解できる様になる」


 ウィルリーンは、シュレイノリアが、前世の記憶より、この世界で、触れて感じたことが重要なのだと思った様だ。


 自然の事象を見て、その原理を考える方が、大きいのなら、自分にもできるかもしれないと思えた様だ。


 ウィルリーンは、穏やかな表情をする。


「そうですね。 これからは、当たり前のものでもそれが何なのか考える様にします」


 ウィルリーンは、シュレイノリアの言葉を聞いて、何かが吹っ切れたようだ。


(前世の記憶は、補助でしかないのか。 それは、この子には、周りの現象が、全てだってことなのだろうね。 見て感じて理解する。 私にはそれが足りなかったのかもしれない)


 ウィルリーンは、なんだか清々しい様な顔をしている。


 ウィルリーンが、ホバーボードの原理について、話が結論付けられた頃には、ホバーボードに乗せてもらっていた4人もホバーボードにある程度慣れてきた様子だ。


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