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魔素


 ただ、必死に付いていこうとしているウィルリーンの事も、ユーリカリアの事も気にせずに、シュレイノリアは話を続ける。


「魔力の元の魔素は、素粒子のような物だと私は考えている」


 ウィルリーンも魔力について、魔素を使うと言うことは、師匠から聞いていた。


 目に見えない何かの力、魔法に影響を及ぼす魔力は、魔素を使っている。


 自分の魔力が魔素を集めて、その魔素が魔法となって顕現するのだと、師匠からは教わっているウィルリーンなのだが、シュレイノリアから聞いた事の無いワードを言われて不思議そうに聞き返す。


「そりゅうし?」


 ジューネスティーンは、シュレイノリアが素粒子と言ったので、ウィルリーンには理解できるのか気になる。


 ジューネスティーンは、慌てて素粒子について説明をしなければ、話が進まない可能性があると判断して素粒子についての説明をするために話に割り込む。


「素粒子は、原子を構成する物質です。 物質の最小単位の原子を構成する物質のことで、目に見えない程の大きさの物です。 多分、魔物が死んだ時に黒い霧のような物が浮かび上がってきますけど、あれが魔素と言われていますが、それが素粒子の一種だと考えているのでしょう」


 魔素が素粒子という発想は、ジューネスティーンには無かったのだ。




 ただ、言われてみれば、魔物から浮き出てくる黒い霧のようなものは、そのまま漂う事はなくユラユラと炎のようにゆらめきながら大気中に漂い消えていく。


 ただ、シュレイノリアはそれが素粒子の一種だと言う。


 仮説の域は超えないが、有り得る話だと思ったのだろう。


 そんな事を考えていると、シュレイノリアはジューネスティーンに向くと、さらに続ける。


「他にもあるぞ。 光もそうだが、炎も恐らくは素粒子だ。 素粒子のエネルギーが高い所が炎となって目に見えていると私は考えている」


 そう言われて何となく、有り得る話だと思うが、仮説の域からは出ないだろうと思うと、ジューネスティーンは、否定するとも肯定するとも、何とも言えない顔をする。


 炎についても魔素のように揺らめいて消えて見えなくなる。


 炎だけを何かの容器に入れる事もできない。


 光も箱の中にしまい続ける事が出来ない事もあるので、その仮説はあながち嘘とは言い難いのだ。


「ああ、炎については、気体とは言い難いな」


「エネルギーも恐らくは、素粒子の励起状態のものが、目に見えているものか、密度が濃いために見えている物だと思える。 魔物が死んだ後に体から出てくる黒い霧も、恐らくはその類いと同じだが、別の物質だと考えられる」


 その原子を構成する物質である素粒子がどうのと言われて、ユーリカリアは、魔物以外のもの、動物や植物、それに人や亜人は死んでも黒い霧を出して消える事は無く死体が残る。


 魔物との決定的な違いである。




 ユーリカリアは、そう考えると何で違うのか疑問に思ったのだろう。


 不思議そうな顔はしているが、話が全く分かってない顔ではない。


(村に居た時には葬式をしてその遺体は火葬されて埋葬された)


 そう言った光景を見てきた事を考えると、ユーリカリアには疑問が生じたのだろう。


 ユーリカリアは疑問を2人にぶつける。


「それなら、人や亜人、それに動物はどうなんだ。 これは死んでも黒い霧は現れない。 死体が残るだけだ」


 ユーリカリアが話に入ってきた。


 シュレイノリアは、それについても仮説を持っているのか、直ぐに答える。


「この世界の亜人も人も動物も別の世界から来た生物。 この世界の元からの住人は魔物だけだったと考えられる」


 シュレイノリアがとてつもない仮説を話し出す。


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