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ホバーボードの隠し機能


 ジューネスティーンは、シュレイノリアが、ホバーボードに対して、自分の知らない、プロテクトや速度のリミットについて、魔法紋に刻んでいた事と、ユーリカリアのメンバーたちの希望を聞いて、どうしようかと考えていた。


「ところで、今、言っていたプロテクトとリミット上限を下げるのって、簡単にできるのか?」


「私が設計した魔法紋だ。 プロテクトは、私の指示でオン・オフできるようにしてある。 それにスピードは魔法紋の中に調整用ボリュームを設けている。 それを少し素人仕ように変更するだけ。 8段階の出力制御ができる。 それは、2人が使いこなせるようにする時、レオンで実験して、アリーシャ姉さんで、実証済み」


 シュレイノリアは、胸を逸らして勝ち誇ったように言う。


 どうも、シュレイノリアは、ジューネスティーンの考えを読み取って、その更に先の事まで考えて、ジューネスティーンが、知らない間に魔法紋を設計したようだ。


 それを後からジューネスティーンに聞かれて、その機能なら有ると言うのが嬉しい様で有る。


「つまり、8段階の一番下のレベルで使えるようになったら、1段ずつ上げていったのか」


「そう。 スピードに慣れてなければ、怪我もするし、ボードも壊れてしまうこともある。 リミッターを付けて安全に訓練できるようにした。 だから、姉さんは早く慣れてくれた」


 アリアリーシャは初めて乗った時の事を思い出しつつ話し出す。


「そうだったんですね。 最初に作ったホバーボードはレオンが苦しんでたので、私に乗りこなせるかと思ってたのに、案外簡単に乗れたのは、そのせいだったのですね」


「そう、姉さんに生傷を付けるわけにはいかなかった。 それで、レオンで試した」


 それを聞いてレィオーンパードが機嫌を悪くする。


「それって、俺だったら、生傷がついても構わないって事じゃん」


「その通りだ。 お前は問題無い。 体が丈夫なのは分かっていた」


 それを聞いてカミュルイアンはニヤニヤすると、レィオーンパードに話しかける。


「やっぱり、お前は、シュレのオモチャだったみたいだな」


 シュレイノリアの話を聞いてカミュルイアンがレィオーンパードに茶化したように言う。


「何でだよ。 それって、俺が実験動物みたいなものだったって事じゃん」


 愚痴るレィオーンパードの話を聞いてシュレイノリアが、レィオーンパードに言う。


「お前は、昔からの付き合い。 行動パターンが大体わかる。 それにジュネスに鍛えられていた。 格闘技も得意だったから受け身も問題なかった。 転んでも怪我の可能性が低い。 ジュネスは設計者だから外から見てもらいたかった。 だから実験には、お前が一番都合が良かった」


 そこまでレィオーンパードに言うと、今度は、カミュルイアンに言う。


「お前は、思いっきりが悪すぎる。 それに、不器用。 臆病。 データを取るには不確定要素が多すぎる。 だから、テストパイロットには不向き。 それで声は掛けなかった」


 さっきのオモチャと言われた事を根に持っていたのか、今度はレィオーンパードがカミュルイアンに言う。


「お前は、珍獣扱いはされても、それ以外は、使えないやつだったみたいだな」


「ふん」


 レィオーンパードに変な指摘をされてカミュルイアンは少し膨れて言った。


「そうだったのですね。 レオンのおかげで、私は早くホバーボードに慣れることができたわけですね」


 自分がレィオーンパードよりも短い期間で乗りこなせるようになったのは、レィオーンパードが、初めにデータを取って、初心者にも優しく乗りこなせるようにしてあった事を知ると、レィオーンパードにお礼を言う。


「ありがとう」


 レィオーンパードは、アリアリーシャが、素直にお礼を言ってきた事に恥ずかしそうにしている。


 そこまで聞いて、ジューネスティーンがルイネレーヌが使っていたホバーボードの事を思い出す。


「なあ、ルイネレーヌのホバーボードはどうしたんだ? あれにもそんな機能を付けていたなら調整が必要だったんじゃないのか?」


「あれは、ギルドに取られた。 何も気にせずに仕様通りに作った。 初心者向けには作ってなかったから、あの女の運動神経がずば抜けていたということだろう」


 それを聞いて、カミュルイアンが感心すると、つぶやくように言う。


「あの姉ちゃん、顔とスタイル以外にも取り柄は有ったんだ」


「そうみたいだな。 以外に努力家だったみたいだね」


 レィオーンパードは、自分が苦労してやっと乗りこなしたことを思い出して、少し見直していた。


「ふん。 あの女の事だから、どうせ、何か下心が有って、必死に使いこなしたんでしょ」


「でもぉ、あの時は、囮になってもらえましたからぁ、助かりましたぁ」


 アンジュリーンは、何か目的があって乗りこなしたと思っているが、アリアリーシャは、帝国に入る前に戦った、東の森の魔物を誘き寄せる時に、囮になってくれた事を言った。


 特に囮になって魔物を誘き寄せる際は、攻撃される危険と隣り合わせで有る。


 失敗すれば命の危険もあるのが囮の役目だ。


 それを知っているからの発言である。




 ユーリカリアのメンバー達は、話の行方がどうなっていくのか、自分達はホバーボードに乗ることが出来ないのかと気になる。


 このまま、話が進んでいったら、時間切れになるのではと思ったフェイルカミラが、ジューネスティーン達に話しかける。


「すまない。 それで、私達はこれに乗せてもらう事はできないのだろうか?」


「ああ、すみません」


 気がついたジューネスティーンが、そう言って、シュレイノリアにジューネスティーンが言う。


「じゃあ、プロテクトを外して初心者モードにしてもらえるか?」


 そう言うと、レィオーンパードにも確認する。


「お前のも貸してもいいか?」


 確認すると、頷くので、シュレイノリアに二つのプロテクト解除と初心者モードに変更してもらう。


「あと、姉さんとレオンは、乗り方を教えてやってくれ」


 シュレイノリアの処理が終わると、2人はホバーボードを持って少し移動すると、二手に分けてホバーボードの乗り方を教える事になる。




 4人は、初めて買って貰った自転車に乗る子供のような笑顔で、アリアリーシャとレィオーンパードの元に分かれてホバーボードに乗れる嬉しさを顔に出していた。


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