ホバーボードを見たユーリカリアのメンバー達
戻ってきたアリアリーシャの周りに、ユーリカリアのメンバー達4人が集まってくる。
そして、アリアリーシャのホバーボードの周りで、蹲み込んでホバーボードをマジマジと覗き込んでいると、それにを見ていたアリアリーシャが、何事かと慌てる。
慌ててホバーボードから降りて、ホバーボードを持ち上げようか、それともそのままにしておいた方が良いのか悩んでいるのだろう。
アリアリーシャは、困った顔をしていると、リザードマンの女性のフェイルカミラが話しかてくる。
「すまない。 この板にはあなただけしか乗れないのか?」
フェイルカミラは、真剣になりすぎたようだ。
その表情に、アリアリーシャは、少し怯えてしまう。
「えっ、いえ、多分、乗れると思います」
その答えを聞いて、フェイルカミラは、喜んだのだろうが、アリアリーシャには、その表情には、とてもそのようには思えなかったようだ。
「これって、私にも乗れるのでしょうか? 私もあなたと同じウサギ系亜人ですから、重さもそれ程変わりませんから、私にも乗せてもらえないでしょうか?」
アリアリーシャの乗れるに反応したのは、フィルルカーシャだった。
同じウサギ系の亜人であれば、体重もさほど変わらないなら、自分にも乗れるのかもと思ったのだろう。
自分も乗ってみたいと、アリアリーシャに迫ったのだ。
「エッ!」
アリアリーシャは、どうしていいのか分からずにいると、黙って見ていたシェルリーンとヴィラレットの2人が、フィルルカーシャの話に乗ってきたのだ。
「あっ、ずるい。 私も乗ってみたいです」
「それなら、私も乗ってみたいです」
フェイルカミラは、3人の言動には、流石に不味いと思ったようだ。
「おい、こら!アリアリーシャさんが困っているだろ。 そんなお願い失礼だぞ」
フィルルカーシャが乗せて欲しいとお願いすると、シェルリーンとヴィラレットが自分も乗せて欲しいとお願いするので、リザードマンのフェイルカミラが止めに入った。
不躾なお願いをするものでは無いと思ったのだ。
自分の持ち物を、そう簡単に人に貸すような事を、自分達だってしないはずなのに、初めて見たホバーボードの動きがとてもスムーズでカッコ良く見えたのだろう。
その為、2人のタガが外れてしまった。
それを中では、一番の年長者であるフェイルカミラだけが、自制心を働かせて3人を止めたのだ。
だが、フェイルカミラに言われて、3人にも自制心が戻ったのだろう。
フェイルカミラの言ったことは、もっともなことだと理解したのか、3人が残念そうにすると、それを見てアリアリーシャが、申し訳なさそうにしつつ、提案をする。
「あのー、乗ってみますか?」
恐る恐る言うと、4人の顔が、希望に満ちた顔でアリアリーシャに迫る。
「「「「良いのですか」」」」
少し、気圧されてしまうが、4人の目を見ると、断れないなと思ったのだろう。
「ちょっと、待ってね」
さすがに、自分の一存で、使わせて良いのかと、アリアリーシャは思ったのか、ジューネスティーンに向くと聞いてみる。
「ちょっとなら、この人達を乗せても構わない?」
ジューネスティーンも、アリアリーシャに聞かれて、嫌とは言えそうも無いので、隣にいるシュレイノリアに聞く。
「ホバーボード、あの人達が乗っても起動するのか?」
「いや、盗難防止のために、姉さんの魔力に反応するようになっている。 他の人が乗っても動かない。 それに動いたとしても、姉さん用に出力調整をしてある。 初めて乗ったら、多分コケる」
それを聞いて4人が、ガッカリするのだが、シュレイノリアの話は、そこで終わらなかった。
「だが、私ならプロテクトを直ぐに外せる。 誰でも乗れるようにするのは簡単。 スピードのリミット上限を低く抑えれば誰でも乗れるようになると思う。 あの女でも乗れるのだから、大丈夫だと思う」
あの女とは、ルイネレーヌの事を言っているのだろう。
ジューネスティーンが作ったホバーボードは、今ここに有る2枚とルイネレーヌが使っている1枚と、ギルドに渡してある1枚の合計4枚となる。
シュレイノリアは、ジューネスティーンの仕様を満足させる魔法紋を設計してはいるのだが、途中で思い付いた内容も盛り込む事がある。
盛り込む事が有ると言うより、毎回、盛り込んでいる事が多いのだ。
魔法紋に文字数制限とか範囲の上限というものが有れば、その範囲内で行う必要があるのだろうが、そんな制約は魔法紋の中には存在してない事もあり、シュレイノリアは、魔法紋の内容には、自分の趣味的な事まで含めて書き込んでいる事が多い。
今回のアリアリーシャ以外には使えないなどというのは、ジューネスティーンも初耳のようだった。




