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転移元の世界と出鱈目な時間軸


 ウィルリーンとユーリカリアが、ジューネスティーンと、ギルドについて話をしていると、シュレイノリアが頃合いを見て話に入ってくる。


「すこし話が逸れた。 ギルドの創設者のジュールクエームは、私達より未来の世界から、この世界のはるか昔にこの世界に来たことになる。 だが、自分達はどうなのかと考えると、ジュールクエームより前の時代では無いかと思う。 それと、ジェスティエンだ」


 ギルドは創設されてから、800年以上になる。


 そのギルドを設立したジュールクエームが、シュレイノリアは、自分達より未来から転移してきたと言う。


 それにジェスティエンの名前が出てきたことで、ユーリカリアとウィルリーンは、何でその名前が出てくるのか気になったようだ。


「ああ、さっきも話にでた、銃を発明したギルドお抱えの冒険者な」


「私も彼には会った。 その時に少し違和感を覚えた。 それがどうもよく分からなかったが、最近出た結論は、自分達よりも数百年前の世界からこの世界に来たのでは無いかと思える。 ちょっとした仕草や習慣から、自分達では行わないようなことも平気だったりと、無意識下の行動があまりに野蛮な部分も見受けられた。 無意識下の行動というのは、転移前の生活習慣が出てくるはずなので、それの違いで大凡では有るが、転移前の時代が予想できる」


 そんな、誰も特に気にするような事の無いことをシュレイノリアが説明する。


「それは、私達エルフやドワーフでも分かるのか?」


 ウィルリーンが、疑問をシュレイノリアに聞くと、シュレイノリアは、一瞬、考えるが、直ぐに答える。


「私は、人属なので、エルフやドワーフの生活がどうなっていたのかわからない。 あくまで人属に限ったことだ。 ただ、うちのメンバー達の行動を見ている限りでは、転移前の生活水準は私達とそう大差はないと考える」


 シュレイノリアの話に感心するジューネスティーンが、シュレイノリアの知らなかった側面を見て新鮮に思う。


「お前、魔法以外に興味が無いと思っていたけど、そんなことまで見て考えていたんだな」


「ジュネス。 私を馬鹿にしすぎだ」


 自分は魔法以外に興味が無い朴念仁のように言うので、そう言って横を向いてしまう。




 ユーリカリアは今の話から転移者の事について思いを募らせる。


「つまり、転移元の世界というのは、数多く有って、転移元の世界と、この世界の繋がる時間も前後してしまうという事なのか。 異種族間の混血が出来ない事から、異なる種族は、別の世界から来たと考えるのが妥当。 それにギルドの創設者の組織作りが、特殊な国の在り方のように思える事から、元の世界のどの時代から来るか決まってない。 それにこの世界の人・亜人・動物は元を正せば全て転移して来た。 この世界の元の住人は魔物だけというのか」


 ユーリカリアが、話をまとめてくれた。


 その内容を聞いてウィルリーンは一つの疑問が浮かんでくる。


 それを聞いておかなければ、これから先、自分自身や自分種族が、エルフと言う種族ごと、否定されてしまう不安に襲われる。


「それなら、我々エルフも、お前達ドワーフも、それ以外の人も亜人も、全てこの世界の侵略者で、魔物は侵略者と戦っているのかもしれないわ」


 ウィルリーンは、自分の不安を言葉にした。


「そうですね。 その可能性は否定することは出来ないですね。 ただ、転移者をこの世界が必要としているから、転移者を呼び寄せているとも考えられます。 侵略と言うなら、それなりに装備を整えて、この世界に現れるでしょうが、この世界に現れる時は、裸で何も着けてない状態です。 現れて直ぐに魔物に襲われますから、何も持ち合わせて無い状態で、魔物と戦う事になりますので、一概に、人属や亜人が侵略者とは言えないと思います。 むしろ、その時の状況を考えたら、魔物の食料として呼ばれている可能性が高いですね」


 ジューネスティーンは、自分が転移してきた時の事を思い出し、何も身に付けてない状況で大型のサソリに襲われた時の事を思い出して話をした。


 だが、その話は2人に更にショッキングに伝わった。


「私達は、魔物の餌なのか……」


 自分は魔物の餌だった。


 餌が、捕食者を追い詰めて逆撃をしているのが冒険者となる。


 そう思うとやり切れなくなるのだろう。


 2人の表情は暗くなっていた。


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