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計算方法と戦術


 人は便利になると、その分の能力を別の方向に向ける。


 携帯電話がない時のビジネスマンは、移動中に相手先へ連絡する事もあるので、公衆電話を利用していた。


 その為、アドレス帳は持っていても、良く使う相手先の電話番号をかなりの数を暗記していたものだが、携帯電話が使われ出すと、携帯電話に番号を登録してしまうので、電話番号を覚える必要がなくなるので覚える必要が無い。


 友人に電話を掛ける場合でも番号を覚える必要が無いから覚えない。


 だが、必要に迫られれば覚えることは可能だ。




 彼らは、銃による戦い方に特化した体になっているのだろうし、ジューネスティーン達は剣や弓や魔法による攻撃に特化した体になっているのだろう。




 そんな事をジューネスティーンが考えていると、フェイルカミラが、声をかけてきた。


「すまない、ジューネスティーン殿。 そこに書いてある数字なのだが、何の数字なのだ?」


 そう言って、0.167かける0.167の掛け算の式を指して言う。


「ああ、これですか。 これは掛け算です。 数字が多くなると便利なのですよ」


 縦に並べた0.167が二つと、その下に線を引き、1169、1002、167と続きその下にまた線を引いて、0.027889と書いてある。


「こうやって書いて計算すると簡単になるんです」


「ほーっ、自然科学や数学については、転移者に聞けというのは本当だな。 こんな方法があったとは知らなかった」


「そうですね。 足し算、引き算、掛け算、割り算は、勝手に覚えてました。 今のは掛け算ですけど、多分この世界に来る前はかなり使っていたのかもしれません。 気が付いた時には無意識に使ってました」


「前の世界の記憶は無くても、身に付いた事は無意識の中にしっかりと残っているのだな」


 フェイルカミラは感心する。


 計算方法を見ても冒険者が必要になるかと思うが、だが、数字の計算する方法としては面白いと思ったのおだろう。


 気になったのか、フェイルカミラは、もう一つ質問をする。


「なあ、この計算方法を誰かに話した事はあるのか?」


「ええ、ギルドの高等学校の時に教授たちに見せた事は何度もあります。 けど、ギルドの高等学校ですから、剣や魔法について興味が有っても計算方法については興味を示さなかったので、説明はしていませんでした」


 それを聞いて、フェイルカミラも納得する様な顔をした。


 魔物を倒すために計算が必要になるとは思わなかったのだろうと思ったのだ。




 ただ、これが、王都の大学の教授達が見たならと考えると、帝都にジューネスティーン達が訪れる事も無くなり、ウィルリーンとシェルリーンがカミュルイアンに出会う事もなかった可能性がある。


 それに、今、ヴィラレットの持っている剣をカインクムが作ることも無いだろう。




 そう考えると、ジューネスティーン達が接触した人達は新たな技術を受けている事を考えれば、ひょっとすると、新たな戦術や戦略を受ける可能性が自分達にもたらされる可能性があるのではないかと考える。




 フェイルカミラは、難しい顔をしながら、ジューネスティーンの書いた掛け算を見て独り言を言う。


「チャンスなのかもな」


 フェイルカミラはつぶやくが、周りには聞こえない程度の声だったので、その事に気がつくものは居なかった。




 そんなフェイルカミラの顔を横目で見ていたユーリカリアが話を変えてきた。


「なあ、ジューネスティーン。 あんた1人でここの魔物と1対1ならどう戦う?」


 ユーリカリアが聞いてくる。


「身長が大きいですよね。 基本は、腕を躱して懐に入って首を狙うのが一番有効だと思います」


 ユーリカリアは、話に乗ってきたジューネスティーンに興味を注がれているようだ。


 戦い方について、話を聞けば、色々と分かると思ったのだろう。


 先程の銃の説明にも、ユーリカリアでも、ある程度付いていけた事で、もっと色々と聞いてみたいと思ったのだろう。


 食いついてきたジューネスティーンを、新しいオモチャを与えられた子供の様に目を輝かせていた。


「それで、腕を躱す方法は有るのか?」


 質問されて、ジューネスティーンは、持っている剣を鞘ごと持って体の前に立てると説明を始める。


「基本は、向かってくる腕を払う様にする……、かな。 右腕で殴ってきたらその腕を右側に払う様に使って外側に回ります。 魔物の腕を押さえつつ鎬を使って腕を伝わる様にしながら首を狙いますけど、問題は身長差が80cmだと、首は狙いにくいですね」


 話しながら、ジューネスティーンは考える。


「二の腕にシールドが無ければ、腕を受け流して腕を切り落とす。 落とせないまでも、剣が通れば、かなりのダメージになると思うので、その腕はもう使えないでしょうから、そこを脇腹を払って重傷を負わせて後は首を落とす事になるかと思います」


 ユーリカリアは、それをじっと聞いていたが、話が終わると、今の話の内容と実際の内容を比べているのだろう。


 直ぐに、質問をしてきた。


「それは殴ってきた時ならそうなると思うが、腕を棒の様に振り回してきたらどうする」


 それは、魔物の知能が高く無い事を意味してる。


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