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ウィルリーンの苦悩

 

 ユーリカリア達のメンバーは、ユーリカリアとウィルリーンは残ったが、他は、アリアリーシャとレィオーンパードの2人のホバーボードの方に行き、乗せてもらおうとウキウキしている。


 ただ、ユーリカリアとウィルリーンは、それ以上にジューネスティーンとシュレイノリアの知識の方が気になったようだ。


 カインクムの所でヴィラレットが購入した剣にしろ、噂に聞くエルメアーナの剣も、ウィルリーンがショックを受ける程の、魔法紋付与の魔法にしても、ジューネスティーン達が絡んでいて、今、目の前に出てきたホバーボードを見ると、まだ、驚かされそうな物が、これ以外にも有るのだろうと感じているのだろう。


 メンバーの4人ほど、ホバーボードを乗せてもらう事に、浮かれてはいられないと感じているのだろう。




 ウィルリーンは、シュレイノリアに尋ねる。


「あのー、すまないが、あの板の事なのだが、もう少し詳しく教えてもらえないだろうか」


「構わない。 ただ原理だけになる」


 シュレイノリアは、何の感情も見せずに条件付きで了承する。


「ああ、あれだけのものだ、掴みだけでも教えてもらえれば、それで構わない」


 ウィルリーンは有難いと思いつつ、シュレイノリアの条件で話を聞く事にする。


「原理は、重力の中和だ。 ボードと乗っている人の重さを中和させる。 それを重力魔法で行う。 浮かせたり、移動については風魔法を使っている」


「その、じゅうりょく魔法とは、どういったものなのだ」


 重力については、先程も話には出ていたのだが、ウィルリーンも自然科学については、聞いた事も教わった事もないので、理解に苦しんでいたようだ。


 当たり前のように、学校に行って授業を受けるような社会でないのだから、それは仕方がない事なのだ。


 ウィルリーンは、この機会にその辺りも聞き出そうとしているようだ。


「重力は星の引力の事。 物質にはその質量に応じただけの引っ張る力が有る。 この大地の引力が一番大きいから見た目上は、大地に石が落ちているように見えるが、この石にもわずかではあるが引力がある」


 ウィルリーンは、信じられないような顔で小さな石を見る。


「どう見てもこの石に引っ張る力が有るとは思えない」


「それは、さっき星の大きさについて話した通りだ。 大きさがあまりに違いすぎるから石の引力が分からないだけで、石にも引力は有る。 引力は質量に比例するので、1兆のものと0.1のものでは引力の影響が違いすぎる。 人が引力を感じられるのもかなりの大きさが無いと感じられない。 その辺の山ほどの大きさの星が有ったとしても引力を感じる事はできないだろう。 人が違いを見分けられるのは、100分の1程度なのだから、その辺にある石の引力を感じる事は不可能に近い」


 山脈の麓にきているので、その前にある山を指して、あれだけの大きさでも引力を感じられないと言う。


 それを聞いて星の大きさとはこれ程大きな物なのかと、それだけ大きいものの上に自分達が立っているのかと思うのだった。


「そうなると、一番大きな大地の重力を、何とかすれば物を浮かせることができるって事なのでしょうか?」


「そうだ」


「ですが、その力は目に見えないのではないですか?」


「そうだ」


「それをどうやって考えれば、……。 魔法も目に見えないですね」


 そこまで聞いていて、目に見えない物を、どうやって制御すれば良いのかと考えていると、ふと、魔法も目に見えない物だと気がつく。


 ウィルリーンが少し考えていると、シュレイノリアはそんなウィルリーンに話しかける。


「そうだ。 目に見えなくても感じることはできる」


「引っ張る力を、魔力で中和するって事ですか」


 自分に質問する中でヒントが浮かび、そのヒントから答えに導くように、シュレイノリアは誘導したのだ。


「そうなる」


 シュレイノリアはウィルリーンの答えを肯定する。


「魔力ですか」


 ウィルリーンは、シュレイノリアの無限のような知識に当てられているのだろう。


 ウィルリーン自身は、師匠に魔法と冒険者としての一通りの武器や技を教わったのだが、自然科学については、教わった事は無かった。


 また、村で母親と生活していた時も、学校に行くことは無かったので、シュレイノリアの言っていた自然科学に関する内容を話されると、話についていく事が難しいのだ。


 新たな単語が出てくるたびに、どうにか、頭の片隅に記憶しておこうと必死になっているだけだった。


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